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Sweets Party ②
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土曜日。
駅前に集合し、電車に乗る。10駅程進んだ所で電車を降り、駅前で百合と合流する手筈になっていた。
駅から出ると、百合が手を振りながら歩いて来る。そして、怪訝そうな顔をして言った。
「何であなたまでいるの?」
「えー別に良いじゃないっすか⁉︎ 知らない仲でも無いっすよ~」
百合がチラシを持ってきた日、その日の夕方に明彦がコーヒー豆の納品に来た。その時に置いたままのチラシを見つけ、梓が土曜日に食べに行く事を伝えると、自分も行くと言い張ったのだ。
提案者である百合の許可を得ずに決めた事は申し訳ないと思っていたが、勇気も行く事を梓がリークしたので、拒否する理由も潰され、一緒に行く事になったのだ。
「まぁいいわ。すぐ近くだから、歩いて行きましょう」
「やったっす‼︎」
ため息を吐きながら百合は明彦の同伴を受け入れ、その事に明彦は飛び跳ねて喜んだ。
百合は未来の横に立ち、さも当然の様に手を繋ぐ。
「あ~‼︎‼︎ 手‼︎ 手‼︎」
「え~、別に良いじゃない? 女同士なんだし。ね~みらい~?」
未来は少し恥ずかしそうにしながらも、コクコクと頷いた。
「ずるい‼︎ 私も手を繋ぐ‼︎」
梓は未来の空いてる手の横に走り、緊張した様子で手を出した。が、未来の手まで後1センチの所で手が止まってしまう。
(な、何で⁉︎ 手を繋ぐだけなのに‼︎ もう後少しなのに‼︎)
その時、梓の手が温もりに包まれる。梓は驚き、未来の顔を見る。未来はニッコリと笑い、梓の手を握りしめた。
「………」
梓は急に大人しくなり、未来の手を握り返す。頭からは湯気が立ち上っている様に見えた。
その様子を後ろから眺める男2人。
「な、なんか…本当について来て良かったっすかね?」
「実は、私も少し後悔しています」
「ですよねーー‼︎‼︎」
と、居心地が悪いながらも男は男で盛り上がっていた。
スイーツビュッフェの会場は、ホテルのレストランとなる。
ホテルの前に到着した一行。未来がホテルを見上げ、目を丸くして驚いていた。
「未来って、こう言う所は初めて?」
百合からの質問に、未来はコクコクと頷いて答える。見上げていると首が痛くなったが、痛めた箇所をさするにも両手がふさがっており、仕方なく百合の手を離した。
首をさする未来。その様子を百合が見つめている。我が意を得たりと言わんばかりに。
「あ~、未来の手が離れた~‼︎ 余った手はどこに行けば良いのでしょうか~?」
そう言いながら、勇気のそばまで駆け寄り、勇気と手を繋ぐ。
「こんな所に丁度いい手があったわ‼︎ あ~暖かい‼︎」
「ちょ、ちょっと‼︎ 百合さん⁉︎」
困惑する勇気に対し、百合は握る力を強める。ウルウルとした瞳で勇気を見つめ、百合は勇気に尋ねた。
「ごめんなさい……嫌だった?」
勇気は少し視線を上にして、呟く様に言っう。
「嫌とかでは無くて……その…ビックリしたもので……」
「じゃあ良いの⁉︎ やった‼︎ 嬉しい‼︎」
照れながら手を繋ぐ勇気。その様子を見た未来は、心の中で何かがざわざわするのを感じていた。
「どうしたの?」
手を繋いでいた梓が、動かない未来を心配して言った。
未来は笑顔で首を振り、梓と手を繋いでホテルへと入る。勇気と百合のペアも、百合が先導して中に入って行った。
「マジで帰りたいっす……」
取り残された明彦は、1人寂しそうに呟く。もう帰ろうかと、本気で考えていた。
駅前に集合し、電車に乗る。10駅程進んだ所で電車を降り、駅前で百合と合流する手筈になっていた。
駅から出ると、百合が手を振りながら歩いて来る。そして、怪訝そうな顔をして言った。
「何であなたまでいるの?」
「えー別に良いじゃないっすか⁉︎ 知らない仲でも無いっすよ~」
百合がチラシを持ってきた日、その日の夕方に明彦がコーヒー豆の納品に来た。その時に置いたままのチラシを見つけ、梓が土曜日に食べに行く事を伝えると、自分も行くと言い張ったのだ。
提案者である百合の許可を得ずに決めた事は申し訳ないと思っていたが、勇気も行く事を梓がリークしたので、拒否する理由も潰され、一緒に行く事になったのだ。
「まぁいいわ。すぐ近くだから、歩いて行きましょう」
「やったっす‼︎」
ため息を吐きながら百合は明彦の同伴を受け入れ、その事に明彦は飛び跳ねて喜んだ。
百合は未来の横に立ち、さも当然の様に手を繋ぐ。
「あ~‼︎‼︎ 手‼︎ 手‼︎」
「え~、別に良いじゃない? 女同士なんだし。ね~みらい~?」
未来は少し恥ずかしそうにしながらも、コクコクと頷いた。
「ずるい‼︎ 私も手を繋ぐ‼︎」
梓は未来の空いてる手の横に走り、緊張した様子で手を出した。が、未来の手まで後1センチの所で手が止まってしまう。
(な、何で⁉︎ 手を繋ぐだけなのに‼︎ もう後少しなのに‼︎)
その時、梓の手が温もりに包まれる。梓は驚き、未来の顔を見る。未来はニッコリと笑い、梓の手を握りしめた。
「………」
梓は急に大人しくなり、未来の手を握り返す。頭からは湯気が立ち上っている様に見えた。
その様子を後ろから眺める男2人。
「な、なんか…本当について来て良かったっすかね?」
「実は、私も少し後悔しています」
「ですよねーー‼︎‼︎」
と、居心地が悪いながらも男は男で盛り上がっていた。
スイーツビュッフェの会場は、ホテルのレストランとなる。
ホテルの前に到着した一行。未来がホテルを見上げ、目を丸くして驚いていた。
「未来って、こう言う所は初めて?」
百合からの質問に、未来はコクコクと頷いて答える。見上げていると首が痛くなったが、痛めた箇所をさするにも両手がふさがっており、仕方なく百合の手を離した。
首をさする未来。その様子を百合が見つめている。我が意を得たりと言わんばかりに。
「あ~、未来の手が離れた~‼︎ 余った手はどこに行けば良いのでしょうか~?」
そう言いながら、勇気のそばまで駆け寄り、勇気と手を繋ぐ。
「こんな所に丁度いい手があったわ‼︎ あ~暖かい‼︎」
「ちょ、ちょっと‼︎ 百合さん⁉︎」
困惑する勇気に対し、百合は握る力を強める。ウルウルとした瞳で勇気を見つめ、百合は勇気に尋ねた。
「ごめんなさい……嫌だった?」
勇気は少し視線を上にして、呟く様に言っう。
「嫌とかでは無くて……その…ビックリしたもので……」
「じゃあ良いの⁉︎ やった‼︎ 嬉しい‼︎」
照れながら手を繋ぐ勇気。その様子を見た未来は、心の中で何かがざわざわするのを感じていた。
「どうしたの?」
手を繋いでいた梓が、動かない未来を心配して言った。
未来は笑顔で首を振り、梓と手を繋いでホテルへと入る。勇気と百合のペアも、百合が先導して中に入って行った。
「マジで帰りたいっす……」
取り残された明彦は、1人寂しそうに呟く。もう帰ろうかと、本気で考えていた。
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