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しおりを挟む愛梨は泣きそうな顔で私を見る。
「そんな事しないよ。さぁ、今日の事は反省したみたいだし、帰ってご飯食べようね。」
「うん。」
手を繋いで歩きだした。
「ママは強いね。」
「なんでそう思うの?」
「内緒だよ。」
「え~教えてよ!」
「教えなぁい!」
愛梨はニコッと笑う。
最近はよく、感情が豊かになった気がする。
怒ったり、泣いたり、笑ったりするのは小さな子供なら誰でもするような事だけど愛梨は違う。
この子は誘拐した後は目が死んでいた。
そりゃあ、父親にあんな事されたらそうなるだろう。
施設に預けても良かったが、弟の左京と重ねてしまいどうしても預ける事なんて出来なかった。
今は預けようなんて全く思ってない。
私はこの子を世界中の誰よりも幸せにして殺してあげるんだ。
20人目として。
でも、この子を殺したくて殺したくて仕方ないはずなのに、殺そうと考えるほど、胸がチクチクする。
何でだろうか?
***
その夜夢を見た。
愛梨に跨がり包丁を振り下ろそうとする私…。
パッと見た鏡には涙をボロボロと出している私…。
包丁を手放すと黒い影が私の肩を叩く。
振り向くとそこには、今まで殺してきた人間達が私を睨んだ。
「「何故、私達を殺したの?何故その子は殺さない?」」
この言葉を何回も何回も繰り返された。
私は頭が痛くなり、耳を押さえしゃがむ。
それでもなお、言葉は頭に入ってきた。
「うるさい…黙れ!」
私の声に反応し、奴等は黙る。
「あの子は幸せにしてから殺すんだ。お前らには関係ないでしょ。」
そう言った後目が覚めた。
愛梨と目が合う。
「ママ?大丈夫?嫌な夢見たの?」
「変な夢見ちゃったけど大丈夫だよ。それより愛梨、早く寝なさい。」
「はぁい!ママおやすみなさい。」
なんであんな夢見ちゃったんだろう?
それから私はこの夢をずっと見ることになるとは思わなかった。
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