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少女の影
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「ひのちゃ~ん!こっちこっち!」
理沙は屋上から中庭にいるひのちゃんに手を振る。
「ひのちゃんは生徒会書記で忙しいからね」
小柄で大人しいひのちゃんだがしっかり者の一面もあり生徒会に入って書記をしている。
ますますあのバカ明と同じ兄妹だとは思えないよね…
心の中でつくづく思っていると程なくして屋上のドアから走り疲れたひのちゃんがやって来た。
「お疲れひのちゃん、ジュースいる?飲みかけだけど」
「お、恐れ多いです!星那先輩の飲みかけなんて貴重すぎて飲めません!」
「そんな大袈裟な…」
「お気遣いだけで充分嬉しいので大丈夫です!」
「ん~…」
どうしたものかな…
「星那、これなら受け取って貰えるんじゃない?」
理沙からまだ誰も手をつけてない緑茶を受け取る。
「なら、緑茶ならどうかな?まだ誰も手つけてないしこれは理沙から貰ったものだから」
「では、お言葉に甘えて頂きます!」
やっと受け取ってくれたひのちゃんに安堵しつつ、かなり喉が乾いてたらしいひのちゃんは緑茶を受け取るとすぐに勢いよく飲み干す。
「ぷはぁ!生き返りました!」
「よかった」
これで全員が揃い屋上にて昨日の火事の件をあらかた簡単に話す事にした。
「実は…昨日色々あってアパートが火事にあっちゃって物とか衣類とか何もかもなくなっちゃたんだけど、その後住むところもなくて路頭に迷ってたところをバイトの先輩に助けてもらって今は居候させてもらって何もかもお世話になってるの。だから、今は全然大丈夫だから心配しないで」
一部話を伏せて包み隠さず話すと皆大丈夫という言葉に安堵した表情を見せた。
豹の事まで話して一緒に暮らしてるなんて言えないからね…
「よかったァァァ!!星那が無事で!!」
再度泣きながら飛びつく理沙の背中をさすりつつ、安堵した涙を流すひのちゃんの頭を撫でる。
本当にいい友達や後輩をもったなぁ…
皆の涙に心の中で心底そう思うのであった。
*
ピッ
「次~!」
放課後のグランドではサッカー部がシュート練習をしており、バイトのため急いでいた星那は途上から降ってくるボールに気づかなかった。
ドンッ
「いたっ!」
思いっきり頭に当たりその衝撃で座り込むと、そのボールを蹴った男子生徒と思われる声がかかった。
「すみません!大丈夫で…って美嶋 星那さん!?」
男子生徒の驚く声に顔を上げると慌てふためいている男子生徒の姿があった。
「本当にすみません!大丈夫ですか?」
視線に気づいた男子生徒はおずおずと手を差し伸べ、それを掴んで起き上がる。
「大丈夫大丈夫!それよりはい、これ…」
立ち上がる際に拾ったボールを差し出すと男子生徒は申し訳なさそうにそれを受け取る。
「すみません、ありがとうございます」
「練習頑張ってください」
「はい!本当にすみませんでした!」
男子生徒は勢いよく頭を下げると練習に戻って行った。
「比留間~!何やってんだ~!」
「すみません~!」
比留間…?
その名前に再度男子生徒を見るとその奥にある木陰にてこちらを伺う女子生徒の姿があった。
あの子…
その様子に何かがひっかかり悩んでいるとバイトの時間を知らせる時計の音が鳴った。
やばい!
気になる事はいくつかあるが、今はバイト時間に間に合わせるために急いで走った。
理沙は屋上から中庭にいるひのちゃんに手を振る。
「ひのちゃんは生徒会書記で忙しいからね」
小柄で大人しいひのちゃんだがしっかり者の一面もあり生徒会に入って書記をしている。
ますますあのバカ明と同じ兄妹だとは思えないよね…
心の中でつくづく思っていると程なくして屋上のドアから走り疲れたひのちゃんがやって来た。
「お疲れひのちゃん、ジュースいる?飲みかけだけど」
「お、恐れ多いです!星那先輩の飲みかけなんて貴重すぎて飲めません!」
「そんな大袈裟な…」
「お気遣いだけで充分嬉しいので大丈夫です!」
「ん~…」
どうしたものかな…
「星那、これなら受け取って貰えるんじゃない?」
理沙からまだ誰も手をつけてない緑茶を受け取る。
「なら、緑茶ならどうかな?まだ誰も手つけてないしこれは理沙から貰ったものだから」
「では、お言葉に甘えて頂きます!」
やっと受け取ってくれたひのちゃんに安堵しつつ、かなり喉が乾いてたらしいひのちゃんは緑茶を受け取るとすぐに勢いよく飲み干す。
「ぷはぁ!生き返りました!」
「よかった」
これで全員が揃い屋上にて昨日の火事の件をあらかた簡単に話す事にした。
「実は…昨日色々あってアパートが火事にあっちゃって物とか衣類とか何もかもなくなっちゃたんだけど、その後住むところもなくて路頭に迷ってたところをバイトの先輩に助けてもらって今は居候させてもらって何もかもお世話になってるの。だから、今は全然大丈夫だから心配しないで」
一部話を伏せて包み隠さず話すと皆大丈夫という言葉に安堵した表情を見せた。
豹の事まで話して一緒に暮らしてるなんて言えないからね…
「よかったァァァ!!星那が無事で!!」
再度泣きながら飛びつく理沙の背中をさすりつつ、安堵した涙を流すひのちゃんの頭を撫でる。
本当にいい友達や後輩をもったなぁ…
皆の涙に心の中で心底そう思うのであった。
*
ピッ
「次~!」
放課後のグランドではサッカー部がシュート練習をしており、バイトのため急いでいた星那は途上から降ってくるボールに気づかなかった。
ドンッ
「いたっ!」
思いっきり頭に当たりその衝撃で座り込むと、そのボールを蹴った男子生徒と思われる声がかかった。
「すみません!大丈夫で…って美嶋 星那さん!?」
男子生徒の驚く声に顔を上げると慌てふためいている男子生徒の姿があった。
「本当にすみません!大丈夫ですか?」
視線に気づいた男子生徒はおずおずと手を差し伸べ、それを掴んで起き上がる。
「大丈夫大丈夫!それよりはい、これ…」
立ち上がる際に拾ったボールを差し出すと男子生徒は申し訳なさそうにそれを受け取る。
「すみません、ありがとうございます」
「練習頑張ってください」
「はい!本当にすみませんでした!」
男子生徒は勢いよく頭を下げると練習に戻って行った。
「比留間~!何やってんだ~!」
「すみません~!」
比留間…?
その名前に再度男子生徒を見るとその奥にある木陰にてこちらを伺う女子生徒の姿があった。
あの子…
その様子に何かがひっかかり悩んでいるとバイトの時間を知らせる時計の音が鳴った。
やばい!
気になる事はいくつかあるが、今はバイト時間に間に合わせるために急いで走った。
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