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第五話 戦勝後の未来

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―――死ぬのならば、誰よりも近くにいたい
    出来ることなら時も同じく

 そんな事を何度漠然と考えてきただろうか。
 だけど、状況は、死をも覚悟して打ち出した奇襲作戦の成功により一変したのだ。
 
 あの日、全てを飲み込む勢いの敵と戦っていた。
 私は、そんな戦いの最中に降り注ぐ矢をかわしながら、敵将と思しき騎士と剣を交える武神とも見紛うライシス様を視界の端に捕らえた。

 ライシス様の強さは圧倒的だった。
 だけど、状況は明らかに、我が軍の劣勢だった。

―――あぁ、終わってしまう、この時間が
   散らされてしまう、愛しいあの人の命が
   そんなのは嫌だ

 私は、今まで注視していた背後から向かってくる敵を無視して、今にも多くの兵の援護を受けてライシス様を貫こうとしている敵将に矢を放った。

―――届いて、お願い

 渾身の集中力で放った矢は敵将の肩を射貫き、その次の瞬間、敵将はライシス様の剣により馬上から崩れ落ちた。
 それと同時に、私も肩に激痛を感じて地面に投げ出された。

「はっ、ミシェル!!ミシェル!!!」
 
 私の名を呼ぶ悲痛なライシス様の声が聞こえた。

 最後の瞬間、どうしても、生きて欲しいと願った。
 自分がここで死んだとしても…
 いつか完全に忘れ去られてしまうことになったとしても…

「団長、彼は、我々が保護します、どうかご武運を」

 苦渋に満ちたライシス様の声が聞こえる。

「っ、あぁ、頼んだ、……頼むから、絶対に死なせてくれるなよ!」
「はっ!お任せください!!」

―――これで、終わる?

 戦いは、終わるのだろうか。
 そうだとしたら………

―――この命が助かったとしても、そうでなかったとしても私の役割はここで終わる
 
 いや、きっともう終わったのだ……
 私は、もう戦えない。

 私は大きく息を吸って、懸命に私を背負って運ぼうとしている青年兵に声をかけた。

「私は、いいですから、あなたはどうかライシス隊長の元に……」
「は?何を……」
「ライシス隊長を助けて、この戦いを終わらせてください、そしてあなたの家族の待つ王都に……」

 それでいい、その間に、私はここで……

 ライシス様の気配を少しでも感じながら、この場所で………

 妙に静かな気持ちになった。

 あぁ、空が青い……
 伯爵家の庭で寝そべっていたあの頃のように……

 いくつものライシス様の顔が脳裏に浮かんでは流れて消えていく。

 私の宝物、まるで雲のように……

 指を空に掲げながら幼い私の手を引く無邪気な笑顔も。
 負けるな、立て、お前は俺の弟だろう!と私を鼓舞する少年の闘志に満ちた燃えるような瞳も。
 怪我をした私を見て目に涙を溜めて泣くのを堪える少年も。
 困ったように私から距離を取るヨソヨソしい思春期の青年も。

 嬉しくて、苦しくて、切なくて、悲しくて、どれだけ寂しくても嫌いになれなかった。

―――気持ちがライシス様から離れなかった

 それでも、最後に、抱きしめて貰えたから、あんなにも熱く激しく、ライシス様を独占できたから……

「もう、十分なんです、ライシス様にどうか、ミシェルが過ぎた恩にただ感謝していた、とお伝えください……」

 その時、目尻から大粒の涙が流れて頬を濡らした。
 
―――あぁ、私にもまだ、流せる涙があったのか

 そんな事をぼんやりと感じながら、瞳を閉じた時、耳元で凄く苛立った青年の声がした。

「はっ?嫌ですね、それでは折角戦いが終わっても、俺の首は確実になくなっちゃうでしょ?冗談じゃない、あの隊長の顔を見たら、置いてなんていけませんよ……」
「え……?」
「こんな平凡な顔でもね、故郷に帰れば待ってくれている人がいるんですよ、無くすわけにはいきません!ほらっ、見えますか?しっかりしてください!!」
「っ………」
「圧倒的に我が軍が押してます、きっともう大丈夫ですよ、将を失った敵は動揺して、完全に戦意を喪失しています、さぁ、止血をしながら歩きましょう」

 必死に目を開くと、彼の言う通りだった。
 これが、戦いの終わりだというのだろうか?
 あれほどまでに苦戦した私の戦いの終わり。
 失った人、奪った命、それ無しには助からなかっただろう多くの人々とその暮らしに思いを馳せながら、安堵に似た寂しさを覚えて私は歩きながら遂に意識を失った。

◇◇

 そうしてあの決戦の日から、二カ月経った今、私達は王都に向かう馬車の中に二人でいる。

 あれから我が軍は勝利を収めて、そのまま我が国優位の立場で停戦協定が結ばれた。
 そして私達が守っていた砦には、一月前には交代要員が配置され、砦は戦後処理に追われていた。

 私はといえば、戦いの日から五日間ほど意識を失っていたようだが、早期治療の甲斐があり肩から背中にかけて傷を負ったものの何とか一命を取り留め、そのまま戦後の辺境で回復を待つ事になったのだ。

 当初、早々に凱旋して陛下に拝謁するように、との国からの命令を受けていたライシス様をあの場所から、見送る事になるのだと思っていた。

 だが、「ここでの戦後処理としてやり残したことがまだあるから」とライシス様が主張し、主要部隊を副団長に託して先に王都に送り返したものだから、周囲の取り巻き達はぎょっとした。

「団長、陛下は兎も角、その周囲に反意があるとでも思われたらどうするんですか!」そう心配して訴える副団長に、「大丈夫だ、兄上に取り成してもらうから」と、まるで子供のような事を言うライシス様。

 兄上とは勿論、現クラディッシュ伯爵であるキクルス様のことで、キクルス様は、現国王陛下が王太子時代の学友であり今でも親友と口にされるほど、信頼を置いている人物でもあるようだ。
 言葉が少ないのと、顔が怖いことで誤解されやすいライシス様に対して、穏和で頭も働くキクルス様に親近感を持つ方々は私の聞いた事があるだけでもとても多い。きっと故クラディッシュ伯爵からキクルス様が引き継いだのはそう言った才能なのかもしれないと、これからも安泰であろう伯爵家を思うと安堵する。

 「早く帰って来てくださいね、お願いしますよ!?いつまでも長居しちゃダメですからね?」と何度も釘を刺しながら副団長が渋々部隊を率いて引き上げて行ってからもライシス様は「忙しい」という割には、日々、私の見舞いを欠かさず療養場所を訪れてくれた。

 もちろん、ここに残るのは私だけではなく多くの負傷兵もいた。
 ライシス様は、日々一人一人の容態を確認して励ましたり労ったり、王都の家族への連絡を気遣ったり、怪我人の身の振り方を一緒に考えたりされている様子なのだ。

「隊長っておっかないけど、実は優しい方だったんだな……」
「人って分からないもんだな……」
「いや、やっぱり怖いだろう、最後の戦いぶりを見た時、俺は敵じゃなくて良かったと心から思ったぞ」

 そんな囁きを最近よく聞くようになった。
 そう、本来は優しい方なのだ。

「ミシェル、傷は痛むか?」
「いいえ、もう、全然平気です」
「そうか」

 そうは言っても毎日必ず訪れて、忙しいのにかなりの時間を私に割いてくださるライシス様に段々と申し訳なくなった私は、自分から口にした。

「そろそろ、次の便で、私も引き上げようかと思います、怪我の方も随分と回復しましたし」

 後処理に忙しいライシス様の邪魔になってもよくないし、気を遣わせてもいけないと、私は、自分に届いていた数通の手紙に目を向けて微笑んだ。

「ほらっ、この通り、少しですが私にも待ってくれている人もいますから」

 最初に入った女性騎士団の上官であったアメイルや、その時仲良くなった同僚の騎士達が私の活躍を喜ぶと共に、怪我を心配する手紙や見舞いの品を送ってくれていた。

「待っている人だと、兄上のことか?」

 そう問われた私はきょとんとした。

「たしかに、キクルス様や奥様からも、丁寧なお見舞の手紙はいただきましたが……」
「兄上と姉上ではないと、ならば誰だ?」
「は………?」

 突然、責めるように獰猛な目で私を見据えるライシス様に呆気にとられたが、そうか、と思い至り、私は笑みを浮かべた。
 ライシス様のなかでの私は、小さな頃の少女と、戦地を共にかけた男装騎士。
 私の人物像はこの二つしかないのかもしれない。

 騎士としての私の所属の大元は今も女性騎士団であり、男性騎士団へは出向という形になっているはずなのだ。
 だけど、この場合、世間体を考えると、やはり一旦は男性騎士団に再び帰還することになるのだろうなと、私は自らの身の置き場を考えながら、曖昧に呟いた。

「伯爵家を出た後の騎士団では、私も沢山の方にお世話になりましたから」

 そう言った瞬間、ライシス様は強面の顔を更に引き攣らせた。

「ライシス様?どうかされましたか??」

 突然不機嫌そうに唇を結んでしまったライシス様に私は眉を寄せた。

「そうか、あんな環境のなかでお前はもう何年も………」

 そう言われた私はぎょっとした。

「え?野蛮??何を仰って、私の知る皆さんはとても親切で、優しい方達ばかりでしたよ?それはまるでみたいに……」

  そうだ、女性騎士は野蛮だなんて偏見だと思う!

 男装の麗人とも言われる上司アメイルの高潔な騎士姿と女性騎士団の覇気のある仲間たちの顔を思い浮かべて私は頷いた。

「な、なんだと、奴らが紳士的だと……?」

 その言葉にむむむっと不機嫌に眉を寄せたライシス様の表情はどことなく殺気が漂っている。

「はい……、あのどうかしましたか?」

 納得できない子供のように顔を真っ赤にして眉を寄せるライシス様に私はギョッとした。

だ……」
「……へっ?」
「そんなのは、女に自分を良く見せる為のまやかしだと言っている!」
「あ、あぁ……」

―――女に?

 そう言われた私は、ライシス様が、女性騎士団ではなく男性騎士団の方の話をしているのだと察した、それにしても、と私は苦笑しながら訂正する。

「いえ、彼らもそんなに野蛮というわけでは……」

 うん、なかったように思う。
 私は男装していたから女性扱いをされていたわけではないけれども……。

 確かに下世話な話は好きだし、娼館好きは多かったし、食料争奪戦は日常的にあるし、上位貴族は少数派だったから、普段は軽口が飛び交ったりはしていたけれど、その辺りは私も庶民なので気にならなかった。

 もしも私に本当は女だという秘密がなかったならば、きっともっと仲良くなれていただろうにと少し残念にも思うレベルに気の良い仲間に恵まれていたと思う。

「もういい……」

 腹立たしげに口角を曲げたライシス様はぷいとそっぽを向いた。
 不機嫌ながらも慣れた人にだけ見せる不貞腐れた表情に私は内心苦笑する。

 そしてこんな何気ない瞬間に戦争は終わったのだと実感する。

「私も、粗方ここでの任務は終了したから、お前と一緒に王都に戻ろう、馬車を用意させる」

 その言葉に驚いた私は目を瞬かせた。

「えっ……、ライシス様と私が、一緒にですか?で、でも……」

 驚いて眉を寄せる私に、ライシス様は更にムッとしたように目を細めた。

「何か問題でもあるか?」
「いえ、そうではありませんが……」

 ここからの帰路は、私にとって失恋の儀式のようなつもりでいたのだ。
 ライシス様から一歩一歩遠ざかり未来に進む儀式。
 それを、失恋相手のライシス様と共にすることになるとは流石に想像すらしていなかったのだ。

 私はこの時点でもう男女としての自分達は終わっていることを確信していた。

 それはきっとライシス様も同じで、あの戦いの前の夜を最後にライシス様は私の身体を求めることはしなくなった。
 最初は、もしかしたら負傷した身体を労わってのことかもと考えたが、私が、ほぼほぼ回復してからも、その状況は変わってはいない。

 その気になれば機会はいくらでもあったにも関わらず、ライシス様はもう私にそれを求めない。
 そして、私自身もそれを正しく理解しているつもりだ。
 ライシス様は、きっとケジメをつけたのだろう。

 明日死ぬかもしれない時を共有するパートナーと、未来を生きる為に共に歩くパートナーはこの社会では同一であり得ないのだから。

 伯爵家の次男であるライシス様には本来は引き継ぐ爵位は無かった。
 それがこの戦いが勝利で終わったことにより、状況は一変するはずだ。

 ライシス様はこの後《国の英雄》として凱旋帰国を果たし、その功績に相応しい爵位を得ることは間違いなかった。
 そして、そう遠くない未来にその横に並ぶのは由緒ある家のご令嬢に違いないのだから。
 そうなればライシス様にとって、私との関係は過去の汚点でしかなくなるだろう。

―――傍にいたかった、誰よりも

 でも、それは死を覚悟していたあの日々の話なのだ。

―――離れなければならない、出来る限り遠くに

 生き残ってしまった以上、そして生きていくと決めた以上、この想いがライシス様の呪いにならないように……

 私はライシス様の為に、出来るだけ目立たず綺麗に表舞台から消える必要があるのだ。

「でも、取り敢えずアメイル様に会ってからね、全てはそれからの話だわ………」

 そして馬車での旅路で移り変わる車窓の景色眺めながら、私は静かに眠るライシス様の隣で呟いた。

 実は眠ってはいなかったライシス様が、私が呟いたその名を呪うように何度も頭の中で「アメイルとは誰だ?」と繰り返しているなどと誰が思うだろうか。

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