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31.対等※微(クリス、アルベルト)
しおりを挟むクリスが俺の目を覆う。そのあと、アルベルトの舌打ちと壁に添いながらずりずりと座り込む音が聞こえる。
「ナオトは僕の目を見たらダメだよ。」
空気が変わり、目を覆ったままキスをされる。クリスにしては荒々しく、戸惑ってしまう。それにアルベルトのいる前で・・・
「んっ、・・・ふぁ、あっ・・・クリス?えっ?」
キスをしながら俺が着ているものを片手で少しずつはだけさせていく。クリスが俺の後ろに移動し目隠しを解く。アルベルトが床に座り込みこちらを見ている。
「これはカイ団長がしたの?僕にこうやって触られるの嫌?」
クリスは俺の体にうっすらと残るカイがつけた痣を撫でる。艶かしい手つきに身体が反応する。
「・・・っ、クリスに触られるのは嫌じゃないけど、アルベルトの前だから・・・。」
クリスから離れようとするが、後ろから抱擁され動けない。アルベルトに見られているのに、首元にかかる息に感じてしまう。
「ねぇアルベルト、ナオトのことどう思う?」
醸し出す雰囲気こそいつもと違うが、後ろから聞こえるクリスの声はいつも通りだ。
「好きだ。独占したい。」
嬉しい気持ち半分、恥ずかしくて俺はアルベルトの方を見ていられなくて顔を背ける。
「それは僕も一緒だよ。こんな痕を見たら、焼きもち妬いちゃうよね。でも、自分の独占欲でナオトを困らせたらダメだよ。複数で関係を結ぶっていうことを分からせないとね。」
クリスの少し冷たく聞こえる声と、顔が見えないのが不安で振り向こうとしたが、また目を覆われた。
「ダメだって、間違えてナオトに魔力を流したら大変だから。アルベルトにはしばらく見てて貰うよ。」
クリスがアルベルトに精神魔法をかけてるのか?視界を遮られ何をされるかわからない状態で舌が首を這い、耳を舐められる。いつも以上に敏感になってしまう。わざとらしく音を立てるキスもクリスらしくない。
「んっあぁっ、やぁ・・んっ、ふぁ・・・ダメっ。」
後ろから両手で本格的に服を脱がそうとするクリスの手を止める。
「何がダメ?二人は良いのに僕はダメなの?」
今度は舌で背中を愛撫される。感じたことの無い感覚に吐息が漏れる。自分のが着衣越しにも分かるほど反応している。アルベルトにじっと見られていることも刺激になってしまう。
「あっ、・・・やだっ、見ないでくれぇ。・・・」
「今アルベルトはナオトから目が離せないし、僕の問いに正直に答えるだけだよ。ねぇ、今のナオトを見てどう思う?」
「・・・・私もナオトに触りたい。」
クリスは苦悶の表情をするアルベルトを気にもとめないように質問を繰り返していく。
「でもナオトが苦しむ程自制できないなら触る資格はないよね?」
「分かっている。ナオトの気持ちを無視して賭け事に使ったのも申し訳ないと思う。・・・もしナオトが一人を選ぶなら私はきっと選ばれない。それでも好きなんだ。絶対に手離したくない。」
そんなこと思ってたのか?俺はこんなにアルベルトのことが好きなのに伝わってなかったのか・・・?
それに身分の差はあっても二人は元々兄弟みたいな間柄なのに、こんな尋問みたいなの嫌だ。
「三人とも特別なんだ。大好きだって伝わるよう頑張るからお願いだからやめてっ。」
このやり取りに耐えきれなくなり後ろを振り向く。クリスの少し光っていた目がいつもの亜麻色に戻っていく。
「ナオトは三人とも選んでくれるの?多分ナオトがいた世界とは違う価値観だよね。それで後悔しない?」
元に戻った瞳に安心する。どれだけ伝えられるだろうか。
「いっぱい考えたけど一人を選ぶ方が無理だった。三人ともを選ぶことが不純なような気がして、幻滅されないか不安だったんだ。」
「幻滅なんかしないよ。ナオトありがとう。」
そう言うとクリスは触れるだけのキスをする。余韻に浸りながら、精神魔法が解け、俺の懐に顔を埋めているアルベルトに聞く。
「アルベルトは?やっぱり三人のことを好きになるのはダメ、かな?」
「・・・選ばれないよりマシだ。辛い思いをさせてすまなかった。」
痛いほどアルベルトの感情が伝わってくる。後ろからは「ナオトはもっと怒っていいと思う。」とまだご立腹のクリスの声が聞こえる。
その言葉にアルベルトは顔を歪ませる。騎士団内では見たことがない、このしゅんとするアルベルトも可愛いけど・・・。
「俺もアルベルトに辛い思いさせてごめん。大好きだよ。」
俺はサラサラの髪を撫で軽くキスをする。
「まさかクリスがアルベルトに魔法使うと思わなかった。二人には喧嘩みたいなのはやめて欲しいかな。」
「大丈夫だよ。もう二十年以上一緒にいるんだ。お互いに間違ったことをしていると思ったら無理やりでも正しい道に戻すよ。それで崩れる間柄じゃないからね。」
いつものように微笑むクリス。アルベルトも異論はないと言うように一度頷く。
「そういうの羨ましいな。・・・・えっと、そろそろ服着たいかも。」
二人の絆には感服ものだけど、上半身はほとんど身に纏っていないし、ズボンもはだけて下着が見えている状態だ。恥ずかし過ぎる。
クリスはパチパチと長いまつげを上下した後「よいしょ。」と俺をベッドの中央へ寝かせる。俺の頭元にはクリスが、足元の方にはベッドに上がってきたアルベルトがいる。この後のことが予測できた瞬間起きあがろうとしたが、気づいたのが遅かった・・・。
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