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欺瞞5

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 天涯孤独とはよく聞くが、四顧して拝聴し、その言葉に耳を傾け、なお孤独に苛まれながら、蝮に頼らず、南風吹けば、よな夜な徘徊せ示し我が肉体の嘔吐に似た干渉に現をぬかし、腑抜けに似た感情が徘徊せ示しこの肉体を頬張るが如く。万年その私頚を首「こうべ」から雨季の季節にその滴をポタポタと首に受けながら、闇夜に継ぐ闇夜に照らされて、雁首を引っ込めては、寒空の下、雨に打たれながら、右翼から風吹けば、左翼へと雁首と肉体を左へ捩じり、左翼から風吹けば、右翼へと流すように雁首と肉体を逸らす。誹りに似た感情は、世の中の全てを否定せしめし短調な思いを馳せるも。我が流れのような、天涯孤独とは、なんら干渉を受けずに、ありのままの姿にて、赤子のように泣き叫ぶばかりだった。

 風体とは、我が美的センスを以ってしても変化せるることなく、泣き叫ぶ鴎に似て、憎々しい。どれだけ慮っても、その身形と滑稽さは変化するることなく、成すべき業を一杯にせしめても、その心は満たされることはない。

 喜怒哀楽とは、一時的な悦興を齎すが、苛まれた我が心には、汽船の如く観覧室の如く、見事なシャンデリアも心を捉えて離さなかった思い出すらも、今となってはどうでもよく、欲をいうなれば、川の如くあり、流れの如くある。そんな人生を送りたいと望みながらも、我が心に昇るるは、邪教に似た徘徊という名の化け物であった。

 世もすがら、酷刑に似た干渉だけが醜く蹲り、己の人生を顧みよと脅迫す。自らの人生とは無駄であったと言わんばかりに、劣悪な醜態を曝しながら、みにくく醜く、生きる背景がある。

 心あふるるに、言葉巧みに去らしては、心巧みに越境する日々の糧を受けんとす。ながるる川とせしめんとした己が人生の徘徊に世もすがら疲れ果て、まだ生きなくてはならぬのかと、愚痴をこぼすが聞く耳を立てるものはなし。最果ての街を思いし時、故郷を思い出し、その街のぬくもりを感じ入る。

 欺瞞とは、己が人生の詐称行為であり、自分を騙せても、人に見破られる恐怖に脅えながらも、疝気に似た抉られるような気持ちと腹這いになりながら進む行進曲のように、受け止めがたい憎しみを覚えた。我が心ここにはなし。最果ての街に消え行く幾つかの魂に導かれし肉体の門を思い出すべし。桃尻娘とは、揺れながら、その若き執念を感じ入る。恥じらいも捨て去り、抱かれる乙女心は、吉原に似た感情を思い出すではないか。ただ揺さぶられて抱かれ続ける女子に価値は無し。

 すべからつ、おもい思いにはしためをくわえども、我が心躍ること無し。今じぶんに訪れし悦興に興醒めしながら、夜もすがら女子を抱く思いにあき飽きとする。左翼へ転げまわれば醜態を晒す。右翼へ転げまわれば、肉体を晒す。どちらに転んでも痛みはある。人間の世情とは、情けがなく、世論に塗れた思いとは、すげもなし。

 欺瞞晴れても、我が心定着することなく、悦楽を求める。才や力、誹りや傍観とは性に合わず。ただ四顧して短調、心の赴くままに生き恥をさらすべし。慮りに心を曲げる。曲げた先から千羽鶴は飛び立つ。飛び立ちながら、「さよなら」を告げる。孤独死とは、お前の事だというばかりである。

 喜び、勇み、背中を丸めて歩む姿は、どんな猿よりも滑稽であり、単純な作業ほど飽きるものはなし。世界とは大きく、世界とは小さく……。我が心、見つからんといいながら、世情にながるる川を渡るべし。おもい思いに、掌返しを繰り返しながらも、生きる姿とは醜く。我が心ここにはなく。どこへ行けば、心境滅却できるのかと思うべし。

 夜もすがら更けてやんした。身の毛も与奪とはこのことであり、誰にも愛されない。誰にも見られない。誰にも見つからない。そんなめくらな人生を歩んでいるからこそ、そこに書ける言葉があり、伝える心がある。もゆる思いと、伝書鳩のような機関車が今日も走る。そこには我が心ありと思う。

 ゆるりゆるりと進む人生論には、その言霊の意味がある。言葉とは、邪教ではない。その体朽ちるまでお仕えするキリスト・イエスであり、その思いとは、麗らかな夏の夕日に似た面影残す。日が暮れながら、夜興が遣って来る。何度も言い聞かした。人生哲学と我が思想に、思いを馳せる。おもい思いに越境する。たがい互いに、超越す。その心はどこにあるのか。今はなき感情鈍磨に心を奪われ病巣に通う魂とは麗らかな夏の雨季の時期に起こる。魂あるところに我が心あり。今日を生き、明日を生きる。それこそが、孤独死へと立ち向かう我が心の太刀打ちできる術である。

 今日を生き、明日を生きるとは簡単なことではない。普通とは違うのですから。それでも、我が心、健やかに、なだらかに下りし時に思うのは、故郷の風に似た、和みという空であると思うのである。おもい思われ、世間を渡る。今日を過ぎれば明日がくる。当たり前のことにも、当たり前ではないのだと言い聞かす。世の中、あるべくして起こることはなし。無い中から、捜し求め、求め続けた中に、時々ある幸福を感じ入りながら、人の営みとは過ぎるものである。
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