男装ホストは未来を見る

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遭難

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お目当ての抹茶のアップルパイも食べ終わりすっかり涼んで生き返った所で頂上を目指す為出たくないという理沙とまひるを叱咤しお店を出ると先程の暑い日差しと湿度の高い空気に熱気がすぐさま襲ってきた。

「ねぇ…また休憩所スポットってあるかなぁ…?」

「えっと…ないみたいです」

「そ、そんなぁ…」

汗だくになりながら落胆する理沙に周りの四人も落胆した顔をする。

「あ!この先少し荒れた道になるので足元に気をつけてください!」

岩などがゴロゴロあり道端が狭くなっていく道に足を滑らせたら下にある森林深くに落ちるという状況に暑さで気が緩んでいた気持ちを引き締める。

「皆なるべく前の人と空間あけないように行こう!」

「はぁ…はぁ…はいぃ…!」

「ひのちゃん大丈夫?」

息の上がっているひのちゃんが心配になり振り向くと急な登りにかかり足取りが先程より遅くなっていた。

「だ、だいじょうぶ…です…」

どう見ても大丈夫に見えないんだけど…

「ひのさん、荷物一つ持ちましょうか?」

「ありがとう寧々ちゃん…でも本当に大丈夫だから…!」

力なく首を横に振り断るひのちゃんに星那も含め荷物を持とうとした寧々ちゃんまでもが心配そうな顔を浮かべた。

「本当に無理だったらちゃんと言うんだよ…?」

「お気遣いありがとうございます…星那先輩…!」

数分程荒れた道を歩いていると突然頬に雫が落ち見上げるといつの間にか空が曇っており雨が降ってきた。

「やばい…!雨だ!」

皆すかさずリュックからカッパを取り出し身につけていく。

ズリッ!

「え…?きゃあぁぁぁぁぁ!?」

「ひのちゃんっ!!!」

すると雨の影響で地面が濡れそれに後ろで足を滑らせたひのちゃんがその反動で下の森林深くに落ちていった。

「ど、どどうしよう!?ひのちゃんが!ひのちゃんが!」

パシッ

「…落ち着け」

豹は動揺しきって混乱していた星那の手を掴むと冷静に今成すべき事を淡々と言う。

「俺達だけでどうにかなるような状況じゃないだろ?まずは警察に連絡するぞ!」

「う、うん…」

するとその言葉を聞いた理沙がすぐさまリュックから携帯を取り出し警察に連絡する。

「…はい、一緒に山登りをしてた際に友達が足を滑らせて落ちてしまって…翔星山の真ん中付近です……はい、分かりました…」

ピッ…

「どうだった理沙?警察はなんて?」

まひるは電話を終えた理沙に詰め寄るとすぐさま問いただす。

「今からこっちに捜索隊を連れて行くって…私達は動くの危険だからこの場から離れないようにって」

「そうか…」

「あ、あの!大丈夫ですよね!?ひのさん大丈夫ですよね!?」

動揺する寧々ちゃんの表情にその場の誰一人として確実な言葉が出なかった。

「…きっと大丈夫だよ!今は大丈夫だって信じよう!」

めちゃくちゃ心配そうな表情のまま何とか寧々ちゃんにそう投げかける。

「はい…」
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