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特別編③

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「乗ったよぉ~。やっと、ちゅーしてくれるの?」


赤く染まった顔でうちを見上げた。

照れてるのか?


酔っ払ってるのか?


多分両方やろうな。


「しゃあないなぁ。」


聞こえないようにボソッと喋るとうちは片手で悠香を引き寄せた。


よし、これでバランス崩れないな。





もう片方の手で悠香の頭を撫で、その手を下に這わせ。頬に手を添えた。



「悠香、目ぇ瞑って。」



悠香は目を閉じると、ガクッと急に頭を下げた。



あぁ、やっと寝たわ。




悠香はお酒を飲むと急にコロコロ性格が変わる。


しかも、急に寝る。


目が覚めた時覚えてたら言えるんやけど、でも悠香の場合は、何も覚えてないから、タチが悪い。



「だから、飲ませたくなかったのに。」


ボソッと喋っても悠香には聞こえないだろう。


「まぁ悠香の可愛い寝顔目の前で見れたからええか。おやすみ、悠香。」


おでこにキスすると、悠香を抱き上げてゆっくり寝室に入った。





窓から差し込む朝日で私は起きた。



なんでベッドで寝てるんだろう?



全く記憶にない。



「おはようさん。体調どうや?」




隣で寝てた夏希が声をかけてきた。




「おはよう。体調?何にもなってないよ。」



「あんなに飲んどったのになぁ。」


「知らないよ飲んだ記憶ないもん。ところで夏希、仕事大丈夫なの?」


「今日は休みや。だから悠香と一日中一緒におれるわ。」


「やったぁ。」


「だから、もうちょい寝かせて。」




私の腕を引っ張った。


「ちょっ!」




バランスを崩して、夏希がいる方に倒れ込んだ。
 



「やっぱ、悠香の身体あったかいわぁ。何時間でも寝れる気がする。」



ぎゅーっと抱きしめられた。振りほどく事はできるけど、それはしなかった。



「あと、1時間だけね。」


「うへぇ、1時間しか寝かしてくれへんの。」


「だって行きたいところあるし。」


「それやったら、しゃあないな。1時間で勘弁したろ。んじゃあ、おやすみ。」




言い終わると私達はキスをした。




夏希のキスは本当に優しくて、安心する。





目と鼻の先には、可愛い寝息を立てながら、私を優しく抱き続けてる夏希。



もっと、ぎゅっと抱いてもいいんだよ。




起こさないように、柔らかい髪を撫でると、気持ち良さそうにする。


可愛いなぁ。





あぁ、私ってなんて幸せなんだろう。夏希の寝顔を見るといつもそう思う。




夏希の事好きになって良かった。



これからもずっと大好きでいさせて下さい。














高校生の私へ



夏希といて、高校生の時は辛い時も沢山あって泣いた事悩んだりした事あるけど安心してもいいんだよ。

だって、それ以上に幸せな事があるよ。それに、今の私はとっても幸せだから。






そんな私達の幸せな未来の話でした。
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