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疑問の交差
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試合に向けてバスケ部の練習が始まりそれと同時に夏休みに突入した。
私はバイトとバスケ部のマネージャーを何とか両立させ夏休みだというのに休みのない日が続いていた。
バスケ部はというと一回戦二回戦と無事に突破し次の三回戦でインターハイにいけるかどうかがかかっていた。
その三回戦の前日、葉山先生からバスケ部メンバー全員に「今までのように甘くはいかない…全員気を引き締めていくように!」と言われ立川先輩も含めバスケ部全員の顔が真剣な眼差しになった。
ここ数週間、葉山先生を見ていた私は見た目は置いといて性格は鬼と呼ばれるぐらい怖いのは反面、根は優しい人なのだとここ数週間見ていて分かった。
そして、葉山先生といると何だか懐かしい気持ちになる…
それが何でなのかは自分の心に何度聞いても答えは出なかった。
もしかしたら、昔どこかで会っているのかもしれない…
そんな憶測でしかない推測が頭をよぎった。
「相浦、まだ居たのか?」
誰もいない体育館で一人バスケットボールを磨いていた私は体育館の扉から出てきた葉山先生に目を丸くした。
「葉山先生こそ、もう生徒は誰もいないはずなのに何故体育館に?」
「あ、えーと…明日が最後と思ったら何となく足がここに来てしまったというかなんというか…」
「ふふっ その気持ち分かります。私もいても立ってもいられなくて今日はバイトもないですし何となくバスケットボール磨いてしまっていて…」
「ははっ 何かしてないと落ちつかないって感じだな」
「それですっ!ふははっ」
初めてみる葉山先生の笑顔につい私も乗っては互いに笑い出す。
まぁ、玩具眼鏡のせいで口元と声でしか笑っている姿は見えないのだけど…
「俺も一緒に磨いていいか?」
「あ、はい。どうぞ…」
葉山先生にバスケットボールを一つ渡すと葉山先生はそれを受け取り私の隣に腰を下ろした。
「なぁ、相浦。お前…兄とかいるか?」
「え?兄ですか?私は下の弟と妹しかいないので上はいません…」
「そうか…」
「何でそんな事聞くんですか?」
「いや、何となくいそうだなぁって思っただけだ。気にするな…」
「?そういうなら流しますが…」
「…変な質問なのは承知の上でもう一回質問していいか?」
「え、構いませんけど…」
葉山先生、どうしたんだろう?
いつもの葉山先生とは何か違うっていうか…
「前世って信じるか?」
?!
「えっ…」
何で葉山先生がそんな事を…?
思わず”前世”という言葉に固まる私は急にきた質問に頭の中でパニック状態だった。
「相浦?」
返事のない私を訝しりながら私の方へ振り向く葉山先生に「このままだと、怪しまれるっ…」と思い咄嗟に返事を返す。
「わ、私は実際に体験した事しか信じられませんっ…」
「そう…か…」
「どうしてそんな事を私に聞くんですか?」
「特に理由はない。だが、俺は前世を信じてる。そう、相浦に言いたかっただけだ…」
「そ、そうですか…」
その後、葉山先生との距離が上手く取れず互いに沈黙が続き、磨き終わると明日の時間を確認し葉山先生と別れた。
私は真っ暗な夜道を歩きながら先程のいつもと違う葉山先生を思い出していた。
何で葉山先生があんな事、急に聞いたりしたんだろう?
それにいつもと違う感じだったし…葉山先生には何かあるの?
私は葉山先生から感じる不信感を持ちつつ明日の試合に向け気持ちを集中した。
葉山は、雪が無事下校をしたのを見送ると途上に広がる星空を見上げずっと考えていた気持ちを吐き出す。
「お前じゃないのか…」
それは、いつかの記憶に向けた届かない声だった…
私はバイトとバスケ部のマネージャーを何とか両立させ夏休みだというのに休みのない日が続いていた。
バスケ部はというと一回戦二回戦と無事に突破し次の三回戦でインターハイにいけるかどうかがかかっていた。
その三回戦の前日、葉山先生からバスケ部メンバー全員に「今までのように甘くはいかない…全員気を引き締めていくように!」と言われ立川先輩も含めバスケ部全員の顔が真剣な眼差しになった。
ここ数週間、葉山先生を見ていた私は見た目は置いといて性格は鬼と呼ばれるぐらい怖いのは反面、根は優しい人なのだとここ数週間見ていて分かった。
そして、葉山先生といると何だか懐かしい気持ちになる…
それが何でなのかは自分の心に何度聞いても答えは出なかった。
もしかしたら、昔どこかで会っているのかもしれない…
そんな憶測でしかない推測が頭をよぎった。
「相浦、まだ居たのか?」
誰もいない体育館で一人バスケットボールを磨いていた私は体育館の扉から出てきた葉山先生に目を丸くした。
「葉山先生こそ、もう生徒は誰もいないはずなのに何故体育館に?」
「あ、えーと…明日が最後と思ったら何となく足がここに来てしまったというかなんというか…」
「ふふっ その気持ち分かります。私もいても立ってもいられなくて今日はバイトもないですし何となくバスケットボール磨いてしまっていて…」
「ははっ 何かしてないと落ちつかないって感じだな」
「それですっ!ふははっ」
初めてみる葉山先生の笑顔につい私も乗っては互いに笑い出す。
まぁ、玩具眼鏡のせいで口元と声でしか笑っている姿は見えないのだけど…
「俺も一緒に磨いていいか?」
「あ、はい。どうぞ…」
葉山先生にバスケットボールを一つ渡すと葉山先生はそれを受け取り私の隣に腰を下ろした。
「なぁ、相浦。お前…兄とかいるか?」
「え?兄ですか?私は下の弟と妹しかいないので上はいません…」
「そうか…」
「何でそんな事聞くんですか?」
「いや、何となくいそうだなぁって思っただけだ。気にするな…」
「?そういうなら流しますが…」
「…変な質問なのは承知の上でもう一回質問していいか?」
「え、構いませんけど…」
葉山先生、どうしたんだろう?
いつもの葉山先生とは何か違うっていうか…
「前世って信じるか?」
?!
「えっ…」
何で葉山先生がそんな事を…?
思わず”前世”という言葉に固まる私は急にきた質問に頭の中でパニック状態だった。
「相浦?」
返事のない私を訝しりながら私の方へ振り向く葉山先生に「このままだと、怪しまれるっ…」と思い咄嗟に返事を返す。
「わ、私は実際に体験した事しか信じられませんっ…」
「そう…か…」
「どうしてそんな事を私に聞くんですか?」
「特に理由はない。だが、俺は前世を信じてる。そう、相浦に言いたかっただけだ…」
「そ、そうですか…」
その後、葉山先生との距離が上手く取れず互いに沈黙が続き、磨き終わると明日の時間を確認し葉山先生と別れた。
私は真っ暗な夜道を歩きながら先程のいつもと違う葉山先生を思い出していた。
何で葉山先生があんな事、急に聞いたりしたんだろう?
それにいつもと違う感じだったし…葉山先生には何かあるの?
私は葉山先生から感じる不信感を持ちつつ明日の試合に向け気持ちを集中した。
葉山は、雪が無事下校をしたのを見送ると途上に広がる星空を見上げずっと考えていた気持ちを吐き出す。
「お前じゃないのか…」
それは、いつかの記憶に向けた届かない声だった…
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