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京都④
しおりを挟む「はい!悠香あーん。」
私の口の前に抹茶アイスの乗ったスプーンが近づいてくる。
「えっ…あーん?」
抹茶アイスが口の中に入ると、少しほろ苦い感じが広がった。
「どや?美味いか?」
「美味しいよ。」
「そやろ!ここオススメの店やねん。」
ニコッと私に笑顔を見せる。
「なんで、ここに春那がおんねん!」
「なんでって言われても、偶然入った店に偶然悠香がおって、これはもう相席しかありえへんやろ。」
「んなわけあるか…。」
ボソッと誰にも聞こえないような声で呟いた。
夏希は春那の顔を見るたびに機嫌悪そうにするが。
春那はお構いなしにしていた。
気がつくとずっと春那は私達のグループにいて一緒に行動してる。
愛生ちゃんも真帆ちゃんも全然気にしていなくて、
「いいじゃん。ついでに道案内してよ。」って春那に言ってる。
「さて、みんなは人力車乗った事あるん?」
「ないよ。」
「そりゃあちょうど良かった、今から乗るで。」
「なんで仕切るねん!」
春那は夏希に近付くと耳元で喋る。
何を言ってるか、全然分からないけど。
「しゃあないなぁ。今回だけやで。」
不機嫌さはなくなり張り切り出した。
言いくるめられたのかな?
***
私と夏希は一緒に人力車に乗ると俥夫が毛布をかけてくれた。
もぞもぞと毛布の中で手を動かすと夏希の手と当たる
当たり前の様に夏希から繋いでくれる。
「たまには人力車も悪くないな。」
「うん、初めて乗ったからなんだか新鮮。」
「アイツもたまには役立つな。」
「私、今日夏希と一緒に行動できて良かったって思う。」
「急にどうしたん。」
「2人きりになるのちょっとだけ諦めてたの。」
「まぁ、班もあるし。なによりあのアホもおったからな。」
「ううん、春那は私達を2人きりにさせてくれたよ。」
「うっ…。そういう事にしとこか。」
「私ね、後で春那に2人きりにさせてくれたお礼したいな。夏希も一緒にお礼しようね。」
「悠香が言うならしゃあないなぁ。一緒に行こか。」
「うん!」
「悠香。」
「ん?どうしたの?」
夏希は耳元で囁く
「大好きやで。」
「私も大好き。」
こうして、私達の修学旅行は終わった。
諦めてたけど、夏希と2人きりになれたし、思い出も作れた。
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