薬師寺くんと十二神将ちゃん

第二話

飽食安楽

釈迦牟尼ーくーんーーー
あーそーーぼーーー！！！

俺の名前は薬師寺瑠璃光、釈迦牟尼くんとは悟りヶ丘高校の同級生だ。

今日は体調を崩して休んでいる釈迦くんに学校のプリントを届けにきたんだ。

釈迦牟尼くーーーん！！！！

・・・返事がない。

仕方が無い、プリントを郵便受けに入れて帰ろう。　　

とも思ったが、一人暮らしをしている釈迦牟尼くんにもしものことがあったら、俺が責められる。もとい、心配なので生存を確かめる事にした。俺って偉いな、神だな！！

入るよー、ガチャガチャガチャ！！
鍵が掛かっている。

しかし、こんなもので私を止められる訳がないだろう。　薬師パーンチ！！

扉は開いた。

釈迦牟尼くーーん！！
いないの？？
　
奥に電気が付いている。

決して広くは無いアパートの一室に彼？はいた。

ヘッドホンをして大音量で音楽を聴いていた。

だけど俺が知ってる彼じゃ無い。
そこにいたのはガングロ茶髪のギャルだった。　

目が合う。

ギャルは言った。

マジ卍ーーー！！


ふーーーっ。
これ、学校のプリント。
先生に持っていくように言われたから。
じゃあ、渡したから帰るね。

余計な事に巻き込まれている時間はないのだ。

俺は足早に帰ろうとした。

ちょっと薬師寺っちーー
酷くなーーい？？

ウチの秘密晒しといて無視して帰るワケ？
マジ梵字ーーー！！

ヤバい！！ヤンキーに絡まれた！！


どうする？どうする？

俺は必死に考えた。
　　
いやー、仏だけにほっとけって言うじゃん・・・！？？


あっ。なんか怒っちゃったらしい。

俺は諦めて理由を聞く事になった。
しかも正座させらせてる。

なんでも、体調崩してたのは本当みたい。

キノコのスープを飲んだったって。

それより、なんでそんな格好してるのかって事なんだけど。彼も大仏先生に課題を出されてて、課題の瞑想をしてると必ず邪魔してくる奴がいるんだって。マーラって言う奴なんだけど、
耳元でエロい話ばっかしてくるんだって。
そりゃあ、気になっちゃうじゃん。

でさ、釈迦は考えたんだって。

私が惑わされるのは男だから。
男を捨ててしまえばいい。って。

凄いよね。

だけどさ、確か釈迦って奥さんいたよね。しかも子供も産まれたって言ってなかったっけ。男と一緒に家族も捨てちゃうなんて酷くない？　

ペコが可哀想だよ。あっ違った。奥さんが可愛いそうだよ。

まあ、なんとなくだけど理由はわかったよ。
だけどなんでギャルなんだろうね。


ところで薬師寺っち。ギャル釈迦が言う。

ちょっとウチに付き合わね？

暇そだしいいっしょ！！

問答無用、拒否権はない模様。

釈迦の話しによると
これからギャルの集会があるんだって。
祇園精舎ってとこらしいんだけど。

薬師寺っちさー、ウチ病み上がりじゃね。
あっち行ってからマジハードモードなんで、
少しでも体力回復していきたいワケ。

出来ればそこまで寝ながら運んでほしいワケ。　薬師寺っちなら出来るっしょ！！

流石ギャル、遠慮が無い。

まあ、ここまで頼られて無碍にしたんじゃ仏が廃るってもんだよな。

いいぜ、俺は久しぶりに真言を唱えた。

オンコロコロ センダリマトウギ ソワカ　おいでませ
ショウトラちゃん！！

ぽわんと言う煙と共に大きな女の子が現れた。頭にツノが生えててもの凄い巨乳。

薬師寺さまーーー！！！
呼んでくれてありがとモーーー！！！

久しぶりだなショウトラちゃん、元気してた？

久しぶりの再会に大きな体をこれでもかってくらいに擦り付けてくる、その度に揺れる巨乳に目が離せないぜ。

げんきだもーー！
だけど、薬師寺さまに会えなくて毎日泣いて過ごしてたんだモーー！！

とても泣いていたとは思えない元気さで答えた。

ちょっとお願いがあるんだ。
俺と釈迦を乗せて連れてってもらいとこがあるんだ。

お安い御用もーー。
そう言うともくもくもくーっと煙と共にもっと大きな白牛に変身した。

これならゆっくり寝て乗ってけるね。

そして、ギャル釈迦と俺は白い牛の背中に乗ってゆっくり祇園精舎に向けて出発した。

ところで祇園精舎ってどこにあるんだっけ？