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置き手紙
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トントントントン…
包丁で何かを切る音とほのかに香る芳ばしいパンの香りに鼻をくすぐられ目が覚めると既に朝らしい窓から差し込む朝日が寝起きの目に差し何度か瞬きをするとキッチンから隆二さんの声がかかった。
「せな、起きたか?朝食スクランブルエッグとオムレツどっちにするか?」
「えっと…オムレツ!」
「りょ~かい!じゃ、作って置くからシャワーでも浴びて来なさい」
「は~い!」
いつものたわいない会話をしながら料理をする隆二と別れダイニングを出るとお風呂場へと向かった。
*
コンコン…
「蓮さん、入りますよ…?」
豹はカメラのフィルムを取り出していた蓮がいる書斎部屋に入ると本棚の中には沢山の本が並び上空には紐で吊るされた写真が干されており蓮はというと一つのディスクの上で疲れてうつ伏せで眠っていた。
「写真…」
豹は上空に干されている写真の中から一枚を抜き取り見るとそこには向日葵の中で満面の笑みではしゃぐ星那の姿があった。
「…」
ガチャ…
豹は無言のままその写真を懐に入れると物音を立てず静かにその場を後にした。
*
「ふぁ…ああ、寝みぃ…」
「深夜まで起きてるからだろが…当然の結果だ」
ダイニングにて皆で朝食を食べながらふいに欠伸を漏らす蓮に呆れながら隆二が指摘する。
「あの…そういえばお父さん何処にいるか知りませんか?」
父の姿が見えない事に気づいたのか食べるのを止め顔を上げ三人に問いかける。
「徹矢さんなら昨日星那が寝た後にまた姿を消すって言って出ていったぞ?」
「え…また何も言わずにいなくなっちゃたの…?」
蓮の言葉にこの世の終わりのような悲しそうな顔をする星那にすかさず隆二が付け加える。
「せ、せな!ちゃんと俺達が徹矢さんの連絡先貰ったから大丈夫だぞ!?だから心配する事はない…な?」
「そうだったんだ…良かったぁ…!」
途端に笑顔になり安堵する星那にホッと胸を撫で下ろしつつ隣に座る蓮に目で叱咤する。
「…わりぃ」
それに小さく謝る蓮に呆れながらも再度朝食を食べ始めた星那に昨日徹矢が帰り際に渡した星那宛のメモ紙を懐から取り出し差し出す。
「徹矢さんから星那宛に置き手紙を預かったんだが…」
「置き手紙…?」
隆二から差し出された二つ折りにされたメモ紙を受け取り中を開くとそこには『俺はまた姿を消すがそこの野郎三人に俺の連絡先を渡してあるから何かあったらいつでも連絡してこい!それと野郎共に何かされたら俺が殺してやるから安心しろ!またな…俺の可愛い星那へ』と書かれていた。
「ふふふっ…お父さんらしいなぁ…ん?どうしたの?皆」
一文を読み上げた星那にそれを聞いた三人は徹矢のいつでも監視しているかのような置き手紙の内容に背中に凍りつくような寒気を覚え青ざめた顔をしていた。
連絡先を教えておくって…星那の為ではあるのは確かだが他に俺達の監視も含まれてるんじゃ…
徹矢の徹底した星那バリアに内心引き攣る三人を他所に星那自身は父の置き手紙を嬉しそうに噛み締めるのだった。
包丁で何かを切る音とほのかに香る芳ばしいパンの香りに鼻をくすぐられ目が覚めると既に朝らしい窓から差し込む朝日が寝起きの目に差し何度か瞬きをするとキッチンから隆二さんの声がかかった。
「せな、起きたか?朝食スクランブルエッグとオムレツどっちにするか?」
「えっと…オムレツ!」
「りょ~かい!じゃ、作って置くからシャワーでも浴びて来なさい」
「は~い!」
いつものたわいない会話をしながら料理をする隆二と別れダイニングを出るとお風呂場へと向かった。
*
コンコン…
「蓮さん、入りますよ…?」
豹はカメラのフィルムを取り出していた蓮がいる書斎部屋に入ると本棚の中には沢山の本が並び上空には紐で吊るされた写真が干されており蓮はというと一つのディスクの上で疲れてうつ伏せで眠っていた。
「写真…」
豹は上空に干されている写真の中から一枚を抜き取り見るとそこには向日葵の中で満面の笑みではしゃぐ星那の姿があった。
「…」
ガチャ…
豹は無言のままその写真を懐に入れると物音を立てず静かにその場を後にした。
*
「ふぁ…ああ、寝みぃ…」
「深夜まで起きてるからだろが…当然の結果だ」
ダイニングにて皆で朝食を食べながらふいに欠伸を漏らす蓮に呆れながら隆二が指摘する。
「あの…そういえばお父さん何処にいるか知りませんか?」
父の姿が見えない事に気づいたのか食べるのを止め顔を上げ三人に問いかける。
「徹矢さんなら昨日星那が寝た後にまた姿を消すって言って出ていったぞ?」
「え…また何も言わずにいなくなっちゃたの…?」
蓮の言葉にこの世の終わりのような悲しそうな顔をする星那にすかさず隆二が付け加える。
「せ、せな!ちゃんと俺達が徹矢さんの連絡先貰ったから大丈夫だぞ!?だから心配する事はない…な?」
「そうだったんだ…良かったぁ…!」
途端に笑顔になり安堵する星那にホッと胸を撫で下ろしつつ隣に座る蓮に目で叱咤する。
「…わりぃ」
それに小さく謝る蓮に呆れながらも再度朝食を食べ始めた星那に昨日徹矢が帰り際に渡した星那宛のメモ紙を懐から取り出し差し出す。
「徹矢さんから星那宛に置き手紙を預かったんだが…」
「置き手紙…?」
隆二から差し出された二つ折りにされたメモ紙を受け取り中を開くとそこには『俺はまた姿を消すがそこの野郎三人に俺の連絡先を渡してあるから何かあったらいつでも連絡してこい!それと野郎共に何かされたら俺が殺してやるから安心しろ!またな…俺の可愛い星那へ』と書かれていた。
「ふふふっ…お父さんらしいなぁ…ん?どうしたの?皆」
一文を読み上げた星那にそれを聞いた三人は徹矢のいつでも監視しているかのような置き手紙の内容に背中に凍りつくような寒気を覚え青ざめた顔をしていた。
連絡先を教えておくって…星那の為ではあるのは確かだが他に俺達の監視も含まれてるんじゃ…
徹矢の徹底した星那バリアに内心引き攣る三人を他所に星那自身は父の置き手紙を嬉しそうに噛み締めるのだった。
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