忖度~腹上死「刑務所内」か「社会」か

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忖度~腹上死「刑務所内」か「社会」か

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現在、刑務所内での処遇については「麦飯やタイ米の方が高い」ため、拘置所や刑務所内の食事は「銀シャリ(普通の白飯)」が基本となっています。朝食には白米、お味噌汁、おしんこ(ほうれん草のおひたし)、焼き魚が提供されます。昼食には白米やパン(パンの際にはジャムとマーガリンがセットで出されることもあります)と、おしるこやたんぱく質が多く摂れる料理が用意されています。正直なところ、社会に出て自分の体調を自分で管理するようになり、刑務所内の食事の方が美味しかったと感じています。滋養や強壮のために試行錯誤せずに、出されたものだけを食べていればよかったからです。

社会では、コンビニのお弁当やファーストフードなど、さまざまな食の選択肢がありますが、それでもカロリーが不足していると感じることがあります。栄養士が各刑務所内に常駐し、その日のカロリーを計算して食事を管理しているため、食事の質が保たれています。しかし、私が刑務所に戻らない理由は一つではありません。複数の理由が重なり、自由と刑務所内の生活に大きな違いはないと感じるからです。自由であろうと、刑務所内であろうと、同じ一つの部屋にいるような感覚があり、社会にいる方が良いと考えています。

また、刑務所内ではいじめやその他の問題もありますし、私には徳がありません。損得なく生きると言われますが、最終的に人間は忖度に頼ってしまうのが現実です。社会にいれば、刑務所内のようにアダルトビデオが見られないことはありませんが、相手がいないため、悪事を犯さずに済む結果となります。つまり、人間社会においての悩みやストレスを晴らす必要がないため、私はその点で刑務所内よりもマシだと感じています。

刑務所においては、悪事を重ねることで支払い用紙以外には腹が立つことはありませんでしたが、今は逆にストレスの中にあります。家を失い、ストレスに恵まれた現在では、家の中での口論が絶えません。殴ったり、蹴ったり、斬り付けたりといった行為が頻繁に起こりますが、警察署や救急車の世話になるときだけは、口裏を合わせるようにしています。無駄な罪で警察が私服を肥やさないためです。

刑務所内では、人と接する機会があり、雑居では良いこともあります。部屋長や五番手まで固まった部屋では、悪事を重ねても罪に問われることはほとんどありません。これは、懺悔や罪の意識を強化することで身を守ることができるためです。早く出たいと思えば思うほど、脚の引っ張り合いが行われることもあります。その一つの社会的概念がセックスです。男性同士のセックスで安堵することもありますが、精神病棟内で男女のセックスが問題となるのを多くの病院で見てきました。女性の方が困るでしょうね。

セックスがいくら発達した神経や肉体で行われても、同一の体験にはなりません。男と男であれば問題が少ない分、苦痛が続くことになります。私は男根を銜え続けて出所した男性を多く知っています。風俗店を探さずに済む点では、迷いなく刑務所の方が楽です。いくらでもサボる方法を編み出すことができるからです。しかし、一つだけ許されないことがあります。それは、男女の恋愛に陥る前触れすら味わえないことです。これは拷問であると感じています。ですから、私は刑務所には戻りません。戻るくらいなら、腹上死を選ぶでしょう。そして、煙草とお酒が飲めているうちは、刑務所内には戻らないでしょう。
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