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潜入
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ガタッ…
「ん?何か物音しなかったか?」
「気のせいだろ…それより早く持って行かねぇと空さんに怒られちまう」
「だな…」
二人のホスト足音が遠ざかって行きホッと安堵するとロッカーのドアをゆっくりと開ける。
キー…
「ぷはぁ!ロッカー内臭すぎっ!」
香水と男特有の汗臭い匂いに息をとめていた星那はようやくかげた外の空気を吸い込む。
「更衣室は少し手入れした方がいいな」
星那の言葉を隣で聞いていた隆二が付け足す。
「はぁ…それよりまさか花吹雪に潜入する事になるとはな」
蓮は数分前の出来事を思い出しながら呟いた。
*
数分前…
バタバタバタバタンッ!!
「豹に…せな?どうした慌てて…」
勢いよく休憩所のドアを開け鬼の形相の星那と背後で重々しい顔をする豹の姿に部屋にいた蓮と隆二と明の三人は呆然となりながらも質問する。
「大変なんですっ!俺の友達が花吹雪に攫われて…!今すぐ行かないと…!それには色々計画しなきゃだしっ…!」
途端に畳み掛けるように話し出す星那に慌てて隆二が制する。
「せな、落ちつけ!ゆっくり事情を話してくれ…何があったんだ?」
「はい…実は、俺の友達が花吹雪の店の前で半ば強引に連れ込まれて…その友達はカナトってホストに入れ込んでて、前に店近くで花吹雪のホスト二人にカナトに払うお金が用意出来たのに会わせてもらえない事に言い合いになってる所を目撃してその日から心配してたんですが…うわっ!?」
悔しさで顔を歪ませながら俯いていると首根っこの襟を背後から豹に捕まれ振り返る。
「連れ込まれていった後にこいつがすぐに乗り込もうとしてたんで止めて一先ず蓮さん達に助けを願おうと思ったんすけど…」
「事情は分かった…とりあえず花吹雪に潜入してみるか」
蓮は重々しく呟くとその言葉に隆二が付け足す。
「潜入するのはいいが二手に別れて片方はそのせなの友達を探してもう片方はその間に注意を引き付けた方が懸命だな…」
「そうだな…いきなりライバル店のホストとして前に出るよりも花吹雪のバーターとして潜入した方が上手く立ち回れるだろうな…」
「じゃあ、とりあえず連れ込まれたせなの友達はせなと豹で探し出し店内状況把握と注意を引くのは俺と蓮で行くとするか?」
「その方が妥当だな…んじゃ行くとす…」
「あの!俺は…?」
話がついた所で一同動こうとするとそれまで黙って聞いていた明が間を割る。
「お前は留守番だ」
「なっ!?何ですか!?俺だって役に立ちますよ!」
「ん~…じゃあ、明は俺達が店を開けている間に他ホスト達を仕切ってくれ!頼む!」
「そ、そんな頼むなんて言われたらやるしかないじゃないっすかぁ~…」
あからさまに嬉しそうな明の様子に星那は内心”…単純”と毒づいていた。
「じゃ、後は宜しくな?」
「おっす!」
*
…現在
裏口付近でボーイを捕まえ衣服を剥ぎ取りボーイに変装し店内に潜入した星那を含む四人は見つからないように歩きながら現在は更衣室にて身を隠していた。
「…んじゃ、せなは豹と一緒に店内を周り連れ込まれた友達を探しに行け!」
「でもあの…さっきから豹の姿がないんですけど」
「”はぁ!?”」
その場にいた蓮と隆二は驚きの声をあげすぐ様口を塞ぎ辺りを見渡す。
「はぁ…豹の奴何処に消えたんだ?」
「ん?何か物音しなかったか?」
「気のせいだろ…それより早く持って行かねぇと空さんに怒られちまう」
「だな…」
二人のホスト足音が遠ざかって行きホッと安堵するとロッカーのドアをゆっくりと開ける。
キー…
「ぷはぁ!ロッカー内臭すぎっ!」
香水と男特有の汗臭い匂いに息をとめていた星那はようやくかげた外の空気を吸い込む。
「更衣室は少し手入れした方がいいな」
星那の言葉を隣で聞いていた隆二が付け足す。
「はぁ…それよりまさか花吹雪に潜入する事になるとはな」
蓮は数分前の出来事を思い出しながら呟いた。
*
数分前…
バタバタバタバタンッ!!
「豹に…せな?どうした慌てて…」
勢いよく休憩所のドアを開け鬼の形相の星那と背後で重々しい顔をする豹の姿に部屋にいた蓮と隆二と明の三人は呆然となりながらも質問する。
「大変なんですっ!俺の友達が花吹雪に攫われて…!今すぐ行かないと…!それには色々計画しなきゃだしっ…!」
途端に畳み掛けるように話し出す星那に慌てて隆二が制する。
「せな、落ちつけ!ゆっくり事情を話してくれ…何があったんだ?」
「はい…実は、俺の友達が花吹雪の店の前で半ば強引に連れ込まれて…その友達はカナトってホストに入れ込んでて、前に店近くで花吹雪のホスト二人にカナトに払うお金が用意出来たのに会わせてもらえない事に言い合いになってる所を目撃してその日から心配してたんですが…うわっ!?」
悔しさで顔を歪ませながら俯いていると首根っこの襟を背後から豹に捕まれ振り返る。
「連れ込まれていった後にこいつがすぐに乗り込もうとしてたんで止めて一先ず蓮さん達に助けを願おうと思ったんすけど…」
「事情は分かった…とりあえず花吹雪に潜入してみるか」
蓮は重々しく呟くとその言葉に隆二が付け足す。
「潜入するのはいいが二手に別れて片方はそのせなの友達を探してもう片方はその間に注意を引き付けた方が懸命だな…」
「そうだな…いきなりライバル店のホストとして前に出るよりも花吹雪のバーターとして潜入した方が上手く立ち回れるだろうな…」
「じゃあ、とりあえず連れ込まれたせなの友達はせなと豹で探し出し店内状況把握と注意を引くのは俺と蓮で行くとするか?」
「その方が妥当だな…んじゃ行くとす…」
「あの!俺は…?」
話がついた所で一同動こうとするとそれまで黙って聞いていた明が間を割る。
「お前は留守番だ」
「なっ!?何ですか!?俺だって役に立ちますよ!」
「ん~…じゃあ、明は俺達が店を開けている間に他ホスト達を仕切ってくれ!頼む!」
「そ、そんな頼むなんて言われたらやるしかないじゃないっすかぁ~…」
あからさまに嬉しそうな明の様子に星那は内心”…単純”と毒づいていた。
「じゃ、後は宜しくな?」
「おっす!」
*
…現在
裏口付近でボーイを捕まえ衣服を剥ぎ取りボーイに変装し店内に潜入した星那を含む四人は見つからないように歩きながら現在は更衣室にて身を隠していた。
「…んじゃ、せなは豹と一緒に店内を周り連れ込まれた友達を探しに行け!」
「でもあの…さっきから豹の姿がないんですけど」
「”はぁ!?”」
その場にいた蓮と隆二は驚きの声をあげすぐ様口を塞ぎ辺りを見渡す。
「はぁ…豹の奴何処に消えたんだ?」
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