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有毒な成分
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それらすべてがせん妄なのであり、幻覚であるのだが、煮沸機の変わりに使用する睡眠薬とは、恐ろしい結果を引き起こすものだと結論付けた。
私は入院生活を続けながら、自分が経験した一連の出来事がすべて「せん妄」と呼ばれる意識障害の一部だと医師から聞かされる度に、どこか腑に落ちない気持ちを抱えていた。それでも、まるで夢の中をさまよっているかのような不安定な感覚や、時折感じる幻覚が現実と非現実の境界を曖昧にしているようで、疑う余地はなかった。目の前の風景も、そこで交わす言葉も、幻覚か現実かの判別がつかず、私はますます混乱していた。
ある夜、医師が私の枕元で語りかけてきた。「どうしてこんなにせん妄が長引いているのか、その原因について調べているんです」と。彼は私の生活環境について詳しく尋ねた。私はかすかな記憶を辿り、睡眠に問題があったこと、よく眠れるように薬を使っていたことを思い出した。眠りが浅く、毎晩のように何かに苛まれるように目を覚ましていた私は、つい数年前から睡眠薬をお湯で温めて使う習慣をつけていた。煮沸機を持っていなかったため、代わりに鍋でお湯を温めて、そこに薬を溶かし込むと部屋中に香りが広がり、気がつけば心地よい眠りに落ちていた。
医師は静かに話を聞いていたが、眉間にしわを寄せていた。その様子が何かを暗示しているかのようで、私は不安を覚えた。数日後、医師が慎重に言葉を選びながら語った内容は、私に冷水を浴びせかけるようなものだった。「あなたが使っていた睡眠薬の成分が、熱で変化して有毒な成分を発生することがあると考えられます。その成分を長期間吸入することで、せん妄を引き起こした可能性が高いのです」と。
私は愕然とした。自分のための小さな習慣が、まさかこんな恐ろしい結果を引き起こすとは思いもよらなかった。安らぎを求めて、深い眠りを追い求めて始めたこの方法が、私の体と心を蝕んでいたのだ。私のせん妄や幻覚、現実感の混濁は、すべてこの睡眠薬によって引き起こされていたという事実に気づかされた。
それ以来、私はその薬を使うのを止め、医師たちの指導のもと慎重に治療を続けた。しかし、後遺症は深く残っていた。心肺停止にまで至った自分の体験や、夢の中のように感じた日々は、まるで悪夢のように今も頭の中に鮮明に焼きついている。完全に覚めない夢の中にいるような感覚が時折訪れ、その度に現実との境界線が揺らぐ。
今は医師の治療とただ「運がよかった」としか言えないが、私はいまだに意識障害とせん妄の影から逃れることができない。あの夜から、私の中には恐怖と不安が根付き、いつまたあの幻覚が戻ってくるのかと怯え続けている。
私は入院生活を続けながら、自分が経験した一連の出来事がすべて「せん妄」と呼ばれる意識障害の一部だと医師から聞かされる度に、どこか腑に落ちない気持ちを抱えていた。それでも、まるで夢の中をさまよっているかのような不安定な感覚や、時折感じる幻覚が現実と非現実の境界を曖昧にしているようで、疑う余地はなかった。目の前の風景も、そこで交わす言葉も、幻覚か現実かの判別がつかず、私はますます混乱していた。
ある夜、医師が私の枕元で語りかけてきた。「どうしてこんなにせん妄が長引いているのか、その原因について調べているんです」と。彼は私の生活環境について詳しく尋ねた。私はかすかな記憶を辿り、睡眠に問題があったこと、よく眠れるように薬を使っていたことを思い出した。眠りが浅く、毎晩のように何かに苛まれるように目を覚ましていた私は、つい数年前から睡眠薬をお湯で温めて使う習慣をつけていた。煮沸機を持っていなかったため、代わりに鍋でお湯を温めて、そこに薬を溶かし込むと部屋中に香りが広がり、気がつけば心地よい眠りに落ちていた。
医師は静かに話を聞いていたが、眉間にしわを寄せていた。その様子が何かを暗示しているかのようで、私は不安を覚えた。数日後、医師が慎重に言葉を選びながら語った内容は、私に冷水を浴びせかけるようなものだった。「あなたが使っていた睡眠薬の成分が、熱で変化して有毒な成分を発生することがあると考えられます。その成分を長期間吸入することで、せん妄を引き起こした可能性が高いのです」と。
私は愕然とした。自分のための小さな習慣が、まさかこんな恐ろしい結果を引き起こすとは思いもよらなかった。安らぎを求めて、深い眠りを追い求めて始めたこの方法が、私の体と心を蝕んでいたのだ。私のせん妄や幻覚、現実感の混濁は、すべてこの睡眠薬によって引き起こされていたという事実に気づかされた。
それ以来、私はその薬を使うのを止め、医師たちの指導のもと慎重に治療を続けた。しかし、後遺症は深く残っていた。心肺停止にまで至った自分の体験や、夢の中のように感じた日々は、まるで悪夢のように今も頭の中に鮮明に焼きついている。完全に覚めない夢の中にいるような感覚が時折訪れ、その度に現実との境界線が揺らぐ。
今は医師の治療とただ「運がよかった」としか言えないが、私はいまだに意識障害とせん妄の影から逃れることができない。あの夜から、私の中には恐怖と不安が根付き、いつまたあの幻覚が戻ってくるのかと怯え続けている。
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