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レンズ越しに見えるもの
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次の日のお昼、真奈との昼ごはんを早めに切り上げると私は校舎裏に向かっていた。
手には昨日作ったクッキーの包みを持ってチャラ男こと生徒会会計 高宮 光先輩に渡すために。
校舎裏につくとカメラを持ってベンチで寝そべる高宮先輩がいた。
私は高宮先輩に近づくと女子が見たら即死するであろう綺麗な寝顔を覗き込み話しかける。
「高宮先輩!あの、相浦 雪です」
私の声に気づいた高宮先輩は、驚いた表情をしたと思ったら一瞬にして顔を赤く染めた。
「ゆ、ゆきちゃん?!何でここに?!」
「校舎裏に居るって言っていたので来たんですが…」
「まさか俺に会いに来てくれたの?嬉しいなー!」
「はい、高宮先輩に会いに来ました。」
「えっ!?本当にそうだったんだ」
高宮先輩は、何故か動揺した表情を見せると私の顔見ず視線を横に逸らす。
私は、手に持っていたクッキーの包み先輩の前に差し出した。
「あの、これずっと前に助けてくれた時のお礼です。」
「お礼ならこないだアップルティーでしてもらったはずだけど…」
「さすがにアップルティーだけじゃ申し訳ない気がしてクッキー作ったんですけど食べてください」
「クッキー?」
先輩は、差し出したクッキーの包みを受け取ると赤いリボンを開き中を覗き込む。
「わぁ!美味しそうー!」
「お口に合うか分かりませんが…」
「食べていい?」
「どうぞ」
先輩は、クッキーを一枚かじると美味しそうに食べた。
「美味しいー!俺の好きな紅茶のクッキーだ」
「紅茶味とココア味を作ったんですけど、まえにアップルティーが好きだって先輩が言っていたので紅茶のクッキーだけを渡してみたんですけど喜んでくれて嬉しいです。」
「ゆきちゃんさー、それわざとやってる?」
「はい?何をですか?」
「いや、何でもない…」
先輩はそう言うと、また視線を逸らし顔を赤くした。
「ところでこんな所で何してたんですか?」
「ん?あぁ…写真撮ってたんだ」
「写真?」
「そう、これでね」
先輩は、手に持っていたカメラを私に見せてくれた。
カメラの中には綺麗な青空や空を飛ぶ蝶や鳥たちや草木の写真があった。
「綺麗…」
「でしょ?ここにいたら誰も俺の邪魔をする人はいないし、ここは静かで自然の風景がたくさん撮れるから好きなんだ」
「何で写真を撮ってるんですか?」
先輩は、苦笑いをしながら遠くを見るかのように徐に話し始めた。
「俺ね、昔から人の顔色見ながらずっと生きたんだ。そのせいか、誰がどんな事を考えてるのか自然と分かるようになった。でも、みんな本当の気持ちや言葉を言ってなくて嘘ばっかり言って気に入られようとしたり利用しようと考える人ばっかりだった。でもさ、カメラのレンズ越しに見える景色は違ったんだ。レンズ越しに見えるのは綺麗なありのまま風景だった。俺は、そのありのままに惹かれた。だからずっと暇な時にはずっとこのカメラで撮ってるんだ。」
レンズを覗き込む先輩は自然と笑顔になっていた。
「先輩って、何も考えなさそうに見えてちゃんと考えてるんですね」
「ちょっ…ゆきちゃんって時々刺があるよね…」
「本心を言ったまでです。」
「ははっ そういうゆきちゃんだから惹かれたのかもなぁ」
「はぁ…」
先輩は、そう言うと何かを思い出したように話を切り出した。
「あっ!そうだ!ゆきちゃん、携帯のアドレスと番号教えてよ!」
「えっ…」
「えっ、ダメ?俺、ゆきちゃんとちゃんと友達になりたいんだよね。だから、アドレスとか番号とか教えてくれたらいつでもメールや電話出来るからさ」
正直にいうと、高宮先輩に教えたくはない。
すでに、メイドとして金城先輩に知られているぶんにこれ以上攻略者たちと親密になるのは避けたかった。
だが、断る理由もなく私は渋々承諾したのだった。
「いいですよ」
「やったー!嬉しい!これでいつでもやり取り出来るね」
「応えられるかは分かりませんが暇だったら返信します。」
私は新しく登録された高宮先輩のアドレスにチャラ男と登録した。
キーンコーンカーンコーン
予鈴がなり高宮先輩と別れた私はどんどん平凡に普通に過ごす地味キャラから離れていく気がしてならなかった…
手には昨日作ったクッキーの包みを持ってチャラ男こと生徒会会計 高宮 光先輩に渡すために。
校舎裏につくとカメラを持ってベンチで寝そべる高宮先輩がいた。
私は高宮先輩に近づくと女子が見たら即死するであろう綺麗な寝顔を覗き込み話しかける。
「高宮先輩!あの、相浦 雪です」
私の声に気づいた高宮先輩は、驚いた表情をしたと思ったら一瞬にして顔を赤く染めた。
「ゆ、ゆきちゃん?!何でここに?!」
「校舎裏に居るって言っていたので来たんですが…」
「まさか俺に会いに来てくれたの?嬉しいなー!」
「はい、高宮先輩に会いに来ました。」
「えっ!?本当にそうだったんだ」
高宮先輩は、何故か動揺した表情を見せると私の顔見ず視線を横に逸らす。
私は、手に持っていたクッキーの包み先輩の前に差し出した。
「あの、これずっと前に助けてくれた時のお礼です。」
「お礼ならこないだアップルティーでしてもらったはずだけど…」
「さすがにアップルティーだけじゃ申し訳ない気がしてクッキー作ったんですけど食べてください」
「クッキー?」
先輩は、差し出したクッキーの包みを受け取ると赤いリボンを開き中を覗き込む。
「わぁ!美味しそうー!」
「お口に合うか分かりませんが…」
「食べていい?」
「どうぞ」
先輩は、クッキーを一枚かじると美味しそうに食べた。
「美味しいー!俺の好きな紅茶のクッキーだ」
「紅茶味とココア味を作ったんですけど、まえにアップルティーが好きだって先輩が言っていたので紅茶のクッキーだけを渡してみたんですけど喜んでくれて嬉しいです。」
「ゆきちゃんさー、それわざとやってる?」
「はい?何をですか?」
「いや、何でもない…」
先輩はそう言うと、また視線を逸らし顔を赤くした。
「ところでこんな所で何してたんですか?」
「ん?あぁ…写真撮ってたんだ」
「写真?」
「そう、これでね」
先輩は、手に持っていたカメラを私に見せてくれた。
カメラの中には綺麗な青空や空を飛ぶ蝶や鳥たちや草木の写真があった。
「綺麗…」
「でしょ?ここにいたら誰も俺の邪魔をする人はいないし、ここは静かで自然の風景がたくさん撮れるから好きなんだ」
「何で写真を撮ってるんですか?」
先輩は、苦笑いをしながら遠くを見るかのように徐に話し始めた。
「俺ね、昔から人の顔色見ながらずっと生きたんだ。そのせいか、誰がどんな事を考えてるのか自然と分かるようになった。でも、みんな本当の気持ちや言葉を言ってなくて嘘ばっかり言って気に入られようとしたり利用しようと考える人ばっかりだった。でもさ、カメラのレンズ越しに見える景色は違ったんだ。レンズ越しに見えるのは綺麗なありのまま風景だった。俺は、そのありのままに惹かれた。だからずっと暇な時にはずっとこのカメラで撮ってるんだ。」
レンズを覗き込む先輩は自然と笑顔になっていた。
「先輩って、何も考えなさそうに見えてちゃんと考えてるんですね」
「ちょっ…ゆきちゃんって時々刺があるよね…」
「本心を言ったまでです。」
「ははっ そういうゆきちゃんだから惹かれたのかもなぁ」
「はぁ…」
先輩は、そう言うと何かを思い出したように話を切り出した。
「あっ!そうだ!ゆきちゃん、携帯のアドレスと番号教えてよ!」
「えっ…」
「えっ、ダメ?俺、ゆきちゃんとちゃんと友達になりたいんだよね。だから、アドレスとか番号とか教えてくれたらいつでもメールや電話出来るからさ」
正直にいうと、高宮先輩に教えたくはない。
すでに、メイドとして金城先輩に知られているぶんにこれ以上攻略者たちと親密になるのは避けたかった。
だが、断る理由もなく私は渋々承諾したのだった。
「いいですよ」
「やったー!嬉しい!これでいつでもやり取り出来るね」
「応えられるかは分かりませんが暇だったら返信します。」
私は新しく登録された高宮先輩のアドレスにチャラ男と登録した。
キーンコーンカーンコーン
予鈴がなり高宮先輩と別れた私はどんどん平凡に普通に過ごす地味キャラから離れていく気がしてならなかった…
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