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式典から三週間が過ぎ八月初旬に入ると更に暑さは倍増しエアコンを付ける時間帯が一時間早まった。
「あづい~~!アイスなしじゃ生きていけない~…」
ダイニングにて箱買いしたガリガリ君を全員で頬ばりながらエアコンの風に生き返っているとインターホンが鳴った。
ブーブーブー!
「人がせっかくアイス食べてる最中だってのにタイミング悪いな…」
あからさまに嫌そうな顔で言う蓮にアイスを食べ終わった星那が口を開く。
「俺ちょっと見てきますね!」
アイスのハズレ棒をゴミ箱に捨て玄関に向かいドアを開けるとそこには椿さんと菫さんの姿があった。
「え!?お二人共どうしたんですか!?」
「兄さんに少し用があってね…あ、でも安心して?もう絵を奪うような真似はしないから」
「え?」
椿の言葉にキョトンと首を傾げると椿さんの隣に立っていた菫さんが勢いよく飛びついてきた。
「あんっ!星那ちゃん可愛い~!」
ギューッ!
「うわっ!?ちょっ…苦しいです!それに星那ちゃんって…」
呼び方変わってるし…つか巨乳の胸に押し潰されて苦しいんですが…
菫の胸に押し潰されながらも必死に空気を吸っていると助け舟とばかりに椿が止めに入った。
「姉さん、美嶋さんを気に入ったからってそれじゃ窒息しちゃうよ」
「あら、そうね…ふふっ」
小さく笑いながら体を離す菫に安堵し胸を撫で下ろす。
た、助かったぁ~…!巨乳の胸に押し潰されて窒息なんて最悪過ぎる…
「すまないね、美嶋さん…姉さんは可愛いものには目がなくて」
「いえ…」
何だがそれってベリーさんと似てるんだけど…
椿の言葉に引き攣り笑いを零しつつ頭の中でデジャブのように抱きつくベリーの顔が浮かんだ。
「ところで、兄さんはいるのかな?」
「はい、今はアイス食べてる最中です」
「ふふっ…元気そうでなによりだわ」
蓮の様子を伝えると菫が嬉しそうに小さく笑った。
「じゃあ、とりあえずお邪魔しようかな?」
「はい!どうぞどうぞ!」
椿と菫をダイニングへと案内し中に入るなり二人の姿を見た蓮さんを含めその場の全員が驚いた顔をした。
「何でお前ら来たんだ…?」
驚きながら問いかける蓮にクスッと小さく菫が笑いながらも隣に立つ椿が説明をした。
「兄さんの思うような事をしに来たわけじゃないよ?今日は先日の式典についての兄さんへのお礼と兄さんを含めた美嶋さん達への謝罪をしに来たんだ」
「お礼に謝罪…?」
「私と椿はもう兄さんの生き方を否定する気もないし父さんと違い兄さんの味方よ」
「兄さんが式典であの時助けてくれなかったらきっと式典は成功してなかった…ありがとう。そして、今まで兄さんを否定してしまってごめん」
「いや、別に俺は大した事はしてない…兄として思った事を口にしただけだ」
少し照れ臭そうに言う蓮に傍で見ていた星那を含めた三人は小さく笑った。
「それでお礼といっては何だけど…興味があるか分からないけど、これ兄さん達に渡したくて…」
菫が懐から小切手のような紙を取り出すとそれを蓮の前に差し出した。
「展覧会…?」
そこには花々をテーマとした絵の展覧会の招待状だった。
「私が管理人として経営している美術館の一つなんだけど、今度展覧会をやる事になって…それで良かったらお礼も兼ねて見に来て欲しいなと思って」
「まぁ、招待は有難いが俺はもう絵には興味ないしな…隆二やせなや豹は行くか?」
「俺はやめておくよ、芸術を愛でるような柄じゃないからな」
「…俺も興味ない」
隆二と豹は首を横に振りすぐ側にいた星那に視線を向けると好奇心に満ちた目で手に持つ招待券を見ていた。
「せなは興味あるのか?」
「あります!美術館なんて初めてだし行ってみたいです!」
「ははっ…なら行くのはせな一人で決定だな。菫、せなだけで悪いが…」
ドンッ!
「やった~!星那ちゃんが来るなら大歓迎よ!嬉しいわ!」
嬉しそうに星那に抱きつき頬づりする菫を横目に呆れた視線で見ていた。
「ははっ…問題はなさそうだな」
*
それから一時間ぐらいの間、椿達と世間話をし玄関先まで見送る。
「じゃあ、星那ちゃん美術館の展覧会待ってるわね?」
「はい!」
「あ~もう!可愛い過ぎて持ち帰りたいぐらいだわ…」
笑顔で答える星那を名残惜しそうに見つめる菫に賛同するかのように椿が付け加える。
「兄さんが手放す時が来たら私が美嶋さんを貰うからね?」
「へ?」
「おい!何をふざけた事言っているんだ!椿!それにせなは男だぞ?お前にそんな趣味はないだろうが!」
すかさず止めに入る蓮に不敵な笑みを向けながら反論する。
「兄さん、俺は昔とは違うんだよ?趣味が変わってもおかしくはないよ」
「なっ…!?」
とんでもない問題発言をした椿を他所に絶句する星那と蓮は何も言い返す言葉が出なかった。
「じゃ、兄さんを宜しくね!」
「また遊びに来るよ…」
そう言うと絶句する星那と蓮を残し二人は帰って行った。
「あづい~~!アイスなしじゃ生きていけない~…」
ダイニングにて箱買いしたガリガリ君を全員で頬ばりながらエアコンの風に生き返っているとインターホンが鳴った。
ブーブーブー!
「人がせっかくアイス食べてる最中だってのにタイミング悪いな…」
あからさまに嫌そうな顔で言う蓮にアイスを食べ終わった星那が口を開く。
「俺ちょっと見てきますね!」
アイスのハズレ棒をゴミ箱に捨て玄関に向かいドアを開けるとそこには椿さんと菫さんの姿があった。
「え!?お二人共どうしたんですか!?」
「兄さんに少し用があってね…あ、でも安心して?もう絵を奪うような真似はしないから」
「え?」
椿の言葉にキョトンと首を傾げると椿さんの隣に立っていた菫さんが勢いよく飛びついてきた。
「あんっ!星那ちゃん可愛い~!」
ギューッ!
「うわっ!?ちょっ…苦しいです!それに星那ちゃんって…」
呼び方変わってるし…つか巨乳の胸に押し潰されて苦しいんですが…
菫の胸に押し潰されながらも必死に空気を吸っていると助け舟とばかりに椿が止めに入った。
「姉さん、美嶋さんを気に入ったからってそれじゃ窒息しちゃうよ」
「あら、そうね…ふふっ」
小さく笑いながら体を離す菫に安堵し胸を撫で下ろす。
た、助かったぁ~…!巨乳の胸に押し潰されて窒息なんて最悪過ぎる…
「すまないね、美嶋さん…姉さんは可愛いものには目がなくて」
「いえ…」
何だがそれってベリーさんと似てるんだけど…
椿の言葉に引き攣り笑いを零しつつ頭の中でデジャブのように抱きつくベリーの顔が浮かんだ。
「ところで、兄さんはいるのかな?」
「はい、今はアイス食べてる最中です」
「ふふっ…元気そうでなによりだわ」
蓮の様子を伝えると菫が嬉しそうに小さく笑った。
「じゃあ、とりあえずお邪魔しようかな?」
「はい!どうぞどうぞ!」
椿と菫をダイニングへと案内し中に入るなり二人の姿を見た蓮さんを含めその場の全員が驚いた顔をした。
「何でお前ら来たんだ…?」
驚きながら問いかける蓮にクスッと小さく菫が笑いながらも隣に立つ椿が説明をした。
「兄さんの思うような事をしに来たわけじゃないよ?今日は先日の式典についての兄さんへのお礼と兄さんを含めた美嶋さん達への謝罪をしに来たんだ」
「お礼に謝罪…?」
「私と椿はもう兄さんの生き方を否定する気もないし父さんと違い兄さんの味方よ」
「兄さんが式典であの時助けてくれなかったらきっと式典は成功してなかった…ありがとう。そして、今まで兄さんを否定してしまってごめん」
「いや、別に俺は大した事はしてない…兄として思った事を口にしただけだ」
少し照れ臭そうに言う蓮に傍で見ていた星那を含めた三人は小さく笑った。
「それでお礼といっては何だけど…興味があるか分からないけど、これ兄さん達に渡したくて…」
菫が懐から小切手のような紙を取り出すとそれを蓮の前に差し出した。
「展覧会…?」
そこには花々をテーマとした絵の展覧会の招待状だった。
「私が管理人として経営している美術館の一つなんだけど、今度展覧会をやる事になって…それで良かったらお礼も兼ねて見に来て欲しいなと思って」
「まぁ、招待は有難いが俺はもう絵には興味ないしな…隆二やせなや豹は行くか?」
「俺はやめておくよ、芸術を愛でるような柄じゃないからな」
「…俺も興味ない」
隆二と豹は首を横に振りすぐ側にいた星那に視線を向けると好奇心に満ちた目で手に持つ招待券を見ていた。
「せなは興味あるのか?」
「あります!美術館なんて初めてだし行ってみたいです!」
「ははっ…なら行くのはせな一人で決定だな。菫、せなだけで悪いが…」
ドンッ!
「やった~!星那ちゃんが来るなら大歓迎よ!嬉しいわ!」
嬉しそうに星那に抱きつき頬づりする菫を横目に呆れた視線で見ていた。
「ははっ…問題はなさそうだな」
*
それから一時間ぐらいの間、椿達と世間話をし玄関先まで見送る。
「じゃあ、星那ちゃん美術館の展覧会待ってるわね?」
「はい!」
「あ~もう!可愛い過ぎて持ち帰りたいぐらいだわ…」
笑顔で答える星那を名残惜しそうに見つめる菫に賛同するかのように椿が付け加える。
「兄さんが手放す時が来たら私が美嶋さんを貰うからね?」
「へ?」
「おい!何をふざけた事言っているんだ!椿!それにせなは男だぞ?お前にそんな趣味はないだろうが!」
すかさず止めに入る蓮に不敵な笑みを向けながら反論する。
「兄さん、俺は昔とは違うんだよ?趣味が変わってもおかしくはないよ」
「なっ…!?」
とんでもない問題発言をした椿を他所に絶句する星那と蓮は何も言い返す言葉が出なかった。
「じゃ、兄さんを宜しくね!」
「また遊びに来るよ…」
そう言うと絶句する星那と蓮を残し二人は帰って行った。
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