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居場所
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冷たいよ風を肌で感じながら虫の声に耳をすませ夜空に輝く星を見ていた。
私は、新撰組の隊士たちが寝静まるのを見計らってお風呂に入り火照った体を夜風に当たりながらさましていた。
幕末の世界の夜空はこんなにも星が綺麗に見えることを初めて知った。
縁側にて、座っていると後ろから声がした。
「こんなところにいたら、風邪ひいちまうぞ」
現れたのは、十番隊隊長 原田 左之助だった。
ゆったりとした寝巻きの姿に少し胸板が見える姿は色香さえ感じられる。
原田は、私の隣に腰を下ろした。
「こんなところで、何してたんだ?」
「少し夜風に当たりながら星を見ていました。」
「星?そんなもん毎日みえるだろ?」
「わっ…僕のいたところではこんなに綺麗な星見たことなかったので…」
「へぇ、珍しいな。佐々木はどこから来たんだ?」
「遠くです。ずっと遠く…」
「そんなに遠くから来たんなら家族が心配してんじゃねぇか?」
「はい、多分心配しています。僕の友人も家族もきっと凄く心配してる。」
「会いたいか?」
「会いたいけど会えないんです。いつ会えるかまた、会えるのか分からないんです。」
「それは、何か事情があるのか?」
「はい…でも、言えません。」
「無理して言おうとしなくてもいい。誰にだって秘密はある。それに、遠くから来たんならここでの暮らしは不安だろ?」
「はい、何も分からないし頼れる人もいなくて初めは一人ぼっちだという現実に怖くて…何もかも押し潰されそうでした。今もまだ、これからのここでの生活が怖いです。」
「佐々木は、一人じゃねぇよ。ここには、頼りねぇかもしれねぇけど近藤さんも土方さんも総司も新八も斎藤も平助もいる。平助は一番頼りねぇかもしれねーがな。何か不安な事や心配な事があるんなら全部俺らに吐き出しちまえばいい。みんな、受け止めてやるからよ」
「原田さん…僕はここに居てもいいんでしょうか?」
「当たり前じゃねぇか!もう、ここはおまえの居場所だ」
「居場所…」
「それに、ここには俺もいる」
私の頭をポンポンと叩きながら笑って、ここがおまえの居場所だと言ってくれる原田さんに不安でいっぱいだった気持ちが消えていくのを感じた。
ここが私の新しい居場所…
ここに私は居ていいんだとそう思えた。
「ありがとうございます。原田さん…」
少し涙目になりながらも笑顔でお礼を言うと笑っていた原田さんの顔が固まった。
「やっぱり、おまえ女みてぇな顔してるな…」
「うっ、生まれつきだっていってるじゃないですか!一様この女顔、気にしてるんですよ」
「すまん、すまん。あんまり否定する事はないだろ」
手を振って謝る原田さんにジト目で見上げると降参といったように目を閉じた。
「次、言ったらもう許しませんから…」
「分かった。もう、言わねぇよ」
「なら、許します…」
そう言うと、原田さんはまた笑顔に戻った。
「星を見るのはいいが、もう遅いから早く寝ろよ」
そう言い残すと、原田さんは自室に戻っていった。
居場所かぁ…
みんなに、一日でもはやく会いたいけどそれまで私はここで頑張るからね…
星が彩る夜空に、遠くにいる大切な人たちに向けて願った。
私は、新撰組の隊士たちが寝静まるのを見計らってお風呂に入り火照った体を夜風に当たりながらさましていた。
幕末の世界の夜空はこんなにも星が綺麗に見えることを初めて知った。
縁側にて、座っていると後ろから声がした。
「こんなところにいたら、風邪ひいちまうぞ」
現れたのは、十番隊隊長 原田 左之助だった。
ゆったりとした寝巻きの姿に少し胸板が見える姿は色香さえ感じられる。
原田は、私の隣に腰を下ろした。
「こんなところで、何してたんだ?」
「少し夜風に当たりながら星を見ていました。」
「星?そんなもん毎日みえるだろ?」
「わっ…僕のいたところではこんなに綺麗な星見たことなかったので…」
「へぇ、珍しいな。佐々木はどこから来たんだ?」
「遠くです。ずっと遠く…」
「そんなに遠くから来たんなら家族が心配してんじゃねぇか?」
「はい、多分心配しています。僕の友人も家族もきっと凄く心配してる。」
「会いたいか?」
「会いたいけど会えないんです。いつ会えるかまた、会えるのか分からないんです。」
「それは、何か事情があるのか?」
「はい…でも、言えません。」
「無理して言おうとしなくてもいい。誰にだって秘密はある。それに、遠くから来たんならここでの暮らしは不安だろ?」
「はい、何も分からないし頼れる人もいなくて初めは一人ぼっちだという現実に怖くて…何もかも押し潰されそうでした。今もまだ、これからのここでの生活が怖いです。」
「佐々木は、一人じゃねぇよ。ここには、頼りねぇかもしれねぇけど近藤さんも土方さんも総司も新八も斎藤も平助もいる。平助は一番頼りねぇかもしれねーがな。何か不安な事や心配な事があるんなら全部俺らに吐き出しちまえばいい。みんな、受け止めてやるからよ」
「原田さん…僕はここに居てもいいんでしょうか?」
「当たり前じゃねぇか!もう、ここはおまえの居場所だ」
「居場所…」
「それに、ここには俺もいる」
私の頭をポンポンと叩きながら笑って、ここがおまえの居場所だと言ってくれる原田さんに不安でいっぱいだった気持ちが消えていくのを感じた。
ここが私の新しい居場所…
ここに私は居ていいんだとそう思えた。
「ありがとうございます。原田さん…」
少し涙目になりながらも笑顔でお礼を言うと笑っていた原田さんの顔が固まった。
「やっぱり、おまえ女みてぇな顔してるな…」
「うっ、生まれつきだっていってるじゃないですか!一様この女顔、気にしてるんですよ」
「すまん、すまん。あんまり否定する事はないだろ」
手を振って謝る原田さんにジト目で見上げると降参といったように目を閉じた。
「次、言ったらもう許しませんから…」
「分かった。もう、言わねぇよ」
「なら、許します…」
そう言うと、原田さんはまた笑顔に戻った。
「星を見るのはいいが、もう遅いから早く寝ろよ」
そう言い残すと、原田さんは自室に戻っていった。
居場所かぁ…
みんなに、一日でもはやく会いたいけどそれまで私はここで頑張るからね…
星が彩る夜空に、遠くにいる大切な人たちに向けて願った。
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