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【5】切ない予感
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自宅のマンションまで戻ってくると、勇士郎は五階の自分の部屋を見上げた。その窓に明かりが点っているのを見てホッとする。
帰ってきたのだと思えて、ずっと緊張していた身体から自然と強ばりがほどけた。自分の部屋を見て、そんな風に感じたのは初めてだった。
勇士郎がチャイムを鳴らすと、すぐに温人が玄関ドアを開けてくれた。その顔を見たとたん、胸の奥がじわりと熱くなった。
「おかえりなさい」
「うん。…ただいま」
温人は勇士郎の持っていた荷物を持って、明るい室内へといざなってくれる。
「疲れたでしょう。お風呂入りますか」
「うん、せやな。温人は夕ご飯食べたん?」
「まだです。ユウさんがお腹すいてたら一緒に食べようかなと思って」
「ほんま? せやったらすぐ入ってくるから、ちょっと待っとって」
「はい、ゆっくりどうぞ。今日はオムレツですよ」
「オムレツ!? オレの好物やん」
「はい。準備しておくので、焼くのつきあってください」
「分かった、待っとり!」
勇士郎は自室に荷物を置いて、スーツを素早く脱ぐと、着替えを持って風呂場へと向かった。
温人が勇士郎の好物を用意してくれたのは、きっと今日、結婚式に出席したことへのご褒美なのだろう。
ここ最近の勇士郎の様子に、当然温人も何かを感じ取っているはずだ。けれど何も訊かずに、そっと勇気づけ、励ましてくれる温人の存在が、勇士郎には本当にありがたかった。
風呂から出て、Tシャツとゆったりしたハーフパンツを身に着けると、勇士郎はほどよく冷房の効いたダイニングへと向かった。
温人がダイニングテーブルの上に、溶いた卵や刻んだ具を並べている。
「うわ、チーズも入れてくれるん?」
「はい、チーズとトマトとほうれん草のオムレツです」
「めっちゃ美味しそうやん」
「あとは具を入れて混ぜたらもう焼けます」
「よっしゃ、混ぜよ混ぜよ」
温人はわくわくした様子の勇士郎に微笑んで、細かくカットしたトマトと、予めレンジで下準備したほうれん草を、溶き卵の入ったボウルに入れた。そこにチーズと牛乳を加え、塩、こしょうを振ってから、ゆっくりとかき混ぜる。
そして勇士郎にボウルを手渡すと、温人はフライパンにオリーブオイルを落として、勇士郎がしっかり見ていることを確認してからゆっくり火を点けた。
リハビリの最初の頃は、つまみを回すまでに随分時間がかかったが、今では勇士郎の目を見てからすぐに点火出来るまでに進歩している。
「大分慣れたやん。もうそんな怖ない?」
「まだちょっと緊張しますけど、ユウさんがいてくれるので大丈夫になりました」
温人からの全幅の信頼を受けて、勇士郎はくすぐったい気持ちになる。温人に頼って貰えるのは純粋に嬉しかった。
オイルが熱せられたところへボウルの中身を静かに流し入れて、焦げ付かないように慎重に焼く。ほどなく良い匂いがキッチンに拡がり、勇士郎は久々に純粋な空腹を覚えた。
オムレツの他に焼きたてのパンとコンソメスープ、グリーンサラダを用意して、二人は食卓についた。
一緒に手を合わせて、いただきますを言う。
「うん、旨い! めっちゃ旨いでコレ!」
オムレツは割ると中身がトロリと零れだす絶妙な焼き加減だった。
「ほんとだ、大成功ですね。すごく美味しいです」
温人も頷いて、勇士郎に微笑む。
熱い黄金色のスープも、瑞々しいサラダも、どれも本当に美味しくて、それはきっと温人が勇士郎のために作り、こうして一緒に食べてくれているからだろうと勇士郎は思った。
部屋には静かに音楽が流れている。勇士郎の部屋でかけている映画音楽が聞こえてくるのだ。
いつも勇士郎が聴いている自選のCDで、往年の名画のテーマ曲を集めたものだ。ドアを開け放して、今夜はゆったりとした気分に浸る。
「綺麗な曲ばっかりですね。聴いたことあるやつが多いです」
「せやろ。ロミオとジュリエット、カサブランカ、ひまわり、エデンの東、道、シェルブールの雨傘、追憶、雨に唄えば、ゴースト、ニュー・シネマ・パラダイス、THE ROSE…。名画と呼ばれるもんには、良いテーマ曲がついとるもんや。そういう曲には愛を歌ったもんが多い。……せやから惹かれるんかな……」
(オレには縁がないから)
勇士郎が寂しげにちいさく笑うと、温人は目を見開き、それから何か言いかけたが、勇士郎はそれをさりげなく遮った。
「せや、この髪な、すごい似合てるて褒めてもろたで」
「ほんとですか。良かったです」
「ええ結婚式やった。ほんまに」
「良かったですね」
「温人のおかげや、ほんま…」
そう言ったとたん、ふいに熱いものがこみあげ、勇士郎はナイフを持ったまま、手の甲で零れ落ちた涙を拭った。
「……ユウさん」
温人が痛ましげに声をかける。
「違う、……ごめん、なんかホッとしたんや。オレの青春、ちゃんと終わらせられたんやなって、思って」
勇士郎はもう一度グイと涙を拭うと、温人に微笑みかけ、涙を呑み込むように、熱いスープを口に運んだ。
夕食が終わってから、勇士郎は温人と一緒に一本の映画を観た。有名なイタリア映画『ニュー・シネマ・パラダイス』だ。
映画監督として成功した主人公が、自分の人生に大きな影響を与えた、歳の離れた友人の死をきっかけに、映画少年であった頃の忘れがたい思い出や、青年期の美しく悲しい恋を回想しながら、映画と共にあった自分の半生を振り返るという物語だ。ユーモアと感傷と郷愁が観る者の共感を呼び、涙を誘う。
ワイン片手にリビングのソファに並んで座りながら、時々言葉を交わしたり、見入ったりしながらゆっくりと鑑賞した。
そして物語は終わりへと近づく。
それはあまりにも有名な、美しいラストシーンだった。ノスタルジックで、切なく甘美な愛のテーマ曲とともに、かつては禁じられたシーンたちが、彼らの遠く失われた輝かしい青春の日々が、雪のように、星のように、次々とスクリーンの上に浮かびあがっては消えてゆく。
「オレの大好きなところや。シーンが降ってくるみたいやろ……。すごい綺麗で、いつもここで泣きそうになる……」
「……綺麗ですね、ほんとに」
そう呟いた温人が、勇士郎の横顔を見ていたことに勇士郎は気付かない。
「せっかく買うたから、この曲もレコードプレーヤーで聴けたらええなあ」
「そうですね」
穏やかに返してくれる温人の声がとても優しくて、勇士郎はほっと息をつく。
「オレな、あんまし人とおんの好きやないねん。気ぃ遣てまうし、自分のこと話すんも苦手やし、……でも温人とおるんは、なんか落ち着く」
すっかりワインに酔っている勇士郎は、潤んだ目で温人を見つめてしまっていることに気付かないまま、ふわりと笑う。温人がハッと息を呑んだことにも、苦しげに目を伏せたことにも気付かずに、ぼんやりとエンドロールを見つめていた。
温人の後押しのおかげで、辻野の結婚式を乗り切れたことで、気持ちが吹っ切れたような気がしていた。
けれど今度は、今隣にいる温人のことがとても気になり始めている。いつでもさりげなく勇士郎の心を慮ってくれる、優しい男のことが。
(でもこんなん知られたら、気持ち悪いて思われるよな、絶対……)
そう思って自分の心を戒めるのに、それでもやっぱり温人の隣は心地よくて――。
「オレな……、ほんまはな……」
ふわふわと霞みがかった頭で、勇士郎はちいさく囁くように言いながら、逞しい肩にコトリと頭を預けて、そのまま目を閉じた。
翌朝は少しばかり酒が残っていたものの、シャワーを浴びて、温人が用意してくれたトーストとサラダの朝食を食べ終わる頃には頭もスッキリとしていた。気分も悪くない。
なんとなく良い日になりそうだと思っていた矢先、温人からとんでもないことを訊かれた。
「ユウさんて、辻野さんのことが好きだったんですか」
「――え?」
麦茶を飲む手を止めて、呆然と温人を見つめる。
「だって昨夜、言ってましたよね、男の人が好きなんだって。青春を終わらせられたっていうのも、そういう意味なんじゃ」
「誰が?」
「ユウさんが」
「え?」
「え、」
「ええっ?」
「ええっ!?」
「う……は、ははっ、……ぅ、」
「う?」
「……ウソやんな?」
「いえ? 嘘じゃないですよ。『オレ、男しかアカンねん』て言ってました」
勇士郎は穴が開くほど温人を見つめ、次の瞬間、電光石火の速さで自室へと逃げ込んだ。
ベッドに頭から潜り込んで、ギュウウッと小さく縮こまる。
(アホや…! アホやアホやアホやあぁ―――!!)
あまりの衝撃と情けなさに涙が出て来る。
「ユウさん……」
ドア越しに心配そうな温人の声が聞こえる。
「く、来んな!!」
布団の中から大声で叫ぶ。それでも温人は部屋に入ってきた。
「来んな言うてるやろ!」
「ユウさん、すみません、不躾なこと訊いて。……でも、ユウさんがとても辛そうだったから、心配で、……それになんかちょっと、悔しかったっていうか……」
「……どういうイミや、悔しいて」
鼻をぐすぐす言わせながら、弱々しく訊く。
「そんなに想われて、辻野っていう人は幸せだなって。……そんなに長く、一人のひとを想っていたっていうのも、凄いことだって思いました」
穏やかで落ち着いた声に、勇士郎の心も次第に落ち着いてくる。
勇士郎は思い切って、布団からちょこっと顔を出した。
「……気持ち悪ないの? オレのこと」
「気持ち悪い? なんでですか」
心底解らないといった顔で温人が見る。
「だって、……普通、そうやろ」
「気持ち悪いなんて、言われたことあるんですか」
「――昔、……中学ん時、同じクラスのヤツにふざけてくっついたら『おまえ、なんかキモい』って」
そうだった。今まで無意識に封印してきたけれど、クラスに気になる男子生徒がいて、文化祭か何かの準備で遅くなったとき、ついすり寄るような仕草をしてしまったことがあったのだ。
当時は今より更に少女めいた印象だった勇士郎は、よくその手の噂になることがあった。
思春期の男子生徒からすれば、そんな噂の渦中に入ることは、とてつもなく恥ずかしいことで、それは相手の生徒も同じだっただろう。
けれど、キモい、の一言は鋭い刃となって、無防備だった勇士郎の胸を切り裂いた。
二度と迂闊な行動は取るまいと、その時、勇士郎は思った。自分はおかしいから、絶対に隙を見せちゃいけない、欲しがっちゃいけない、すべてはこの胸の中に。そう誓ったのだ。
それからは独りでいることを好むようになった。それが無理なら人といる時はなるべく自分の感情を無視するように努めた。それが次第に勇士郎の生き方になっていったのだ。
なのに温人に出逢ってから、そのスタイルはどんどん崩され、綻びが出始めてしまっている。
「ユウさんは気持ち悪くなんかないです。すごく、綺麗です」
今まで聞いたことのないような低い声で、温人が告げた。怖いまでに無表情なのは、きっと凄く怒っているからだ。
それが判ったとき、勇士郎の胸に、なにか温かいものが流れ込んで来るような気がした。
「……変なの、自分のこと悪く言われても、どうでもええって顔しとったのに、オレのことやったら怒るん?」
温人は決まり悪げな顔になって、またむっつりと黙り込んでしまう。
「温人は、偏見とかない人なんやな」
「……偏見っていうのも違うというか、『偏見ないです』って言うこと自体、もう上からみたいな感じがして、…俺はそういうのはあんまり好きじゃないです」
勇士郎はしばらくその言葉を噛み締めたあと、むっくりと身体を起こし、布団から出た。
「温人って、なんか、すごいな」
どこかほわんとしているようで、実は凄く鋭いし、とても思慮深い。
「そうですか。ユウさんのほうがずっと凄いと思いますけど」
真顔で言う温人に、勇士郎はふふっと思わず笑ってしまう。その笑顔を見て、温人がパッと顔を輝かせたのを見て、また胸が熱くなった。
「よし、ほな、凄い勇士郎さんが特別にパンケーキ作ったる」
「ほんとですか」
「起こして」
わがままな王子風を装って両手を伸ばす。
本当に触って貰えるのかと緊張したが、温人はためらいもなくその手を取って、ゆっくりとベッドから降ろしてくれた。
そんなことにすら、勇士郎は泣きそうなほどの安堵を得る。
「生クリームとフルーツ、乗っけるのどっちがええ?」
「どっちでもいいです」
「またそれや、オレはそういうのは好きやない。どっちか決め」
「あ、……じゃあ、フルーツで」
「よっしゃ、まかしとき、スペッシャルなの作ったるでな!」
目の奥にこみ上げる熱いものを堰き止めながら、勇士郎は久しぶりに心からの笑顔を見せた。
執筆が乗りやすい時間帯というものは人ぞれぞれだと思うが、勇士郎は朝が弱く、午後から夜に向けて、どんどんエンジンがかかっていくタイプだ。
それでも忙しい時期は、朝も夜もなくなるので、睡眠がかなり不規則になる。そのためおかしな時間に眠ることも多かった。
うたた寝は風邪を引きやすいので、仮眠を取る時は夏でも必ずブランケットを被るようにしている。体調を崩して原稿に支障が出るようなことは絶対に避けたいからだ。
しかしこの頃は、ふとした瞬間に意識を失うように眠ってしまうこともあり、いつになく疲れているのだと知る。
「ユウさん、こんなトコで寝てたら風邪ひきますよ、ユウさん」
優しく肩を揺り動かされて、ピクリと目を醒ました。
「ん……?」
目を擦りながらぼんやりと顔をあげる。どうやらまたリビングのソファでうたた寝をしてしまったようだ。ちょっと目を休めるつもりで目を閉じたら、そのまましっかりと眠ってしまったらしい。
「温人ぉ? おかえり」
「すみません、ちょっと遅くなってしまいました」
「ええよ、……――えっ?」
見上げた先にとんでもない男前がいて勇士郎の目がいっぺんに醒める。
「な、なに、どしたん、その髪」
「バイトの帰りに切ってきたんです。変ですか?」
「い、いやいや、全然、全然変とちゃうよ、めっちゃええやん」
褒められて温人は嬉しそうに笑った。
さっぱりと短く、綺麗に整えられたスタイルは、目を瞠るほど温人に似合っている。
勇士郎の心臓が急にドッキンドッキンと鳴り始めて、冗談ではなく息が苦しくなった。まるで恋する女子高生だ。
「やっと面接受けさせて貰えるところがあったので、さすがにまずいかなと思って」
「そうなんや、良かったやん! やったな、頑張れ!」
「はい」
温人は微笑んで頷いたが、その表情はどこか浮かない感じだった。久々の面接に緊張しているのだろう。前の会社を辞めた理由もあり、色々と不安もあるのに違いない。
もし仕事が決まれば、いずれ温人はここを出て行ってしまう。最初からそういう約束だったけれど、勇士郎はそのときを想像するだけでとても寂しくなった。けれど自分には引き留める資格などない。
温人にとって一番大事なのは、これからの人生だ。温人が再び社会に出て、安心して生きていけるように、願えばいい。もし必要ならいくらだって応援も手助けもする。それが、自分が温人にしてあげられることだ。
温人は冷房で冷えた身体を温めた方がいいと言って、電子レンジでホットカフェオレを作ってくれた。
「おおきに」
勇士郎が受け取ると、温人もソファの隣りに腰掛けた。少しミルクが多めのそれは、目覚めたばかりの身体に、優しく染み込んでゆくようだ。
「……ユウさんに言ってなかったけど、実はあの変な髪型は、前のアパートにいたときに、夜中に発作的にやったものなんです」
「え…、」
「仕事場で火事があって、悪夢を見るようになって、仕事もダメになったとき、なんだか気が狂いそうな感覚にしょっちゅうなってて、何日も眠れなくておかしくなりそうでした。それで呼吸も苦しくなって、夜中に気が付いたら剃刀を持ってたんです」
怖ろしい話に勇士郎は息を呑んだ。そこまで追いつめられていたとは思わなかったのだ。
「自分でも何をしようとしてるのか判りませんでした。だけど何か自分の周りに重たい膜が張っているみたいで、苛々して、気が付いたら髪をむしるように切り捨てていたんです」
その夜の、温人の恐怖と孤独を思うと、勇士郎の胸がキュウッと痛くなる。
「ほんとに気が狂っていたのかもしれません。きっともう、このまま何も幸せなことなんかないまま死ぬんだろうなって、思ってました」
「温人」
勇士郎が思わずカップを置き、温人の右腕を両手で掴んで見上げると、温人は話した内容とは裏腹に、柔らかい笑みを浮かべて勇士郎を見つめた。
「でもユウさんと出逢って、たくさん優しくしてもらって、俺は思い出したんです。誰かと話をすること、一緒にご飯を食べること、お酒を呑んだり、映画を観たり、そういうことがぜんぶ、ほんとに、すごく幸せなことなんだって」
温人は自分の腕を掴む勇士郎の両手を取って、いつかしたように大きな手で柔らかく包み込んだ。
「感謝してます、ユウさん」
真心のこもった言葉に、勇士郎の目が潤み、つと俯いてから、はは…、と笑った。
(アホやな、オレ……)
言葉にならないだけで、その「想い」はもうすでに、勇士郎の心の一番大切な場所に、しっかりと根を張ってしまったような気がした。
帰ってきたのだと思えて、ずっと緊張していた身体から自然と強ばりがほどけた。自分の部屋を見て、そんな風に感じたのは初めてだった。
勇士郎がチャイムを鳴らすと、すぐに温人が玄関ドアを開けてくれた。その顔を見たとたん、胸の奥がじわりと熱くなった。
「おかえりなさい」
「うん。…ただいま」
温人は勇士郎の持っていた荷物を持って、明るい室内へといざなってくれる。
「疲れたでしょう。お風呂入りますか」
「うん、せやな。温人は夕ご飯食べたん?」
「まだです。ユウさんがお腹すいてたら一緒に食べようかなと思って」
「ほんま? せやったらすぐ入ってくるから、ちょっと待っとって」
「はい、ゆっくりどうぞ。今日はオムレツですよ」
「オムレツ!? オレの好物やん」
「はい。準備しておくので、焼くのつきあってください」
「分かった、待っとり!」
勇士郎は自室に荷物を置いて、スーツを素早く脱ぐと、着替えを持って風呂場へと向かった。
温人が勇士郎の好物を用意してくれたのは、きっと今日、結婚式に出席したことへのご褒美なのだろう。
ここ最近の勇士郎の様子に、当然温人も何かを感じ取っているはずだ。けれど何も訊かずに、そっと勇気づけ、励ましてくれる温人の存在が、勇士郎には本当にありがたかった。
風呂から出て、Tシャツとゆったりしたハーフパンツを身に着けると、勇士郎はほどよく冷房の効いたダイニングへと向かった。
温人がダイニングテーブルの上に、溶いた卵や刻んだ具を並べている。
「うわ、チーズも入れてくれるん?」
「はい、チーズとトマトとほうれん草のオムレツです」
「めっちゃ美味しそうやん」
「あとは具を入れて混ぜたらもう焼けます」
「よっしゃ、混ぜよ混ぜよ」
温人はわくわくした様子の勇士郎に微笑んで、細かくカットしたトマトと、予めレンジで下準備したほうれん草を、溶き卵の入ったボウルに入れた。そこにチーズと牛乳を加え、塩、こしょうを振ってから、ゆっくりとかき混ぜる。
そして勇士郎にボウルを手渡すと、温人はフライパンにオリーブオイルを落として、勇士郎がしっかり見ていることを確認してからゆっくり火を点けた。
リハビリの最初の頃は、つまみを回すまでに随分時間がかかったが、今では勇士郎の目を見てからすぐに点火出来るまでに進歩している。
「大分慣れたやん。もうそんな怖ない?」
「まだちょっと緊張しますけど、ユウさんがいてくれるので大丈夫になりました」
温人からの全幅の信頼を受けて、勇士郎はくすぐったい気持ちになる。温人に頼って貰えるのは純粋に嬉しかった。
オイルが熱せられたところへボウルの中身を静かに流し入れて、焦げ付かないように慎重に焼く。ほどなく良い匂いがキッチンに拡がり、勇士郎は久々に純粋な空腹を覚えた。
オムレツの他に焼きたてのパンとコンソメスープ、グリーンサラダを用意して、二人は食卓についた。
一緒に手を合わせて、いただきますを言う。
「うん、旨い! めっちゃ旨いでコレ!」
オムレツは割ると中身がトロリと零れだす絶妙な焼き加減だった。
「ほんとだ、大成功ですね。すごく美味しいです」
温人も頷いて、勇士郎に微笑む。
熱い黄金色のスープも、瑞々しいサラダも、どれも本当に美味しくて、それはきっと温人が勇士郎のために作り、こうして一緒に食べてくれているからだろうと勇士郎は思った。
部屋には静かに音楽が流れている。勇士郎の部屋でかけている映画音楽が聞こえてくるのだ。
いつも勇士郎が聴いている自選のCDで、往年の名画のテーマ曲を集めたものだ。ドアを開け放して、今夜はゆったりとした気分に浸る。
「綺麗な曲ばっかりですね。聴いたことあるやつが多いです」
「せやろ。ロミオとジュリエット、カサブランカ、ひまわり、エデンの東、道、シェルブールの雨傘、追憶、雨に唄えば、ゴースト、ニュー・シネマ・パラダイス、THE ROSE…。名画と呼ばれるもんには、良いテーマ曲がついとるもんや。そういう曲には愛を歌ったもんが多い。……せやから惹かれるんかな……」
(オレには縁がないから)
勇士郎が寂しげにちいさく笑うと、温人は目を見開き、それから何か言いかけたが、勇士郎はそれをさりげなく遮った。
「せや、この髪な、すごい似合てるて褒めてもろたで」
「ほんとですか。良かったです」
「ええ結婚式やった。ほんまに」
「良かったですね」
「温人のおかげや、ほんま…」
そう言ったとたん、ふいに熱いものがこみあげ、勇士郎はナイフを持ったまま、手の甲で零れ落ちた涙を拭った。
「……ユウさん」
温人が痛ましげに声をかける。
「違う、……ごめん、なんかホッとしたんや。オレの青春、ちゃんと終わらせられたんやなって、思って」
勇士郎はもう一度グイと涙を拭うと、温人に微笑みかけ、涙を呑み込むように、熱いスープを口に運んだ。
夕食が終わってから、勇士郎は温人と一緒に一本の映画を観た。有名なイタリア映画『ニュー・シネマ・パラダイス』だ。
映画監督として成功した主人公が、自分の人生に大きな影響を与えた、歳の離れた友人の死をきっかけに、映画少年であった頃の忘れがたい思い出や、青年期の美しく悲しい恋を回想しながら、映画と共にあった自分の半生を振り返るという物語だ。ユーモアと感傷と郷愁が観る者の共感を呼び、涙を誘う。
ワイン片手にリビングのソファに並んで座りながら、時々言葉を交わしたり、見入ったりしながらゆっくりと鑑賞した。
そして物語は終わりへと近づく。
それはあまりにも有名な、美しいラストシーンだった。ノスタルジックで、切なく甘美な愛のテーマ曲とともに、かつては禁じられたシーンたちが、彼らの遠く失われた輝かしい青春の日々が、雪のように、星のように、次々とスクリーンの上に浮かびあがっては消えてゆく。
「オレの大好きなところや。シーンが降ってくるみたいやろ……。すごい綺麗で、いつもここで泣きそうになる……」
「……綺麗ですね、ほんとに」
そう呟いた温人が、勇士郎の横顔を見ていたことに勇士郎は気付かない。
「せっかく買うたから、この曲もレコードプレーヤーで聴けたらええなあ」
「そうですね」
穏やかに返してくれる温人の声がとても優しくて、勇士郎はほっと息をつく。
「オレな、あんまし人とおんの好きやないねん。気ぃ遣てまうし、自分のこと話すんも苦手やし、……でも温人とおるんは、なんか落ち着く」
すっかりワインに酔っている勇士郎は、潤んだ目で温人を見つめてしまっていることに気付かないまま、ふわりと笑う。温人がハッと息を呑んだことにも、苦しげに目を伏せたことにも気付かずに、ぼんやりとエンドロールを見つめていた。
温人の後押しのおかげで、辻野の結婚式を乗り切れたことで、気持ちが吹っ切れたような気がしていた。
けれど今度は、今隣にいる温人のことがとても気になり始めている。いつでもさりげなく勇士郎の心を慮ってくれる、優しい男のことが。
(でもこんなん知られたら、気持ち悪いて思われるよな、絶対……)
そう思って自分の心を戒めるのに、それでもやっぱり温人の隣は心地よくて――。
「オレな……、ほんまはな……」
ふわふわと霞みがかった頭で、勇士郎はちいさく囁くように言いながら、逞しい肩にコトリと頭を預けて、そのまま目を閉じた。
翌朝は少しばかり酒が残っていたものの、シャワーを浴びて、温人が用意してくれたトーストとサラダの朝食を食べ終わる頃には頭もスッキリとしていた。気分も悪くない。
なんとなく良い日になりそうだと思っていた矢先、温人からとんでもないことを訊かれた。
「ユウさんて、辻野さんのことが好きだったんですか」
「――え?」
麦茶を飲む手を止めて、呆然と温人を見つめる。
「だって昨夜、言ってましたよね、男の人が好きなんだって。青春を終わらせられたっていうのも、そういう意味なんじゃ」
「誰が?」
「ユウさんが」
「え?」
「え、」
「ええっ?」
「ええっ!?」
「う……は、ははっ、……ぅ、」
「う?」
「……ウソやんな?」
「いえ? 嘘じゃないですよ。『オレ、男しかアカンねん』て言ってました」
勇士郎は穴が開くほど温人を見つめ、次の瞬間、電光石火の速さで自室へと逃げ込んだ。
ベッドに頭から潜り込んで、ギュウウッと小さく縮こまる。
(アホや…! アホやアホやアホやあぁ―――!!)
あまりの衝撃と情けなさに涙が出て来る。
「ユウさん……」
ドア越しに心配そうな温人の声が聞こえる。
「く、来んな!!」
布団の中から大声で叫ぶ。それでも温人は部屋に入ってきた。
「来んな言うてるやろ!」
「ユウさん、すみません、不躾なこと訊いて。……でも、ユウさんがとても辛そうだったから、心配で、……それになんかちょっと、悔しかったっていうか……」
「……どういうイミや、悔しいて」
鼻をぐすぐす言わせながら、弱々しく訊く。
「そんなに想われて、辻野っていう人は幸せだなって。……そんなに長く、一人のひとを想っていたっていうのも、凄いことだって思いました」
穏やかで落ち着いた声に、勇士郎の心も次第に落ち着いてくる。
勇士郎は思い切って、布団からちょこっと顔を出した。
「……気持ち悪ないの? オレのこと」
「気持ち悪い? なんでですか」
心底解らないといった顔で温人が見る。
「だって、……普通、そうやろ」
「気持ち悪いなんて、言われたことあるんですか」
「――昔、……中学ん時、同じクラスのヤツにふざけてくっついたら『おまえ、なんかキモい』って」
そうだった。今まで無意識に封印してきたけれど、クラスに気になる男子生徒がいて、文化祭か何かの準備で遅くなったとき、ついすり寄るような仕草をしてしまったことがあったのだ。
当時は今より更に少女めいた印象だった勇士郎は、よくその手の噂になることがあった。
思春期の男子生徒からすれば、そんな噂の渦中に入ることは、とてつもなく恥ずかしいことで、それは相手の生徒も同じだっただろう。
けれど、キモい、の一言は鋭い刃となって、無防備だった勇士郎の胸を切り裂いた。
二度と迂闊な行動は取るまいと、その時、勇士郎は思った。自分はおかしいから、絶対に隙を見せちゃいけない、欲しがっちゃいけない、すべてはこの胸の中に。そう誓ったのだ。
それからは独りでいることを好むようになった。それが無理なら人といる時はなるべく自分の感情を無視するように努めた。それが次第に勇士郎の生き方になっていったのだ。
なのに温人に出逢ってから、そのスタイルはどんどん崩され、綻びが出始めてしまっている。
「ユウさんは気持ち悪くなんかないです。すごく、綺麗です」
今まで聞いたことのないような低い声で、温人が告げた。怖いまでに無表情なのは、きっと凄く怒っているからだ。
それが判ったとき、勇士郎の胸に、なにか温かいものが流れ込んで来るような気がした。
「……変なの、自分のこと悪く言われても、どうでもええって顔しとったのに、オレのことやったら怒るん?」
温人は決まり悪げな顔になって、またむっつりと黙り込んでしまう。
「温人は、偏見とかない人なんやな」
「……偏見っていうのも違うというか、『偏見ないです』って言うこと自体、もう上からみたいな感じがして、…俺はそういうのはあんまり好きじゃないです」
勇士郎はしばらくその言葉を噛み締めたあと、むっくりと身体を起こし、布団から出た。
「温人って、なんか、すごいな」
どこかほわんとしているようで、実は凄く鋭いし、とても思慮深い。
「そうですか。ユウさんのほうがずっと凄いと思いますけど」
真顔で言う温人に、勇士郎はふふっと思わず笑ってしまう。その笑顔を見て、温人がパッと顔を輝かせたのを見て、また胸が熱くなった。
「よし、ほな、凄い勇士郎さんが特別にパンケーキ作ったる」
「ほんとですか」
「起こして」
わがままな王子風を装って両手を伸ばす。
本当に触って貰えるのかと緊張したが、温人はためらいもなくその手を取って、ゆっくりとベッドから降ろしてくれた。
そんなことにすら、勇士郎は泣きそうなほどの安堵を得る。
「生クリームとフルーツ、乗っけるのどっちがええ?」
「どっちでもいいです」
「またそれや、オレはそういうのは好きやない。どっちか決め」
「あ、……じゃあ、フルーツで」
「よっしゃ、まかしとき、スペッシャルなの作ったるでな!」
目の奥にこみ上げる熱いものを堰き止めながら、勇士郎は久しぶりに心からの笑顔を見せた。
執筆が乗りやすい時間帯というものは人ぞれぞれだと思うが、勇士郎は朝が弱く、午後から夜に向けて、どんどんエンジンがかかっていくタイプだ。
それでも忙しい時期は、朝も夜もなくなるので、睡眠がかなり不規則になる。そのためおかしな時間に眠ることも多かった。
うたた寝は風邪を引きやすいので、仮眠を取る時は夏でも必ずブランケットを被るようにしている。体調を崩して原稿に支障が出るようなことは絶対に避けたいからだ。
しかしこの頃は、ふとした瞬間に意識を失うように眠ってしまうこともあり、いつになく疲れているのだと知る。
「ユウさん、こんなトコで寝てたら風邪ひきますよ、ユウさん」
優しく肩を揺り動かされて、ピクリと目を醒ました。
「ん……?」
目を擦りながらぼんやりと顔をあげる。どうやらまたリビングのソファでうたた寝をしてしまったようだ。ちょっと目を休めるつもりで目を閉じたら、そのまましっかりと眠ってしまったらしい。
「温人ぉ? おかえり」
「すみません、ちょっと遅くなってしまいました」
「ええよ、……――えっ?」
見上げた先にとんでもない男前がいて勇士郎の目がいっぺんに醒める。
「な、なに、どしたん、その髪」
「バイトの帰りに切ってきたんです。変ですか?」
「い、いやいや、全然、全然変とちゃうよ、めっちゃええやん」
褒められて温人は嬉しそうに笑った。
さっぱりと短く、綺麗に整えられたスタイルは、目を瞠るほど温人に似合っている。
勇士郎の心臓が急にドッキンドッキンと鳴り始めて、冗談ではなく息が苦しくなった。まるで恋する女子高生だ。
「やっと面接受けさせて貰えるところがあったので、さすがにまずいかなと思って」
「そうなんや、良かったやん! やったな、頑張れ!」
「はい」
温人は微笑んで頷いたが、その表情はどこか浮かない感じだった。久々の面接に緊張しているのだろう。前の会社を辞めた理由もあり、色々と不安もあるのに違いない。
もし仕事が決まれば、いずれ温人はここを出て行ってしまう。最初からそういう約束だったけれど、勇士郎はそのときを想像するだけでとても寂しくなった。けれど自分には引き留める資格などない。
温人にとって一番大事なのは、これからの人生だ。温人が再び社会に出て、安心して生きていけるように、願えばいい。もし必要ならいくらだって応援も手助けもする。それが、自分が温人にしてあげられることだ。
温人は冷房で冷えた身体を温めた方がいいと言って、電子レンジでホットカフェオレを作ってくれた。
「おおきに」
勇士郎が受け取ると、温人もソファの隣りに腰掛けた。少しミルクが多めのそれは、目覚めたばかりの身体に、優しく染み込んでゆくようだ。
「……ユウさんに言ってなかったけど、実はあの変な髪型は、前のアパートにいたときに、夜中に発作的にやったものなんです」
「え…、」
「仕事場で火事があって、悪夢を見るようになって、仕事もダメになったとき、なんだか気が狂いそうな感覚にしょっちゅうなってて、何日も眠れなくておかしくなりそうでした。それで呼吸も苦しくなって、夜中に気が付いたら剃刀を持ってたんです」
怖ろしい話に勇士郎は息を呑んだ。そこまで追いつめられていたとは思わなかったのだ。
「自分でも何をしようとしてるのか判りませんでした。だけど何か自分の周りに重たい膜が張っているみたいで、苛々して、気が付いたら髪をむしるように切り捨てていたんです」
その夜の、温人の恐怖と孤独を思うと、勇士郎の胸がキュウッと痛くなる。
「ほんとに気が狂っていたのかもしれません。きっともう、このまま何も幸せなことなんかないまま死ぬんだろうなって、思ってました」
「温人」
勇士郎が思わずカップを置き、温人の右腕を両手で掴んで見上げると、温人は話した内容とは裏腹に、柔らかい笑みを浮かべて勇士郎を見つめた。
「でもユウさんと出逢って、たくさん優しくしてもらって、俺は思い出したんです。誰かと話をすること、一緒にご飯を食べること、お酒を呑んだり、映画を観たり、そういうことがぜんぶ、ほんとに、すごく幸せなことなんだって」
温人は自分の腕を掴む勇士郎の両手を取って、いつかしたように大きな手で柔らかく包み込んだ。
「感謝してます、ユウさん」
真心のこもった言葉に、勇士郎の目が潤み、つと俯いてから、はは…、と笑った。
(アホやな、オレ……)
言葉にならないだけで、その「想い」はもうすでに、勇士郎の心の一番大切な場所に、しっかりと根を張ってしまったような気がした。
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