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第三章

救出2

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<救出2> 
 指定された場所に、トッポさん、ギャリソンさんと四人で向かうと、ギャリソンさんに近い雰囲気の人が俺達を迎えてくれるが、ギャリソンさんは知っているためか無言で頷く、相手も無言で頷き返し案内される。 
案内された部屋んはすでに、蒼空兄さんとクラークさんが待機していた。俺達は案内された方に従い、トッポさん、俺、亮の順番で座る。ギャリソンさんは蒼空兄さんの後ろに移動し待機する。そしてお互いに自己紹介をする。俺達が蒼空兄さんの弟と知り合いだというのが分かると、なぜか悔しがっている。そのクラークさんの容姿は髪は名前の通りダークブラウンで瞳は薄い青い瞳、体格もほとんど蒼空兄さんと変わりない身長であった。ただ、得意なのは意外と魔法ではなく剣と弓とのことであったので、見た目以上に引き締まってあるのかもしれないと思った。そしてお互いの事を話しに来たのではないので、今回の事についてまずはトッポさんから経緯を説明、俺達は今回の事について依頼された後の事について説明をする、ギャリソンさんがついて来ていたことについてはすでにクラークさんには説明報告済みの様で頷き俺達の方を見つめなおされ、 
「大体の事情は蒼空さんより聞いていたので分かっておりましたが、実際の話を聞くとものすごく由々しき事態ですね。」と言って腕を組む。 
「そうですね、これからの事をするにはいくつか許可を頂かないといけないことがあります。」トッポさんが俺達との話の中で出た問題点について、まずは攫われているであろう場所がクラーク氏の従兄弟の屋敷であること、次にこの誘拐を誰が主導したのか、最後に救出した後の対応の説明がなされる。ただ、あくまで今言った以外の事がまだ出てくる可能性もあると補足する。 
「説明ありがとうございます。今言われた三つの中で対応出来そうなのは従兄弟の屋敷への捜索ですね。二つ目は捕まえた物から聞きだし探すしかないでしょう。三つ目は私の権限を大きく上回る案件ですので、判明次第父上に相談し対応させて頂きたいと思います。」 
「そうですよね、いづれにせよ厳しい事であるのは承知しております、しかし、救出だけでも行わない事には先に進めません。」そうトッポさんが言うと同時に、扉が開き二人入ってくる。 
「話は聞かせてもらった、クラーク、あのバカどもには気にせずに捜索に入りなさい。」とクラークさんと同じ髪と瞳をした人が言う。 
「よろしいのですか?」 
「ああ、構わん。いい機会だこの際あいつらと縁を切る。」とかなりの怒りを込めて発言してくる。おそらくはクラークさんのお父さんなのかなと会話で分かるが、その横にいる人はその様子を見ながらもさりげなく俺達を見ているように思える。何気に視線を感じるからだ。しかし、いきなり入って来た人が俺達を無視して話しているので、元に戻すために、 
「あのすいません、いいでしょうか?」と俺が声をかけると、クラークさんに話していた方がこちらを向く。 
「ああ、すまないね。いきなり入ってきて騒いでしまって。えっと、、、」 
「俺は上渕利久といいます。」「僕は上滝亮です。」と名前を言い頭を下げると 
「上渕君と上滝君だね。私はここにいるクラークの父で、ガインという。」と自己紹介をされると、その横にいる人も自己紹介をしてくる。 
「改めて、自己紹介させてもらうかな、私はライト・ウエストフォールで、君のお兄さんの義理の父になる予定の者だよ。」そう言うと蒼空兄さんの横に行き、肩をポンと叩き俺達に笑顔で返してきつつ 
「蒼空君から話は聞いているよ。利久君と亮君。」そういう事さと言った感じで兄さんが俺達を見てくる。 
俺達が蒼空兄さんとライトさんの関係者と分かったガインさんは話は早いと言って、 
「捜索はして貰って構わない、この際腐った部分は切る。暫くは悪評が立つだろうがきちんと対応すれば分かってくれると思う。」とこぶしを握り締め力を込めて言われる。 
「ガインさん、肩の力を抜いて下さい。貴方が真面目で正直な商売をされていることはこの都市の住民は知っていますから、大丈夫ですよ。とりあえず、先ほど言われた三つの事を一つずつ解消しましょう。」 
そう言って対応について話を進め、やはり二つ目の今回の事をした者については後回しにすることに来まる。 
とりあえずは、明日朝一番にガインさんに従兄弟を呼び出して貰い留守にされさせ、その間にクラークさんが昔の事を思い出して荷物を取りに来たということにし、捜索することに決まる。捜索メンバーはトッポさん、俺、亮、クラークさんと護衛の方、ギャリソンさんに決まる。そして、救出後の事についても当人の意見を聞いて対応することに決まり解散となるのであった。 
なお、集合場所はウエストフォール商会になる、俺と亮がダークブラウン商会の場所を知らないという事での結果だ。 
 
 打ち合わせの通りにウエストフォール商会に集合しクラークさんの従兄弟の屋敷へと向かうと丁度嘘の呼び出しとも知らずに出かける従兄弟達の姿があった。 
「うまくいったようですね。」とクラークさんが言い、俺達は頷く、そして行きましょうと言われ屋敷に向かう。 
この屋敷自体は元々がクラークさん達が住んでいた所を貸していたので間取りは分かるとのことであった。 
あと、掃除等の数人の従業員がいるが雇っているのがその従兄弟達ではないので、大丈夫であるとも付け加えられている。 
俺達はクラークさんのお供の風にして入口に行くと、一番年上かなという女性の従業員がどちら様でと言った感じで入口を少し開ける。そこにすかさず、クラークさんが 
「私だ、クラーク・ダークブラウンだ」と名を言うと、すぐに分かったのか入口から出てきて、挨拶をされる、そこで屋敷にいる従業員を全員入口に集めさせるように伝え、俺達は中に入り全員が揃うのを待つ。集まった従業員は女性五名男性二名の七名でありこれから起こることはクラークさんの名のもとに何も見なかったことにするようにと伝えその場に待機させる、数人は何事か分かっていないようだったが心当たりがあるものがいるようだったが、その者の追及は後回しとして、捜索をと言われ探しに行く。なお、その場にはクラークさんとギャリソンさんが残った、クラークさんのお供の方は俺達と行動を共にしてくれている、見える部屋を全部見て回っていなかった場合、隠し部屋があるとのことそこに案内して貰う為だ、そして名前だけは教えて貰え、ハイネストさんと言うがハイネと呼んで下さいとも言われた。 
まずは、一階から見て回ったが食堂や調理場などで監禁されている痕跡がなかったので、二階へと探しに行く二階ともなるとそれぞれの部屋になりタンスなどがあるので探すのに時間を食ったがやはり見つからなかった、最後は隠し部屋に行くことになり案内をしてもらうと亮がいきなり 
「利久君、この先の部屋なんか違うよ、クサイ、なんか取っても嫌な匂いがする。」そう言ってくるので、 
トッポさんにハイネさんに亮が感じたことを伝えると、その匂いをかがないようにしようと決め口に布を巻いて突入することにする。なお、鍵はハイネさんが持っていたので問題なかった。そして扉の両方をトッポさんと亮で一気に開け放ち入るとベッドが二つあるのが見える、俺達はショウにユウそこにいるのかと声を出すと、二つのベッドのカーテンが開き、太った女と痩せた女が出てきて、何者よと言ってくるがベッドの中を見るためにトッポさんが剣を抜きその二人をベッドから退くように言い離れさせる。その隙に俺と亮がベッドのカーテンを引きちぎると、そこにはショウとユウが鎖に繋がれていて、裸のままさきほどまでされていた状態でいる。そして目を見ると焦点が定まっておらず俺達と分からないようである、とりあえず鎖を外すために「鍵はどこだ!」と女二人に聞くとベッドの横のテーブルに入れているとのことだったので、鍵を見つけ出し二人の鎖を外すし、上体を起こすが何かの薬の所為か俺達の事をまだ分かっていないようだったので、今自分の持っている薬の中で一番効果が高いのを 
袋から二つ出し一つを亮に渡す、そして、俺はショウの口を開けて無理やり飲ませると聞いてきたのか少しずつ目の焦点が戻っていく感じがするので、最後まで飲ませ終わるとそのままベッドに寝かせる。ユウの方も同じ状況だったようで、やはりベッドに寝かせる。そして、トッポさんが牽制している二人の方にベッドから降りて向くと同時に、 
「亮、下に行ってクラークさんと交代してくれ」というと、 
「先ほど、通信用の道具で連絡したので来られると思います。それに下はギャリソン一人で対応できます。それに逆らう者はいないと思います。」と報告されたので、ありがとうございます。と返し、クラークさんが来るまで待つと、 
「待たせたね」と言いつつ入ってくる。そしてクラークの姿を見た二人は騒ぎ始めるが、「二人共黙れ」と一括する。まだ何か言いたそうであったが、クラークさんは一呼吸ついて、二人に話し始める何をやったのかをそして取り調べのため拘束することを説明すると二人いは俯いてしまい完全におとなしくなる。とりあえず、裸のままだったのでそこに脱ぎ散らしていた服を着るように言いトッポさんとクラークさんが下につれて行く。 
俺達は亮とユウをシーツに包みお姫様抱っこにして移動すると玄関に二台馬車が準備されていた、どうやらギャリソンさんが蒼空兄さんに連絡してくれていたようで、ショウとユウを荷台に乗せ治療士の所へ連れていって貰う、一応回復薬を飲ませて入る事を伝えると、分かったと言ってくれる。そして、二階にいた二人はもう一台の馬車に乗せ従兄弟の下に向かうのであった。それから従業員の中にもこのことを知っていた者がいたらしく同罪だと言って同じく同じ馬車に乗せ移動させる。それからどうやら、あの女二人は従兄弟の嫁と娘だったそうだ、意識がなかったとはいえ残念な卒業だなと思ってしまうのであった。 
 こうしてショウ達四人の救出が成功したのであった。トッポさんからは感謝の言葉を貰うのと同時に、気持ちだがギルドから謝金を出すとのことであったので、ありがたく頂戴するのであった。そしてこの件に関してはこれ以上俺達が口には出せない事なので、気にはしつつ普通の依頼をこなすことをするのであった。
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