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イベント回避作戦会議
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まだ眠気で頭がはっきりしない朝の四時頃、枕元に置いていた携帯が鳴り響いた。
今日は午後から喫茶店のバイトと夜中に居酒屋のバイトがあるのでそれまで起きずに睡眠を取ろうと決め込んでいたのだが思わぬ携帯の音に嫌々ながらも見るとれいにぃとかかれた着信ですかさず出る。
「も、もしもし…?」
「今からお前が通ってる神社の近くの公園にこい。以上」
ブチ…ツーツー
私まだ返事してないんですけど…
自分勝手な葉山に嫌々ながらも仕方ないと身支度をし指定された公園に向かった。
馴染みある神社を通り過ぎ近くの人通りが多い公園のベンチにトレーナー姿で音楽を聴きながらペットボトルの水を飲む葉山が座っていた。
「れいにぃ、言われた通り来たけど…」
「…」
あれ?聞こえてない?
葉山の右側に座り耳元で叫んでみる。
「れいにぃー!!」
「うわっ!?お前いつの間にっ…」
葉山は耳につけていたイヤホンを取ると若干怒っているかなに問いかける。
「むぅ…れいにぃが呼び出したんじゃん!ここにこいって!」
「悪い悪い、イヤホンしてて気づかなかった」
「むぅ…それより、私に何か用があるんでしょ?」
「ああ、昨日電話で金城の誘い断れなくてまんまと承諾してそのまま俺に謝罪してきたかなに用があるんだった…」
「うっ…」
今度は自分が怒られる番だと確信し思わず身を引こうとするとそっと引こうとした左腕を掴まれ逃げ場を失くした。
「あんだけ断れって忠告したよな?」
「だっ、だって金城先輩が怖すぎて…」
「で、おずおずと承諾したと?」
「うっ…ご、ごめんなひゃい!」
あまりの葉山の迫りように思わず声が裏返る。
「はぁ…こうなってしまったからには仕方ない、俺も海イベ行く」
「へ?」
「俺は、今回の海イベに出るようなシナリオはないからな…予想外の俺の出現に多少は話も変わるだろう」
「そうなんだ、じゃあ大丈夫だね!」
「なわけねぇだろ、馬鹿!」
葉山は呑気な顔で言う雪のおでこに軽くデコピンをする。
「痛っ!?」
「話はそう簡単じゃない、あくまで予想外の俺が出るだけでヒロインへのイベントの内容は変わらないはずだ。変えるためにはことごとく確定されたイベント避けなければいけない」
「そうだった、避けるのだけでも難しいのに新しく自分達でイベントを起こさなきゃいけないんだよね?」
「ああ…まず、海イベに行く攻略対象者は五人。言い出した張本人の金城と遊びだと聞いてついてくる赤井兄弟とヒロインが行くと知ってついてくる高宮と神崎が野暮用のため親しい友人の桂馬…」
「あれ?生徒会と風紀の仕事してる立川先輩は?」
「あいつは、大会での疲れとるためとかいって一人で自主練するから行かなかったのだろう…」
「あー、立川先輩ならありそう…」
「海イベの詳しい詳細は後から金城から聞かされると思うが舞台はある外国の島国だ。そこで滞在三日間過ごすことになる」
「三日間!?他にバイトがあるのに…あの黒王子めっ!」
「その三日間の間に起こるイベントは一日目にかき氷を桂馬と食べるイベと夕日の中で高宮と歩くイベがある」
「う~ん、一日目は何とか避けれそうかも…」
「二日目は大雨で外出出来ず中で過ごすのだが、停電で赤井兄弟のどちらかと一緒に二人で電気を探しにいくイベと夜に雷に怯えて金城と一緒の布団で寝るイベがある」
「な、なななんですと!?あの黒王子と一緒の布団で寝る!?無理無理っ!絶対ないって!」
「どんなに否定しても現実ではあるんだ。いわばこの世界が決めた運命みたいなもんだからな…」
「そんなぁ…」
「三日目は桂馬と高宮に海で溺れてるとこ助けてもらうイベと帰りに一緒に金城とお土産を買うイベがある」
「さっそく死亡フラグなってんじゃん…ていうか私はそう簡単に海で溺れるような事はないと思うんだけど?」
「だから、さっきも言っただろうが!ないと思うような事が起きるんだよ、この世界では…」
「だ、だって信じられないんだもん!」
「信じられないって…実際お前一回死にかけただろうが!それが現実なんだよ、それがこの世界がゲーム世界だって証明されてる証拠だろうが…」
「…うん、そうだね」
まだ私が心のどこかで信じたくないだけなのかな…
この世界がゲーム世界だって…
あからさまに目を伏せ落ち込む雪になんだかいたたまれなくなりその綺麗なストレートの黒髪にそっと触れる。
「心配するな?…俺がいる」
雪は俯いていた顔をあげ途上で玩具眼鏡のせいで口元しか見えないがその口元だけでも眼鏡の裏で前世の時みたいなれいにぃの笑顔をしているのが分かり笑い返した。
「うん…」
「とにかく、海イベが始まる前にこっちはもう一つのカードを切り出さなきゃな…」
「もう一つのカード?」
「ああ、海イベには攻略対象者だけではなく本物のヒロインである七瀬も行くだろう…だが、そこにもう一人の予想外な人物がいればまた話は変わる」
「れいにぃ以外のもう一人の人物って?」
「行院 アリスだ…」
「アリス!?で、でもアリスは高宮くんがいるから誘っても行けないんじゃ…」
「いや、その逆だ。行院は高宮の婚約者だった頃の行院とは違う、お前や七瀬のおかげで今では一人に執着するのではなくしっかり周りをみて人の心を分かるようになり自立しつつある。誰かに頼るのではなく自分自身で決めて悪い事と良いことの区別をつけれるようになっているからこそ自分のせいで沢山の人を傷つけもっともその原因であった高宮に本心から謝罪したい気持ちがあるはずだ。だから、行院は海イベの誘いにのる…」
「なるほど…でも、まだ推測でしかないんだよね?」
「ああ、だがやってみなきゃ分からないのは事実だ」
「うん、なら私がアリスを誘う。アリスと一番仲良い私なら承諾してくれるかもだし…」
「ああ、なら行院の事は頼んだぞ?」
「うん!」
海イベまであと二日…
今日は午後から喫茶店のバイトと夜中に居酒屋のバイトがあるのでそれまで起きずに睡眠を取ろうと決め込んでいたのだが思わぬ携帯の音に嫌々ながらも見るとれいにぃとかかれた着信ですかさず出る。
「も、もしもし…?」
「今からお前が通ってる神社の近くの公園にこい。以上」
ブチ…ツーツー
私まだ返事してないんですけど…
自分勝手な葉山に嫌々ながらも仕方ないと身支度をし指定された公園に向かった。
馴染みある神社を通り過ぎ近くの人通りが多い公園のベンチにトレーナー姿で音楽を聴きながらペットボトルの水を飲む葉山が座っていた。
「れいにぃ、言われた通り来たけど…」
「…」
あれ?聞こえてない?
葉山の右側に座り耳元で叫んでみる。
「れいにぃー!!」
「うわっ!?お前いつの間にっ…」
葉山は耳につけていたイヤホンを取ると若干怒っているかなに問いかける。
「むぅ…れいにぃが呼び出したんじゃん!ここにこいって!」
「悪い悪い、イヤホンしてて気づかなかった」
「むぅ…それより、私に何か用があるんでしょ?」
「ああ、昨日電話で金城の誘い断れなくてまんまと承諾してそのまま俺に謝罪してきたかなに用があるんだった…」
「うっ…」
今度は自分が怒られる番だと確信し思わず身を引こうとするとそっと引こうとした左腕を掴まれ逃げ場を失くした。
「あんだけ断れって忠告したよな?」
「だっ、だって金城先輩が怖すぎて…」
「で、おずおずと承諾したと?」
「うっ…ご、ごめんなひゃい!」
あまりの葉山の迫りように思わず声が裏返る。
「はぁ…こうなってしまったからには仕方ない、俺も海イベ行く」
「へ?」
「俺は、今回の海イベに出るようなシナリオはないからな…予想外の俺の出現に多少は話も変わるだろう」
「そうなんだ、じゃあ大丈夫だね!」
「なわけねぇだろ、馬鹿!」
葉山は呑気な顔で言う雪のおでこに軽くデコピンをする。
「痛っ!?」
「話はそう簡単じゃない、あくまで予想外の俺が出るだけでヒロインへのイベントの内容は変わらないはずだ。変えるためにはことごとく確定されたイベント避けなければいけない」
「そうだった、避けるのだけでも難しいのに新しく自分達でイベントを起こさなきゃいけないんだよね?」
「ああ…まず、海イベに行く攻略対象者は五人。言い出した張本人の金城と遊びだと聞いてついてくる赤井兄弟とヒロインが行くと知ってついてくる高宮と神崎が野暮用のため親しい友人の桂馬…」
「あれ?生徒会と風紀の仕事してる立川先輩は?」
「あいつは、大会での疲れとるためとかいって一人で自主練するから行かなかったのだろう…」
「あー、立川先輩ならありそう…」
「海イベの詳しい詳細は後から金城から聞かされると思うが舞台はある外国の島国だ。そこで滞在三日間過ごすことになる」
「三日間!?他にバイトがあるのに…あの黒王子めっ!」
「その三日間の間に起こるイベントは一日目にかき氷を桂馬と食べるイベと夕日の中で高宮と歩くイベがある」
「う~ん、一日目は何とか避けれそうかも…」
「二日目は大雨で外出出来ず中で過ごすのだが、停電で赤井兄弟のどちらかと一緒に二人で電気を探しにいくイベと夜に雷に怯えて金城と一緒の布団で寝るイベがある」
「な、なななんですと!?あの黒王子と一緒の布団で寝る!?無理無理っ!絶対ないって!」
「どんなに否定しても現実ではあるんだ。いわばこの世界が決めた運命みたいなもんだからな…」
「そんなぁ…」
「三日目は桂馬と高宮に海で溺れてるとこ助けてもらうイベと帰りに一緒に金城とお土産を買うイベがある」
「さっそく死亡フラグなってんじゃん…ていうか私はそう簡単に海で溺れるような事はないと思うんだけど?」
「だから、さっきも言っただろうが!ないと思うような事が起きるんだよ、この世界では…」
「だ、だって信じられないんだもん!」
「信じられないって…実際お前一回死にかけただろうが!それが現実なんだよ、それがこの世界がゲーム世界だって証明されてる証拠だろうが…」
「…うん、そうだね」
まだ私が心のどこかで信じたくないだけなのかな…
この世界がゲーム世界だって…
あからさまに目を伏せ落ち込む雪になんだかいたたまれなくなりその綺麗なストレートの黒髪にそっと触れる。
「心配するな?…俺がいる」
雪は俯いていた顔をあげ途上で玩具眼鏡のせいで口元しか見えないがその口元だけでも眼鏡の裏で前世の時みたいなれいにぃの笑顔をしているのが分かり笑い返した。
「うん…」
「とにかく、海イベが始まる前にこっちはもう一つのカードを切り出さなきゃな…」
「もう一つのカード?」
「ああ、海イベには攻略対象者だけではなく本物のヒロインである七瀬も行くだろう…だが、そこにもう一人の予想外な人物がいればまた話は変わる」
「れいにぃ以外のもう一人の人物って?」
「行院 アリスだ…」
「アリス!?で、でもアリスは高宮くんがいるから誘っても行けないんじゃ…」
「いや、その逆だ。行院は高宮の婚約者だった頃の行院とは違う、お前や七瀬のおかげで今では一人に執着するのではなくしっかり周りをみて人の心を分かるようになり自立しつつある。誰かに頼るのではなく自分自身で決めて悪い事と良いことの区別をつけれるようになっているからこそ自分のせいで沢山の人を傷つけもっともその原因であった高宮に本心から謝罪したい気持ちがあるはずだ。だから、行院は海イベの誘いにのる…」
「なるほど…でも、まだ推測でしかないんだよね?」
「ああ、だがやってみなきゃ分からないのは事実だ」
「うん、なら私がアリスを誘う。アリスと一番仲良い私なら承諾してくれるかもだし…」
「ああ、なら行院の事は頼んだぞ?」
「うん!」
海イベまであと二日…
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