55 / 61
三章 “夜降る宵朧”殺髏編
第55話 激昂
しおりを挟む
「急に抜け出したこと、一絺さんに謝らないとな……」
とりあえず俺は、突然の事態に思わず抜け出したことを謝りに、一絺さんのところへ行くことにした。
ちなみに電話じゃないのは、謝罪は直接会ってしたほうがいいかということと、晩御飯を買いに行くついでだ。
……別に後者の理由が大きい、なんてことはないからな?
「……ん?」
俺が夜道を歩いていると、少し離れたところからなにやら大勢の声が聞こえる。
「……嫌な予感がするな……行ってみるか」
俺は一旦、そちらへ向かって見ることにした。
そして、見てしまった。
「……あれって……優香!?」
公園の端で倒れる、一人の下着姿の女の子。
顔が大きく腫れ、潰れているも、確かに気配は優香のものだ。
「優香!!」
俺は優香の方に駆け寄る。
「なにがあった!? 大丈夫か!?」
「ぁ……ちよ……く……」
パシャッ!
「……あ゛?」
息も絶え絶えといった様子の優香が瞼を薄らと開けると同時、どこからかシャッターを切る音が鳴った。
「あれ、やばくね?」
「うわ……また探索者の犯罪かな……」
「てか、近くにいるの“革命児”じゃね!?」
「え! マジっぽい! 写真撮ろ写真!」
「……よ……くん……」
優香は、手を伸ばして、声を絞りだす。
「ごめ……んね……?」
その瞬間、場に氷河期が訪れた。
そう錯覚するほどに、全員の背をゾクリ、と悍ましい感覚が襲う。
「【憑依】──殺髏」
刹那、千縁の気配が掻き消えた。
黒髪黒目に人の体。
唯一変化した点は漆黒のロングコート。
どこからか一瞬で現れたロングコートの内側には、おびただしい数の暗器が仕込まれている。
そして辺りの魔力が、悪鬼の時とは正反対に千縁の体内に引き込まれていき、その姿さえをこの世から隠す。
「これスクープじゃね? SNSにあげよ──うわっ!?」
「下着姿で外に寝る痴女出現、と。これはバズりそ──うわあ!? スマホが!!」
「なんだこれ!? ……糸?」
周囲に集まる野次馬の手のスマホが、突如全て粉々になった。
目を凝らせば、そこには細い漆黒のワイヤーが。
「【黙れ】」
その瞬間、周囲から全ての音が消えた。
不意に訪れた完全無音状態に、人々は平衡感覚を失い、悲鳴を上げようとするも声を出すことはできない。
「……」
一瞬だけ茶に輝いた瞳で千縁が優香の顔をなぞると、優香の顔は一転して顔色を取り戻す。
千縁は優香を影で覆うと、その姿を隠して、一言。
「──夜は必ず訪れる」
「ガッ……!?」
「うっ……!?」
その瞬間、その場にいた全ての野次馬たちの意識が失われる。
視界が闇に覆われ、全員が地に倒れ伏した。
『殺髏。俺からの頼みは一つ──』
千縁は、覚悟を決めて告げる。
『優香にこんなことした奴等を──全員、殺す』
「……絶対に任務は達成するよ」
千縁はその手に二本のナイフを出現させ、夜道を走り出した。
~~~~~
「……これで確実に、飛彩優香は潰せます。以前宝晶千縁は優香のために、うちに乗り込んできたと聞きました。今回も乗り込んでくるでしょう」
「そうか! これで“革命児”に復讐できるな! なあ、テイラー君?」
とある寺上の名を冠する会社の社長室。
社長席に座る男が、メガネの男と外国人の男に語り掛ける。
「ハハハハハ! 俺に任せな!金さえ払えばこのバット・テイラーが凄惨に引き裂いてしてやるぜ!」
妙にラップ口調の外国人は、そのおちゃらけた性格とは正反対の眼で言った。
それは明らかに何人も殺している、深淵の眼。
「お、おお……任せるよ。標的は先ほど見せたようにパワータイプの、超級なりたてだ。先輩の君なら、奴を抑えて殺すことも可能だろう?」
「ああ! パワータイプは一番の得意相手だ! 任せとけ!」
「社長……“革命児”はもう確実に殺すんですか?」
メガネの男は、控えめに進言する。
その言葉に、寺上はフンッと鼻を鳴らして苛立ち気に腕を組んだ。
「当たり前だろう! この私を脅したんだぞ!? 死んで当然の奴だ! ……まあ、どうしてもというなら私の下につけてもよいが……」
(ああ……これは確実に、どちらかが死ぬな)
メガネの男は、内心ため息をついた。
(恐らく、私の計画が上手くいったとして……それでも革命児と社長のどちらが勝つかはわからない)
完全なる警備を整えたとはいえ、“革命児”がまだ見ぬ能力を持っている可能性がある。
現時点でも、学園対抗祭にて【螺旋拳】、【爆地】、【瞬影強襲】、【虐殺】、【破砕旋風】、【憑依】、6つのスキルが確認されている。
ダブル、ましてやトリプルでもあらず、シックス。
異常なるポテンシャルを秘めている。
正直、まだ隠し玉があるとは思えないが、あれだけの戦闘力を見せられたら、まだ何かあるんじゃないかと、期待してしまう。
(まあ、あった場合は我々の負けか……)
「では社長、私は邪魔になりますので先に失礼します」
「ん、おう。下がってよいぞ」
メガネの男は、足早に社長室を後にする。
そんな男を、廊下にいる無数の警備員たちは敬礼で見送った。
(そしてこれで少なくとも、私の身は守られた。社長が勝てば地位が手に入るからぜひ勝ってほしいが……最悪負けても、就職し直せばいい)
「私の作戦に抜けなどないのだよ。ハハハハ──」
「それじゃあな」
「え──」
ジュジュジュジュジュジュジュパンッッッッ!!!!!!
錆をチェーンソーで削るかのような深い音が、だれもいない廊下に響き渡る。
突如その場の全員の首が、一斉に飛んだ。
「生首サンキュー」
千縁は、【瞬影強襲】を使い、社長室内に侵入する。
「だからあとは待つだ……うおお!?!?」
「来たかぁ!」
「【黙れ】」
内部の構造はすでに把握済みだ。
仕掛けられた全ての罠をかいくぐり、破壊した千縁は、ナイフを構えてバット・テイラーに対峙する。
「……ぷはっ! おもしれえスキルだな! だが、俺には効かねぇ!」
「……抵抗スキルか」
千縁が沈黙スキルを発動させるも、バット・テイラーには長く持たなかった。
「そう! 俺がアメリカ一のボディガード! バット・テイラー様だ! 今からお前には凄惨で自信引き裂かれるな時間を過ごしてもらうZE!」
「……こいよ」
余裕綽綽のバット・テイラーに千縁は、冷ややかな“殺意”を以て返した。
とりあえず俺は、突然の事態に思わず抜け出したことを謝りに、一絺さんのところへ行くことにした。
ちなみに電話じゃないのは、謝罪は直接会ってしたほうがいいかということと、晩御飯を買いに行くついでだ。
……別に後者の理由が大きい、なんてことはないからな?
「……ん?」
俺が夜道を歩いていると、少し離れたところからなにやら大勢の声が聞こえる。
「……嫌な予感がするな……行ってみるか」
俺は一旦、そちらへ向かって見ることにした。
そして、見てしまった。
「……あれって……優香!?」
公園の端で倒れる、一人の下着姿の女の子。
顔が大きく腫れ、潰れているも、確かに気配は優香のものだ。
「優香!!」
俺は優香の方に駆け寄る。
「なにがあった!? 大丈夫か!?」
「ぁ……ちよ……く……」
パシャッ!
「……あ゛?」
息も絶え絶えといった様子の優香が瞼を薄らと開けると同時、どこからかシャッターを切る音が鳴った。
「あれ、やばくね?」
「うわ……また探索者の犯罪かな……」
「てか、近くにいるの“革命児”じゃね!?」
「え! マジっぽい! 写真撮ろ写真!」
「……よ……くん……」
優香は、手を伸ばして、声を絞りだす。
「ごめ……んね……?」
その瞬間、場に氷河期が訪れた。
そう錯覚するほどに、全員の背をゾクリ、と悍ましい感覚が襲う。
「【憑依】──殺髏」
刹那、千縁の気配が掻き消えた。
黒髪黒目に人の体。
唯一変化した点は漆黒のロングコート。
どこからか一瞬で現れたロングコートの内側には、おびただしい数の暗器が仕込まれている。
そして辺りの魔力が、悪鬼の時とは正反対に千縁の体内に引き込まれていき、その姿さえをこの世から隠す。
「これスクープじゃね? SNSにあげよ──うわっ!?」
「下着姿で外に寝る痴女出現、と。これはバズりそ──うわあ!? スマホが!!」
「なんだこれ!? ……糸?」
周囲に集まる野次馬の手のスマホが、突如全て粉々になった。
目を凝らせば、そこには細い漆黒のワイヤーが。
「【黙れ】」
その瞬間、周囲から全ての音が消えた。
不意に訪れた完全無音状態に、人々は平衡感覚を失い、悲鳴を上げようとするも声を出すことはできない。
「……」
一瞬だけ茶に輝いた瞳で千縁が優香の顔をなぞると、優香の顔は一転して顔色を取り戻す。
千縁は優香を影で覆うと、その姿を隠して、一言。
「──夜は必ず訪れる」
「ガッ……!?」
「うっ……!?」
その瞬間、その場にいた全ての野次馬たちの意識が失われる。
視界が闇に覆われ、全員が地に倒れ伏した。
『殺髏。俺からの頼みは一つ──』
千縁は、覚悟を決めて告げる。
『優香にこんなことした奴等を──全員、殺す』
「……絶対に任務は達成するよ」
千縁はその手に二本のナイフを出現させ、夜道を走り出した。
~~~~~
「……これで確実に、飛彩優香は潰せます。以前宝晶千縁は優香のために、うちに乗り込んできたと聞きました。今回も乗り込んでくるでしょう」
「そうか! これで“革命児”に復讐できるな! なあ、テイラー君?」
とある寺上の名を冠する会社の社長室。
社長席に座る男が、メガネの男と外国人の男に語り掛ける。
「ハハハハハ! 俺に任せな!金さえ払えばこのバット・テイラーが凄惨に引き裂いてしてやるぜ!」
妙にラップ口調の外国人は、そのおちゃらけた性格とは正反対の眼で言った。
それは明らかに何人も殺している、深淵の眼。
「お、おお……任せるよ。標的は先ほど見せたようにパワータイプの、超級なりたてだ。先輩の君なら、奴を抑えて殺すことも可能だろう?」
「ああ! パワータイプは一番の得意相手だ! 任せとけ!」
「社長……“革命児”はもう確実に殺すんですか?」
メガネの男は、控えめに進言する。
その言葉に、寺上はフンッと鼻を鳴らして苛立ち気に腕を組んだ。
「当たり前だろう! この私を脅したんだぞ!? 死んで当然の奴だ! ……まあ、どうしてもというなら私の下につけてもよいが……」
(ああ……これは確実に、どちらかが死ぬな)
メガネの男は、内心ため息をついた。
(恐らく、私の計画が上手くいったとして……それでも革命児と社長のどちらが勝つかはわからない)
完全なる警備を整えたとはいえ、“革命児”がまだ見ぬ能力を持っている可能性がある。
現時点でも、学園対抗祭にて【螺旋拳】、【爆地】、【瞬影強襲】、【虐殺】、【破砕旋風】、【憑依】、6つのスキルが確認されている。
ダブル、ましてやトリプルでもあらず、シックス。
異常なるポテンシャルを秘めている。
正直、まだ隠し玉があるとは思えないが、あれだけの戦闘力を見せられたら、まだ何かあるんじゃないかと、期待してしまう。
(まあ、あった場合は我々の負けか……)
「では社長、私は邪魔になりますので先に失礼します」
「ん、おう。下がってよいぞ」
メガネの男は、足早に社長室を後にする。
そんな男を、廊下にいる無数の警備員たちは敬礼で見送った。
(そしてこれで少なくとも、私の身は守られた。社長が勝てば地位が手に入るからぜひ勝ってほしいが……最悪負けても、就職し直せばいい)
「私の作戦に抜けなどないのだよ。ハハハハ──」
「それじゃあな」
「え──」
ジュジュジュジュジュジュジュパンッッッッ!!!!!!
錆をチェーンソーで削るかのような深い音が、だれもいない廊下に響き渡る。
突如その場の全員の首が、一斉に飛んだ。
「生首サンキュー」
千縁は、【瞬影強襲】を使い、社長室内に侵入する。
「だからあとは待つだ……うおお!?!?」
「来たかぁ!」
「【黙れ】」
内部の構造はすでに把握済みだ。
仕掛けられた全ての罠をかいくぐり、破壊した千縁は、ナイフを構えてバット・テイラーに対峙する。
「……ぷはっ! おもしれえスキルだな! だが、俺には効かねぇ!」
「……抵抗スキルか」
千縁が沈黙スキルを発動させるも、バット・テイラーには長く持たなかった。
「そう! 俺がアメリカ一のボディガード! バット・テイラー様だ! 今からお前には凄惨で自信引き裂かれるな時間を過ごしてもらうZE!」
「……こいよ」
余裕綽綽のバット・テイラーに千縁は、冷ややかな“殺意”を以て返した。
21
お気に入りに追加
207
あなたにおすすめの小説
転生したらやられ役の悪役貴族だったので、死なないように頑張っていたらなぜかモテました
平山和人
ファンタジー
事故で死んだはずの俺は、生前やりこんでいたゲーム『エリシオンサーガ』の世界に転生していた。
しかし、転生先は不細工、クズ、無能、と負の三拍子が揃った悪役貴族、ゲルドフ・インペラートルであり、このままでは破滅は避けられない。
だが、前世の記憶とゲームの知識を活かせば、俺は『エリシオンサーガ』の世界で成り上がることができる! そう考えた俺は早速行動を開始する。
まずは強くなるために魔物を倒しまくってレベルを上げまくる。そうしていたら痩せたイケメンになり、なぜか美少女からモテまくることに。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する
平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。
しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。
だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。
そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる