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ぴくにっく 遠藤さくら(著)

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舞姫 遠藤さくら(著)

すずりはさくらの本棚
現代文学
☆☆☆☆☆ 「姫様~!」冬至胃(とうじい)は、叫ぶ。「姫様どこでごじゃるか~!?」 (あちらに見えて、こちらに在らず。そのお姿は、手鞠を蹴るかのような舞うの意図から、舞姫と名付けられたそうな。) 「冬至胃~!」お花がとっても~綺麗よー。舞姫は、そこかしこに、残像を残しながらも、進む。 (それゆえに、その残像を追い駆けるのがやっとで、冬至胃は、夕方まで駆けずり回ることになる。) 「だって、こんなに、こんなにもよ~!お花のはなびらが咲き乱れているんですもの~……。」 (蹴鞠のように舞い散るはなびらの中で棚引くピンク色の着物。そのお姿は、御身可愛さとばかりの、まるまるとした子供であったそうな。) 「河原へ行っては、いけませんぞー!姫様……。」 (河原では、その前の日にごうごうと降り注いだ雨による氾濫が起きていた。) (ぽちゃん……。雨の雫が滴り落ちては、降り注ぐはなびらと共に、そこにいた。) 「ざぶーん、ざぶーん。まるで、海の浜辺のように氾濫した河原が口をあんぐりと開いて、階下に広がりをみせている。呑み込まれたら、一貫のお陀仏だろう……。」 花びら舞い散る雪景色。今も投法の髪を揺らしてる。花びら舞い散る雪模様。黒髪、色濃く。 根付いた、白羽魏。穢れなき少女の隠匿の是が非か。鬼の形相で飛び掛らんとす。 舞い散る舞姫と駆けつけた冬至胃により、一網打尽にされんとす。 健気なあわよくば、汐に寅と百虎。空蘭の舞にて蹴散らさん。 ☆☆☆☆☆ 「冬至胃~!お花が綺麗よー……。」 「そうですな。姫様……。」 「お父様とお母様は?わたくしの父上や母上は、何時になったら、会えるのでしょうか?」 「姫様が大人になったら、会えましょうぞ。」 「そう……。」 ため息を「ほっ」とついてから、七夕祭りの準備をする舞姫。 こちらは、お父様へ。こちらは、お母様へ。 そういうと、にっこりと微笑んだ……。 「ねえ。冬至胃……。」 「なんですかな?姫様。」 「わたくしが思うに、お父様とお母様は、河原でお亡くなりになったとか。」 「はい……。」 「河原は守り神なのではないかしら?」 「そうですなー。きっと、そうあるべきなんですなー。」 ☆☆☆☆☆

枯渇した安らぎという名前の「安里」という里 遠藤さくら(著)

すずりはさくらの本棚
現代文学
 我文芸にあらず。灯火は消えんとす。我汝に問う。学業の神がいるならば、その神はきっと、不公平なのだろう。我文学にあらず。その打ちひしがれた心は抉られて、胸のうちで泣いている。達せられなかった思いとは、数知れず。それは星の数ほどになるだろう。囲炉裏が、宮中にて、舞いながら、上を行く。その姿を見てもなお、我の心はここにはなく、戦時中の足音に気圧されて、慄くばかりだ。足音は次第に大きくなりながら、我の心を疑心暗鬼とならせる。我思いを馳せる。故郷に残された、偉人たち。彼らは、今日もひねもす。その心は、掌までが、暗中模索にあり。消えかけた、月の欠片を眺めては、安らぎという名前の「安里」を思い返す。踵を返して立ち去ろうにも、焼けた野原にかつての国の栄華はない。栄枯盛衰の如しである。数々の試練を受けて、心が張り裂けんと泣いている。それでも時代のうねりとは、まごうことなき烈火となって、我の身を焼き尽くす。広島長崎に原爆が落ちた時。今の未来を誰が望んだであろうか。我の心は失墜した。ひらひらと掌を翳して、日本国へと思いを馳せる。馳せた思いは、空回りしながら、宙で回り続けた。それら回転木馬というべき、メリーゴーランドは、いつまでもいつまでも。我の心に「ぽかーん」と開き続ける空洞となる。ドーナツの穴のような開き切った傷跡に、埋めるものはなし。あるのは、時の経過という偽善であるかのようである。川は流れる。雨が「しとしと」と降り続けている。そう、こんな、五月雨の季節にこそ、我の心は洗われるかのようである。枯渇した安らぎの遠吠えは、今日か明日かには消えんとす。悲しみの色だけを残して、川は流れ続けている。色褪せない思いと故郷への思いだけが、我を「ふかい深い」海の藻屑へと安らぎを求めて彷徨う魂となる。ぼーっとする。ぼーっとする時だけが、心のケアになるかのようである。新陳代謝とでもいうべきか。今日は西へ東へと安らかな思いを求めて、彷徨う魂。我の思いとは何処へ……。そんな唸り声を上げているのである。その汽笛に似た、暴走列車は、今日もたゆみなく、運行し続けている。枯渇し切った故郷への思いと安らぎへの思い。思いとは、重なり合いながら、二重瞼の奥へと消えてゆく。自己憐憫とたしょうなりの「ユトリ」を残して……。安里は消えた。未だに、その心は、日本にはいないという。

愛に形があるのなら 遠藤さくら(著)

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のどのどか「エッセイ集」

すずりはさくらの本棚
現代文学
 今年も上野にて「モネ展」が開催される。芸術を見ていると落ち着く。久しぶりに、足をはこぼうかと思う。レッサーパンダの「ファンファン?シャンシャンでしたー」は、今年で七歳だという。記憶の片隅では「ファンファンしか覚えていない。」きりんやぞうも好きな動物のひとつです。ちけっとぴあを眺めていると、さまざまなもようしものが、半年先まで埋まっていた。乃木坂関連は六月で締め切っていた「夏のコンサート。」いきなり行く気になり、しかし、お金はなく、真夏に動きたくはない。しかし、真夏に思い出を・・・。そこで、「モネ展」などを調べた次第である。なんだか、つまみ食いに似た感情が襲う。親に怒られる。あの感じだ。実際に食べすぎなければ親は怒りはしない。いったい人の記憶とは、どれだけ都合よくできているのだろう。  新巻の「PHP」8月号は届いた。今月は「ダリア」が綴られていた。しかし、7月号の「かすみ草」に一目ぼれをしてしまい、7月号ばかりを眺めている。季節の草花は、移り変わり、2月に散歩をしはじめてから、あっという間に、梅や桜の季節が終わりを告げた。いまは、日本の四季折々の花々が、花屋の店頭を彩る。そして、6月に購入した雑誌を含めた新巻たちは、たいして読まれずに、積み本となる。今年に入ってから読み終えた本は、まだ数えるほどしかない。買うときだけは、「るんるん」でその世界を無双した気分になるのだが、アマゾンなどにて購入できるようになった今、神保町まで行き、苦労して、予約して、やっとの思いで手に入れた本とは違い、ただお金だけが飛んでゆく。さらには、機種変更に伴い、または、OSの入れ替えに伴い、データを消してしまうために「理由はアカウントのハッキングやクラッキングによる乗っ取りや、キャッシュカードなどの悪用が原因でアカウントの削除」、新たな生活へと飛び込む。今回もデビットカードを止められた。現在は足腰が悪いために、銀行へは行けない。そんな状況の中、暮らしている。  周囲は努力はしているというが、実を結ばない、が続き、天職と呼べるのだろうかと思ってしまう。もともと、お金には、興味がないような?嘘をつけ!と自分の中の誰かが叫んでいる。なんども何度も騙し取られたり、アカウントをハッキング乗っ取られているうちに、真面目に働く気が失せた。働いても、働いても、ただ働きが続く。その度に、YouTubeなどは削除してきたが、いまとなっては、放置するようになった。真面目に働くことは悪くない。本当にそう思う。しかし、足の引っ張り合いをするような根性もない。ないないづくめの私にできることといえば、素知らぬ振りをして、不利を認めるだけだった。

パパ活ある~あるー 遠藤さくら(著)

すずりはさくらの本棚
現代文学
☆☆☆☆☆ 「ねえ、ねえ、パパ~!」 「うむ。なんだね?」 「里佳(りか)ねえー、お姉ちゃんになりたいのー。」 「そうか、そうかー。里佳ちゃんは、かわいいなー。」 「ねえ、ねえ、パパー……。あのバッグが欲しいの~!?」 「あれ?あのバッグ。買え与えなかったけ?ねえ、里佳、おじさんのこと、騙してないよなー!?」 ☆☆☆☆☆ 「ねえ、ねえ、パパ~!」 「どうしたんだい?里佳。」 「里佳ねえ、パパの○○なところが大好き~!!」 「……。」 「うん?パパ、どうしたの!?」 「俺にそんなところあったっけなー?」 ☆☆☆☆☆ 「うえーん。痛いよー……。」 「きみきみ、どうしたんだい?」 「きらんっ。釣れたよ、おじさま……。いくら引っ張れるかなー……。」 ☆☆☆☆☆ 「もしもし、このあいだ貸したお金、いつ返してくれるの?」 (やっばっ!!おじさま、ブロックしわすれちゃったなー。) ☆☆☆☆☆ 「ねえ、ねえ、パパ?」 「どうしたの、里佳ちゃん。」 「お金貸してくれないかなー?」 「いいよ。お店につけとくからねー。」 「はーい。ありがとう!駿くん大好き!!」 「ホストクラブの売り上げに貢献してくれてるからねー……。」 「この女、馬鹿だなー……。どうせ、闇落ちしちゃうのに……うけけ……」 ☆☆☆☆☆

ふわり、雨の匂い

七草すずめ
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結婚を約束した広樹から、突然別れを告げられた女、美雨。 感情を表に出すことができない彼女が唯一自分をさらけ出せる場所。それは、ネット配信だった。 歯止めが効かなくなった美雨は、自らの狂気に呑み込まれていく……。

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 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

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