異世界で、初めて恋を知りました。(仮)

青樹蓮華

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11.多幸※微(アルベルト)

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 窓から差し込む光は、朝焼けなのか夕焼けなのかわからない。沈黙が怖い。到底、二人がいる部屋だとは思えない静けさが俺を追い詰める。想いを伝えない辛さは経験した。拒まれる辛さまで知りたくない。おさまっていた手の震えが再燃する。哀願あいがんするようにアルベルトを見上げる。しかし、絡めていた指がほどかれる。震える手の行き場がなく、ただ握りしめ、黙って眺める。それすらも虚しくなり目を閉じる。

 ふと、頬に手が触れる。額にサラサラと髪が降ってきてくすぐったい。思わず目を開け、上を向くと瞑色の瞳が目の前にある。ギシッとベッドの軋む音がする。アルベルトは、ベッドに片膝をつき距離をつめる。不意なことに「えっ?」と後ずさるが頭を抑えられて、さがれない。

「んっ。」

 物足りなくて、もっと気持ちを確かめたくてアルベルトの胸元に手を添え引きつける。多幸感が涙になって溢れ出す。
「アルベルト・・・。もっと。」
 お互いの気持ちを確かめるように唇を重ねる。そのうち戸惑うように生温かいものが口の中に入ってくる。息遣いが荒くなり、何度も角度を変え重ね合わせる。

「んっ。ふぁ、・・・あぁ。」

 熱がこもり、頭がふわふわする。理性と情欲が入り混じった夜空のような瞳が俺を見ている。繋がっていた唾液の糸が途切れ、アルベルトは俺の頬を流れていた涙を拭 ぬぐう。

「はぁ・・。ナオト・・・。これ以上はダメだ。」
 俺を支えるように抱きしめていた手が離れる。さっきまで触れていた部分の体温が下がっていく。

「なんで・・・?」
 離れてほしくなくてアルベルトの隊服の胸元あたりをぎゅっと掴む。しかし、優しい手つきで離されてしまう。

「これ以上はナオトの身体が心配だ。頼むから休んでくれ。」
 いつもは嬉しいアルベルトの気遣いが、今は俺の心を痛める。確信的な言葉は与えられない。自分から言う覚悟もない。
「せめて一緒に寝てくれる?」

「・・・着替えを取ってくるから先に寝ててくれ。」

 扉が閉まる音が虚しく響く。
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