異世界で、初めて恋を知りました。(仮)

青樹蓮華

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19.悪戯※微(クリス)

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 うー。暑い。苦しい・・・。というか重い?

 窮屈さを感じ目を覚ます。右手はクリス殿下が手を握ってくれているままだ。忙しいはずなのに、寝ている間も隣にいてくれたのかと思うと・・・。当の本人はまだ眠っているみたいだ。人形のような長いまつ毛に目が奪われる。あの時の記憶が蘇り、自然と目線がまつ毛から唇に移る。整ったそれは綺麗に閉じられている。高貴な人は寝顔にすら気品があるのか・・・。一周まわってなんか小憎たらしいな。

 あとは、横腹が重たい。後ろから腕が伸びてきていて、抱きしめられる形になっている。振り向かなくても誰か分かる。完全に脱力している腕に、こちらもまだ眠っているだろうと予想できる。通りで暑いわけだ。身動きは取れないが、起こすのもなぁと悩んでいると、クリス殿下が目を開けた。視線が合い目をしばたたかせている。
 俺の後ろの状況を把握したのか、少し不貞腐れたような表情に変わった。しかしその直後、思いついたように笑顔になる。整った口は弧を描き、前で人差し指を立てている。徐々に亜麻色の瞳が近づいてきて、声を忍ばせ「嫌なら逃げてね。」と口話された。

  嫌じゃない。決して嫌では無いけど、この状況はなんかまずい。後ろから感じる寝息は近い。体がこわばりギュッと目と口を閉じた。するとそっと触れるだけのキスをされる。目を開けると驚いた顔のクリス殿下がいた。


 いや、びっくりしたのはこっちだから!今はやめて!と目で抗議するが伝わっていないのか、もう一度近づいてくる。

 唇が触れたかと思うとクリス殿下の舌が俺の口をこじ開けた。手が太ももを下から上にゆっくりと這ってくる。俺は声が出ないように息を止めるが、柔らかな舌が歯列をなぞるように動き、今度は上顎を舐められ声を我慢することができない。

「・・・・・んんっ!ふぁっ、あっ。・・・・んー。」

 声が出たら口を覆うように塞がれ、吸い付くようなキスに変わる。唇を味わうように舐められ、それすら気持ちよくて声が漏れてしまう。クリス殿下は亜麻色の瞳を細め、優しい手つきで俺の頭を撫でる。口角をぺろっと舐める仕草は、今は色っぽくて仕方ない。お互いに荒くなる呼吸を何とかして抑える。

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