タイトル『夜』 昨日のバイク事故ご報告2024年10月16日（水曜日）犯人逮捕

小説家

　ここ数十年、私は「そこをどけ！」と言われたことがない。

　そんな私が丸々と太った巨体に「そこをどけ！」と言われた。

　小説家になって久しい仲違いの言葉に心がざわめく…。

　彼とは二回、鉢合わせた。私の二倍はある巨体である。

　ズボンだけでも、ずんぐりむっくりな巨体だ。

　私は小説家になってからまずは人の感情を読み解くようになった。

　であるからして、この人は何を考え、戸惑っているのかを先ずは考える。

　人のことを考えない。辛辣な言葉が飛んだ。

　その瞬間に人間不信という名前の怪物がむくむくと起き上がる。

　だから、嫌なんだ。これだから社会は…。

　その巨体を動かすだけでも苦労しそうな彼のことは蚊帳の外だ。

　所詮は感謝だとか書いても、弱い人間なのだと思い知らされた。

　私は「家の中」が好きだ。しかし、好んで外に出た。

　そこでトラブルが発生するのは致し方ない。

　人間、自分中心にしか考えていない証拠である。

　自己中という名前の怪物がむくむと起き上がっては鎮座した。

　武家社会であれば、脂の乗った肉体を一刀両断…。

　いやいや…。今は令和だよ…。

　自分に言い聞かせる。

　やはり夜は好きである。外で体感した言葉を小説に落とし込む。

　きりぎりすが鳴いている。

　しーん…。しーん…。

　この落ち着く空気が好きだ。この夜の帳が好きである。

　彼は彼なりに生きているのだろうと思った。

　小説家だから書ける思い。小説家だから馳せる思いがある。

　先生は、もう少し、ご自身の文章を大切になさってくださいと言われた。

　私の何を誇れと言うのだろうか。一作家…。一人生…。

　こんなしがない流浪人に、誰かがお金を払うことに感謝である。

　数年前であれば、お金を手にしたいのであれば働きなさいと言われた。

　全うな答えである。自分の人生を全うする。

　それだけでも感謝なのだろう。

　社会では今日と言う日も犯罪が折りなされている。

　そのような事態に巻き込まれないだけでも感謝なのだろう。

　世の中は、醜く、期待外れの集合体のようである。

　そんな中にも、感謝すべきことは山ほどある。

　今日生きられていることに感謝。命があったことは当たり前ではない。

　自由気ままに、のほほんと生きられているのも、諍いを避けている証拠だ。

　暦をめくり、気がつけば10月……。人生とは早いものである。

　世の中では、さまざまなことが起きている。

　友人の妊娠や産気づいた吐き気。食事を取れない苦労などだ。

　食事を取れることに感謝だ。

　こうやって書いていると愚痴よりも感謝のほうが多いことに気づく。

　ありがとう…。

　夜の帳を感じながら、今日と言う日を、ひねもす感じ入る。

　ブラックコーヒーを飲みながら…。