枯渇した安らぎという名前の「安里」という里 遠藤さくら(著)
我文芸にあらず。灯火は消えんとす。我汝に問う。学業の神がいるならば、その神はきっと、不公平なのだろう。我文学にあらず。その打ちひしがれた心は抉られて、胸のうちで泣いている。達せられなかった思いとは、数知れず。それは星の数ほどになるだろう。囲炉裏が、宮中にて、舞いながら、上を行く。その姿を見てもなお、我の心はここにはなく、戦時中の足音に気圧されて、慄くばかりだ。足音は次第に大きくなりながら、我の心を疑心暗鬼とならせる。我思いを馳せる。故郷に残された、偉人たち。彼らは、今日もひねもす。その心は、掌までが、暗中模索にあり。消えかけた、月の欠片を眺めては、安らぎという名前の「安里」を思い返す。踵を返して立ち去ろうにも、焼けた野原にかつての国の栄華はない。栄枯盛衰の如しである。数々の試練を受けて、心が張り裂けんと泣いている。それでも時代のうねりとは、まごうことなき烈火となって、我の身を焼き尽くす。広島長崎に原爆が落ちた時。今の未来を誰が望んだであろうか。我の心は失墜した。ひらひらと掌を翳して、日本国へと思いを馳せる。馳せた思いは、空回りしながら、宙で回り続けた。それら回転木馬というべき、メリーゴーランドは、いつまでもいつまでも。我の心に「ぽかーん」と開き続ける空洞となる。ドーナツの穴のような開き切った傷跡に、埋めるものはなし。あるのは、時の経過という偽善であるかのようである。川は流れる。雨が「しとしと」と降り続けている。そう、こんな、五月雨の季節にこそ、我の心は洗われるかのようである。枯渇した安らぎの遠吠えは、今日か明日かには消えんとす。悲しみの色だけを残して、川は流れ続けている。色褪せない思いと故郷への思いだけが、我を「ふかい深い」海の藻屑へと安らぎを求めて彷徨う魂となる。ぼーっとする。ぼーっとする時だけが、心のケアになるかのようである。新陳代謝とでもいうべきか。今日は西へ東へと安らかな思いを求めて、彷徨う魂。我の思いとは何処へ……。そんな唸り声を上げているのである。その汽笛に似た、暴走列車は、今日もたゆみなく、運行し続けている。枯渇し切った故郷への思いと安らぎへの思い。思いとは、重なり合いながら、二重瞼の奥へと消えてゆく。自己憐憫とたしょうなりの「ユトリ」を残して……。安里は消えた。未だに、その心は、日本にはいないという。
目次
感想
あなたにおすすめの小説
【明日からスタート‼️】「脆弱能力巫女の古代女王「卑弥呼たん」門真市ニコニコ商店街に転生す!」
M‐赤井翼
現代文学
赤井です。
今回は、いつもの「ニコニコ商店街」と「こども食堂」を舞台に「邪馬台国」から「女王 卑弥呼たん」がなつ&陽菜の「こっくりさん」で召喚!
令和の世では「卑弥呼たんの特殊の能力」の「予言」も「天気予知」も「雨乞い能力」もスマホや水道の前には「過去の遺物」(´・ω・`)ショボーン。
こども食堂で「自信」を持って提供した「卑弥呼たん」にとっての最高のご馳走「塩むすび」も子供達からは「不評」…( ノД`)シクシク…。
でも、「女王 卑弥呼たん」はくじけない!
「元女王」としてのプライドをもって現代っ子に果敢にチャレンジ!
いつぞや、みんなの人気者に!
そんな「卑弥呼たん」になじんだ、こども食堂の人気者「陽葵ちゃん」に迫る魔の手…。
「陽葵ちゃん」が危機に陥った時、「古代女王 卑弥呼たん」に「怒りの電流」が流れる!
歴史マニア「赤井翼」の思う、「邪馬台国」と「卑弥呼」を思う存分に書かせてもらった「魏志倭人伝」、「古事記」、「日本書記」に「ごめんなさい!」の一作!
「歴史歪曲」と言わずに、「諸説あり」の「ひとつ」と思って「ゆるーく」読んでやってください!
もちろん最後は「ハッピーエンド」はお約束!
では、全11チャプターの「短期集中連載」ですのでよーろーひーこー!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
バレンタイン作品集👩一人用、👨一人用、👩👨二人用声劇台本
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
バレンタイン関連の声劇台本。
5分以内のショートショート作品をこちらにまとめました。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
※こちらの作品は男女入れ替えNGとなりますのでご注意ください。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい
蜜柑製の死
羽上帆樽
現代文学
毎日500文字ずつ更新する詞です。その日の自分の状態が現れるだろうと予想します。上手くいく日もあれば、そうでない日もあるでしょう。どこから読んでも関係ありません。いつから知り合いになっても関係がないのと同じように。いつまで続くか未定です。続くまで続きます。
隣の声
お花
現代文学
『死にたい』
隣からは、毎日そう聞こえてくる。
死にたいのはこっちだ。馬鹿野郎。
漫画喫茶に住む男の話です。
他投稿サイトのコンクールのために書き下ろしました。
テーマは「お金がない」
2.3分で読める分量なので、隙間時間にぜひ。
赤いリボンが揺れるとき
文藻ケノヒ
現代文学
――ぼくは、彼女の身体を愛しているのだ。
高校生の士門(しもん)は一人の女の子を愛していた。
士門は、彼女を日夜問わず観察し、後を追いかけ、美的欲求を満たしていたのだった。
そんな高校一年生の九月、クラスに転校生がやってきた。
名前は左岸。
彼女はなんの変哲もない女だったが、彼女の転校を境に、士門の生活は激変してゆく――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる