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嘘と真実
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ドンドン…ドンドン…
「おい!少しは落ち着け、隆二」
何か考えながら同じ場所を行ったり来たりしている隆二に、蓮は見かねて制する言葉をかける。
「だが、星那がまだ熱があるっていうし…」
「豹がずっと付きっきりで看病してるんだろ?なら心配する事ないだろ?」
「それもそうだが星那様子がどうしても気になってな…」
「なら顔見に行けばいいだろ?」
「豹が風邪が移るから絶対はいるなって…二人も店休んでるうえに店のトップの二人まで休んだら大変だというからなぁ…」
「はぁ…少しぐらい様子見るくらい大丈夫だろ」
「だが…」
「あのなぁ?ずっと目の前でウロウロされるよりさっさと顔だけ見てくれた方が気が休まるっつーの!」
「わ、分かった!少しだけ見てくるぐらいなら…」
ガチャ
「ん?どうしたんですか?隆二さん」
ギクッ
突然ダイニングに入って来た豹にドア付近からすかさず後ずさりキッチンの前に立つ。
「いや、何でもないぞ…?」
冷や汗たっぷりの内心を誤魔化すように笑顔で答えると特に不審がる様子もなく玄関先に向かう豹にソファに寝そべっていた蓮が声をかけた。
「豹、どこ行くんだ?」
「明日の朝の分までのご飯の材料が足りないので買い出しに…ついでに星那のやつにゼリーでもと」
「そうか、ありがとな!」
「いえ…」
そう言うと買い物袋を手に買い出しに出ていった。
「隆二!今のうちに星那の様子見に行ってこい!これやるから…」
ポンッ
鍵を投げられ受け取るとそれに驚いて蓮に問いかける。
「これどうしたんだ?」
「俺はこの家の大家だぞ?スペアの鍵ぐらい持ってる」
「そうだったな」
「それより早く今のうちに行け!早くしないと豹が帰ってくるぞ」
「分かった…!見張り頼む」
「おう」
*
そういえば、せなの部屋なんて入った事なかったな…
星那の部屋の前まで来ると意を決して蓮からもらった鍵で部屋のロックを開けドアをゆっくりと開ける。
キー…
「せな入るぞ…」
中は可愛らしい小物やぬいぐるみに埋め尽くされいささか女の子らしい部屋に驚いていると端の方でベッドの上で寝ている星那の姿が目に入った。
「せな大丈夫なの…か……えっ…!?」
寝ている星那の顔を覗き込むとそこには髪の短い星那の姿ではなく黒く艶やかな長い髪型の星那の姿があった。
「まるで女みたいだ…」
別人すぎる星那の姿に無意識に確かめようと毛布に手をかけめくる。
「なっ…!?」
男ならあるはずもないものがそこにあり毛布に手をかけていた手が止まり思考すらも静止する。
「どういう事だ…?せなは男のはず…だがこれはどう見ても…」
女だ…
あまりのことに動揺していると突然星那が寝返りをうち隆二の方に顔が向けられた形となった。
「っ…」
星那の少し開いたTシャツから胸元が少し見え思わず口を抑えて視線を逸らす。
コンコン
「隆二~!」
するとタイミング悪く蓮がドアの前で名前を呼ぶ声がし慌てて星那に毛布を被せて中の様子を見られないようにドアを閉め蓮の前に立つ。
バタンッ!
「ど、どうしたんだ急に…?」
「いや、せなの顔俺も見ようかな~と思ってよ!」
「いや、お前まで来るのはやめた方がいい!豹が来たら大変だろ?」
「それもそうだな…ま、治ってから顔みた方が嬉しいしな!」
「そうだな!それより豹がもうすぐ帰って来るかもしれないから早くもどるぞ!」
「お、おい…押すなって!」
慌てて蓮の背中を押し星那の部屋から遠ざけるようにダイニングへと向かった。
豹はせなが女だと知っていたのか…?
ずっと看病して断固として中に入らせなかった豹を思いこの事実を既に知っていたのでは?という疑問と何故この事をせなも含め二人は隠しているのか?という謎が頭の中で回っていた…
「おい!少しは落ち着け、隆二」
何か考えながら同じ場所を行ったり来たりしている隆二に、蓮は見かねて制する言葉をかける。
「だが、星那がまだ熱があるっていうし…」
「豹がずっと付きっきりで看病してるんだろ?なら心配する事ないだろ?」
「それもそうだが星那様子がどうしても気になってな…」
「なら顔見に行けばいいだろ?」
「豹が風邪が移るから絶対はいるなって…二人も店休んでるうえに店のトップの二人まで休んだら大変だというからなぁ…」
「はぁ…少しぐらい様子見るくらい大丈夫だろ」
「だが…」
「あのなぁ?ずっと目の前でウロウロされるよりさっさと顔だけ見てくれた方が気が休まるっつーの!」
「わ、分かった!少しだけ見てくるぐらいなら…」
ガチャ
「ん?どうしたんですか?隆二さん」
ギクッ
突然ダイニングに入って来た豹にドア付近からすかさず後ずさりキッチンの前に立つ。
「いや、何でもないぞ…?」
冷や汗たっぷりの内心を誤魔化すように笑顔で答えると特に不審がる様子もなく玄関先に向かう豹にソファに寝そべっていた蓮が声をかけた。
「豹、どこ行くんだ?」
「明日の朝の分までのご飯の材料が足りないので買い出しに…ついでに星那のやつにゼリーでもと」
「そうか、ありがとな!」
「いえ…」
そう言うと買い物袋を手に買い出しに出ていった。
「隆二!今のうちに星那の様子見に行ってこい!これやるから…」
ポンッ
鍵を投げられ受け取るとそれに驚いて蓮に問いかける。
「これどうしたんだ?」
「俺はこの家の大家だぞ?スペアの鍵ぐらい持ってる」
「そうだったな」
「それより早く今のうちに行け!早くしないと豹が帰ってくるぞ」
「分かった…!見張り頼む」
「おう」
*
そういえば、せなの部屋なんて入った事なかったな…
星那の部屋の前まで来ると意を決して蓮からもらった鍵で部屋のロックを開けドアをゆっくりと開ける。
キー…
「せな入るぞ…」
中は可愛らしい小物やぬいぐるみに埋め尽くされいささか女の子らしい部屋に驚いていると端の方でベッドの上で寝ている星那の姿が目に入った。
「せな大丈夫なの…か……えっ…!?」
寝ている星那の顔を覗き込むとそこには髪の短い星那の姿ではなく黒く艶やかな長い髪型の星那の姿があった。
「まるで女みたいだ…」
別人すぎる星那の姿に無意識に確かめようと毛布に手をかけめくる。
「なっ…!?」
男ならあるはずもないものがそこにあり毛布に手をかけていた手が止まり思考すらも静止する。
「どういう事だ…?せなは男のはず…だがこれはどう見ても…」
女だ…
あまりのことに動揺していると突然星那が寝返りをうち隆二の方に顔が向けられた形となった。
「っ…」
星那の少し開いたTシャツから胸元が少し見え思わず口を抑えて視線を逸らす。
コンコン
「隆二~!」
するとタイミング悪く蓮がドアの前で名前を呼ぶ声がし慌てて星那に毛布を被せて中の様子を見られないようにドアを閉め蓮の前に立つ。
バタンッ!
「ど、どうしたんだ急に…?」
「いや、せなの顔俺も見ようかな~と思ってよ!」
「いや、お前まで来るのはやめた方がいい!豹が来たら大変だろ?」
「それもそうだな…ま、治ってから顔みた方が嬉しいしな!」
「そうだな!それより豹がもうすぐ帰って来るかもしれないから早くもどるぞ!」
「お、おい…押すなって!」
慌てて蓮の背中を押し星那の部屋から遠ざけるようにダイニングへと向かった。
豹はせなが女だと知っていたのか…?
ずっと看病して断固として中に入らせなかった豹を思いこの事実を既に知っていたのでは?という疑問と何故この事をせなも含め二人は隠しているのか?という謎が頭の中で回っていた…
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