舞姫 遠藤さくら(著)

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「姫様~!」冬至胃(とうじい)は、叫ぶ。「姫様どこでごじゃるか~!?」

(あちらに見えて、こちらに在らず。そのお姿は、手鞠を蹴るかのような舞うの意図から、舞姫と名付けられたそうな。)

「冬至胃~!」お花がとっても~綺麗よー。舞姫は、そこかしこに、残像を残しながらも、進む。

(それゆえに、その残像を追い駆けるのがやっとで、冬至胃は、夕方まで駆けずり回ることになる。)

「だって、こんなに、こんなにもよ~!お花のはなびらが咲き乱れているんですもの~……。」

(蹴鞠のように舞い散るはなびらの中で棚引くピンク色の着物。そのお姿は、御身可愛さとばかりの、まるまるとした子供であったそうな。)

「河原へ行っては、いけませんぞー!姫様……。」

(河原では、その前の日にごうごうと降り注いだ雨による氾濫が起きていた。)

(ぽちゃん……。雨の雫が滴り落ちては、降り注ぐはなびらと共に、そこにいた。)

「ざぶーん、ざぶーん。まるで、海の浜辺のように氾濫した河原が口をあんぐりと開いて、階下に広がりをみせている。呑み込まれたら、一貫のお陀仏だろう……。」

花びら舞い散る雪景色。今も投法の髪を揺らしてる。花びら舞い散る雪模様。黒髪、色濃く。

根付いた、白羽魏。穢れなき少女の隠匿の是が非か。鬼の形相で飛び掛らんとす。

舞い散る舞姫と駆けつけた冬至胃により、一網打尽にされんとす。

健気なあわよくば、汐に寅と百虎。空蘭の舞にて蹴散らさん。

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「冬至胃~!お花が綺麗よー……。」

「そうですな。姫様……。」

「お父様とお母様は?わたくしの父上や母上は、何時になったら、会えるのでしょうか?」

「姫様が大人になったら、会えましょうぞ。」

「そう……。」

ため息を「ほっ」とついてから、七夕祭りの準備をする舞姫。

こちらは、お父様へ。こちらは、お母様へ。

そういうと、にっこりと微笑んだ……。

「ねえ。冬至胃……。」

「なんですかな?姫様。」

「わたくしが思うに、お父様とお母様は、河原でお亡くなりになったとか。」

「はい……。」

「河原は守り神なのではないかしら?」

「そうですなー。きっと、そうあるべきなんですなー。」

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