千変万化の最強王〜底辺探索者だった俺は自宅にできたダンジョンで世界最強になって無双する〜

星影 迅

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一章 目覚めと出会い編

第11話 初依頼とショッピング

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「……すまなかった!!」

「謝るのは俺じゃねぇだろ」

「ああ……みんな、迷惑をかけた」

 数分後、再起した斎藤重吾こと重吾さんは、俺とみんなに頭を下げた。

「ああ、俺は気にしてないぜ。たまたまこいつがいてよかった」

 『アレクシスの牙』のリーダー、『雪鬼』こと氷室勝瑞ひむろしょうずいさんは、パーティの上級治癒術師の渡邊美菜わたなべみなさんを指差す。

「ああ……本当にすまなかった。そうだ、千縁、といったか? お前の試験結果だが……」

 重吾さんはそういうと、少し逡巡するそぶりを見せた。

(なんだ、この後に及んでやり直しとかいうつもりか……?)

 俺は少し心配になるが、杞憂だったようだ。

「上級になれるように取り合ってみよう。お前を中級なんかで腐らせとくのは勿体無い」

「え……そんなことできるんですか?」

 第四学園とはいえ、日本を代表する探索者学校のうちの一つだ。その学園長でも中級へのランクアップを即時行うよう頼むので精一杯だったというのに……

「まぁ、普通に考えてもできないよな。でも、ギルマスのことだしきっとその力を見せて見たらすぐにでも上級探索者になれるはずだ。といっても今は出張で東京だからしばらく後だがな……」

「おお! じゃあ帰ってきたらお願いします! といってもそろそろ学園対抗戦なんでその後になるかもしれませんが」

 俺の言葉に、重吾さんはじゃあ帰ってきたら推薦するといい、今度は『アレクシスの牙』の人たちが話しかけてくる。

「君、その強さでまだ学生なの!?」

「すごいな……まるで“神童”の時みたいだ」

「え、“神童”ってここでランクアップしたんですか?」

 俺は、第一学園の代表となるであろう同級生の“神童”について知ってるようだったので、何か情報は得られないかと氷室さんに聞いてみる。

「ああ、中級から上級になるときはここで試験受けてたな。本気の斉藤さんを軽々と倒していた。」

 へぇ……上級になる試験なら斉藤さんも俺の時と同じく本気装備だったんだろう。それを軽々と倒すか……楽しみになってきたな。

「まあ、何はともあれこれで中級探索者になったわけだし、今日明日で終わる依頼を探そう」

 お、これにしよ。

 俺は『アレクシスの牙』の皆さんと別れて、早速受付にいく。

「あっ、ランクアップおめでとうございます! 早速依頼を受けるんですか?」

「はい、実は金欠でして……明日中に終わる依頼でも受けようかと思いまして」

 ダンジョンの魔物の素材は様々なものに役立つ。金になるのは魔石だが、素材も欲しい人がいる以上、依頼料を出して探索者にとってきてもらうシステムがある。そのための協会ギルドだ。

 受付嬢は俺の依頼を見て……驚愕の声を上げた。

「ええ!? 岩晶ゴーレムの人差し指30本ですよ!? これを明日にって……岩晶ゴーレムが出るのは鉱山ダンジョンメギドの16階層ですよ!?」

 ああ、そうだな。俺にとって家とゴブスラダンジョン以外の初ダンジョンとなる。
 メギドは、狭いが魔物が多く、耐久力に優れた魔物がたくさんいる場所だ。本来なら中級探索者でもかなり最上級のパーティが一、二週間かけてやる依頼だろう。なので、報酬もほら。なんと80万!!

「大丈夫ですよ、明日の昼には帰ってきます」

「え、ちょっと!? パーティは!?」

 俺は依頼を見つけてから速攻でダンジョンへと潜っていった。


~~~~~


「あ、千縁さん!  無事だったんですか!」

「え? ああ、昼には帰るって言いましたよね?」

 次の日、俺がギルドに行くと瑞稀さんが泣きそうな顔で出迎えてくれた。

「本当に帰ってきたぞ……」

「逃げ切れたのか……」

 上級パーティらしき人たちが何やら勘違いしているようだが……まぁ、瑞稀さんが誰かに伝えてくれたのかな? 一人で突っ込んだバカが一人いるって。

「なんか勘違いしてるな! これでどうだ!」

 俺はそういって、岩晶ゴーレムの人差し指を30本出した。

「「「「……」」」」

 一瞬で喧騒が静まった。
 へっどうだ。速攻で取ってきてやったぜ。

「マジックバッグか? いや、そもそもどうやってあれを一人で……」

「おい、まじかよ、斉藤さんを一撃で吹き飛ばしたってまじだったのか……」

 誰かが声を潜めて言ったのを聞いて、瑞稀さんが再起動した。

「えっと、はい、確認しますね、はい」

「うん?」

 しばらくして、重吾さんが出てきた。

「おま……これは確実にギルマス行きだな……」

 『アレクシスの牙』はすでにまたダンジョンに行ったらしく、最高権は斉藤さんのものとなっているらしい。

「早く換金してくださいよ~俺用事あるんですよ~」

「お、おう、そうだな」

 重吾さんはそういうと奥から小さなケースに入った80万を持ってきてくれた。

「まぁ、素材集めだから何にせよ依頼は達成だな、どうもありがとう」

 重吾さんはちょっと引き気味にそういった。

「しかしどうやって集めたんだ? まさか全部倒したのかよ?」

「あ、はい、そうです。魔石も買い取ってもらえませんか?」

「……」

 俺がそう言って三十を超える魔石を取り出すと、重吾さんは本気で引いた顔をして「こんなバケモンと戦わされてたのかよ……」と呟いた。失礼な。


~~~~~


「っし、いい感じ。選んでくれてサンキュー、悠大」

「おう、俺に頼む前に買わなくて本当によかったわ……」

 ショッピングモールにて。俺は悠大に一緒に服を選んでもらった。

「そんなにひどかったか?」

「言語化できないくらいにはセンスがなかったわ!」

 俺は自分のセンスに自信がなかったので手伝ってもらったんだが……そこまで俺のセンスって悪かったのか?

 くっ……これも何年も門の中で過ごしたせい……じゃないよな。

「あ、そうだ、装備屋見ようぜ。臨時収入も入ったし」

「え? いいけど」

 俺は服をマジックバックに入れ、悠大を誘って装備店に寄る。

「昔は……ってかたった数週間前はこんな店で買い物できるなんて思っても見なかったよなぁ……」

「俺はまだ買えないけどな……いいなぁ魔道具の武器。値段もいい値段だが」

「どれだ?」

 俺は悠大の持つベルトを

アリゲータベルト……消費魔力値8%軽減 値段800万

「800万! 高ぇなぁ」

「いつかは買いたいが……まずはちよに追いつかなきゃ手も届かねぇな」

 悠大のスキルは知っている。当たりスキルだが、魔力値が低すぎて使えないと言っていたな。

「そんなことねぇぞ?」

「え?」

 俺はベルトを即金で買う。

「俺に追いつくくらいまでくればこんなの即金で買えるし。ほら」

「えっ? 何、くれんの?」

「おう」

「……は?」

 悠大は、ポカンとして聴き返す。

「約束破っちまったからな。それで俺だけ強くなっちって……色々、裏切ったみたいでごめんな」

「い、いや、気にしてねぇから!! これは流石に……」

「スキル的に俺使えねぇしさ。ほら、悔しかったら早く追いついてこいよ」

 俺の言葉に、悠大は涙を浮かべて頷いた。
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