コミュ障引きこもりの僕が再就職したら天使のような人が集う超ホワイト企業でした

MIroku

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#5〜ガチムチタンクトップが社長とか〜

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 ゲームをそこそこで切り上げ、今はその翌日。僕の初出社の日。今日はスーツで出社。面接時にRUIさんが、

『内定が決まりましたら、基本は私服で出社して頂いて構いませんが、他の社員がどんな服装で出社しているか見たいのではありませんか? なのでとりあえず初日はスーツでお越し下さい。その方が悩まず、楽でしょう』

 と、言ってくれた。神対応ならぬ女神対応だ。もし、当日から私服なら、僕は悩み死んでいただろう。他の人の服装を見たところで、オシャレさんばかりなら翌日から悩み死ぬが。その場合はスーツで通せばいいのか。

 午前9時。会社の前に到着した僕は、迫り来る腹痛と戦いながら中に入った。受付の天使がもう出社し、業務をこなしている。

 天使が僕を見つけ、ニッコリと微笑んでくれた。その笑顔だけで、僕は昇天してしまいそうになった。邪悪な心が浄化される、そんな気持ちだった。

「安達さん、採用おめでとうございます‼︎ これからよろしくお願いします‼︎」

 な、な、名前を覚えてくれている‼︎ やばいよやばいよやばいよやばいよ‼︎ これマジでここから恋愛パート始まっちゃうよ‼︎ 毎朝この子に

『おはようございます‼︎ 勇さん(ニコ)』

 とかやられて、風邪で休んだら

『……昨日はどうされたんですか? 勇さんの顔を見ないと、私の1日は始まらないです』

 とか言われて‼︎

「あのぉ~……」

 ハッ‼︎ やばい。また妄想してた。

「私は『黄緑 蒼キミドリ アオイ』と申します。改めまして、よろしくお願い致します」

 そう自己紹介をし、深々と頭を下げた。黄緑蒼、この子が天使じゃなければ、そして僕がまともに話せれば

『色取り取りの可愛い名前ですね。でも、あなたの名前も心も全て、僕の色に染めてあげますよ』

 とか若干キモい台詞を言えるのだろうけど、僕にはそれは無理だ。だから

「よ、よよよろしく、おお、お願いします」

 と言うのが精一杯。

「ふふふ。ではご案内致しますね」

 そう言って面接時と同じ様に案内する蒼さん。朝から笑顔が見れてマジ最高‼︎

 歩いていると、向かいから男が来た。顔がかなりの美形で、体格も服装から見るに細マッチョ。身長高めの知的な目をした奴だった。

「やぁ‼︎ おはよう‼︎ 蒼ちゃん」

 態度はちょっとチャラめの様だ。僕の苦手なタイプだな。

「おはようございます」

 蒼さんが丁寧に頭を下げ、挨拶をする。やはり僕だけでなく、誰にでも隔てなく柔らかな物腰だった様だ。そう言う所も天使そのものだ。

「ところで、黄緑蒼ってさ、色取り取りで可愛い名前だね。でもいずれ僕の色に染めてあげるよ。心も名前もね」
「結構です」

 僕が言おうとした台詞をそのまま言われた挙句、秒殺された上に軽蔑された。台詞の間の行間すらなかった。言わなくて良かった。相手も固まってるし。誰かは知らないけど。

「さぁ、行きましょう」

 僕に振り向きエンジェルスマイル蒼さん。どこまでも付いて行くっす‼︎

「さ、途中邪魔が入りましたが到着しましたよ。中で杜若さんと社長がお待ちです」

 以外とダークな部分があるんだなぁ~、結構勇気を出さないと言えない台詞だと思うけれど。でも純真無垢の真っ白よりも、色が付いている方が綺麗で良い。名前も、心も。

「ふふふ。またですよ」

「あ……あ、あ、すすすみません」

 また妄想に耽ってしまった。

「どうぞ中へ」

 僕は4回ノックをした。中からRUIさんの声で「どうぞ」と聞こえた。僕はドアに手を掛けて扉を開ける。

「ししししし失礼します‼︎」

 中には女神のスマイルのRUIさんと、赤いピチピチのタンクトップに、これまた赤いピチピチのズボンを履いた、身長2メートルオーバーであろう白髪、白髭を蓄えた初老の男性が立っていた。

 タンクトップとズボン越しに、筋肉が流動している。胸はピクピクと動き、腕を組んでいたが、筋肉が隆起して血管も尋常じゃないくらい浮き上がっている。足は競輪選手並みに発達していた。腹筋も6つどころか、横腹の筋肉まで全て凹凸している。

 僕は無言で扉を閉めた。
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