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第二章

秘密を打ち明ける、そして進級

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<秘密を打ち明ける、そして進級>

 久しぶりに三人で帰宅することになり、今受けている授業内容などについて話しながら帰り、今やっている武器で模擬戦をやろうということになり帰宅する。とりあえず、沙羅が来てからやることになったので、俺は来るまでに怪我した時のために、回復薬を作ることにした。今回はいつもより回復力を高めにして作る。
「えっと、強くするためにはイメージをして言葉も強めにすればいいかな、それじゃ、やってみるかな。」
すぐそばには出来た回復薬を入れておく水筒を準備し、唱える、
「光と水よ、我が呼びかけに応えて、強い癒しの水となれ、高回復水ハイパーポーション」光る水の球が出来たのでそれをそのまま、水筒にこぼれないように入れていく、とりあえず、一人一本分を作成する。強さは、飲んでからしか分からないかと思いつつ、準備をして道場に移動する。
 道場にはもう亮が来ており、素振りをしていた。俺が入って来たのが分かり、一旦止めて、
「遅かったね、利久君。先に来てるかと思ったんだけど。」
「ちょっと、準備してたから遅くなったよ。一応、回復薬を持ってきてたからね。」
「エレナおばさんの回復薬だね。おいしいんだよね。なんか、暖かくてさ。」と言ってくる、が、最近は俺が作っているというのは黙っておくことにする。黙っといて、真実を知ったらどんな顔をするか楽しみで仕方なかった。
「ああ、そうだな。評判いいからな。ん、まだ、沙羅は来てないか、そしたら、精神統一をして気合を入れとくかな。」
「そうだね、それがいいよ、僕も一緒にするよ。」
そう言うと、俺の横に来て黙想をする。ただいつも、黙想をしているとなぜか、体全体に気と言うかエネルギーが周り引き締まる感じがするのと、虚心坦懐の心を持つことが大事だと誰の言葉かは分からないが、言葉がどこからか聞こえてくる。ただし、精神統一をした時に限定されてはいるが、とても、大事な事なんだなと思ってしまっている自分がいるのだった。
 道場にしばしの静寂が流れるが、
「おまったせ~、まった~」と言って、道場の扉が開き、ダダダと言った音が聞こえてくる。
俺達は精神統一をやめ、相変わらずだなと言った感じで顔を見合わせて、立ち上がって来るのを待つ。
開口一番、「ごめん。またせたかな~、利久君ちに行くんだっていうのに、お父さんが根掘り葉掘り聞くもんだから、遅くなっちゃった。あ、お父さんはね、お母さんに落とされてたけど、大丈夫と思う。」
遅れた言い訳をしているが、その言葉の中に恐ろしい言葉が混じっているのに気が付いてない沙羅であった。
「さって、私は走ってきたからいつでもやれるよ。誰からする?」準備運動はばっちりよと言ってくる。
「おし、じゃあ、俺とやろう、俺は今回は槍を使うけどな。」と言うと、沙羅はやはり薙刀でするということになる。
「そしたら、僕は時間を計るけど、とりあえず、十分でいいかな?参ったしたら交代で」
俺達はお互いに向かい合った状態になっており、「問題ない」「大丈夫よ。」と答える。
「それじゃ、はじめ」
俺達はお互いに構える、やはり槍と薙刀の構えは似ていた、違う点は槍が少し上を向かせているのに対し、中段の構えを取っているぐらいだが、そもそもの攻撃方法が突くと斬るに特化した武器なのでどのように攻めていくかを考えるのであったが、とりあえず、言葉で誘うことにする。
「どうした、沙羅、攻めてこないのか、それともビビってんのか?来ないなら、こちらから行くぞ。」
「ふん、そんなわけないでしょ、あなたを打ち負かせて、私しかいないって言わせるんだから。」と、変な回答が返ってくると、同時に突いてくるので避けるが、すぐさま横薙ぎが来たので、穂先でその攻撃を受け、はじき返し距離を取って構えなおす。
「どうかしら、ビビったでしょ。」
「んー、いやぜんぜん、教えてあげる攻撃な感じがするから、軌道が分かる。」
「なによ、それ、むかつくわ~、そう言うなら、あなたも攻撃してきなさいよ。」ほっぺを膨らました顔で言ってくるので、容赦なく攻撃をする。
中段突きからの石突き、それからの横切りの連携攻撃(手加減して)をする。
最初の攻撃は受けきったが、石突に横切りは防御できずにまともに当たり、吹っ飛んでいくが、受け身を取りすぐさま立ち上がってくる。ただし、なぎなたを杖代わりにしてだったが、
「いったーい、何よその攻撃は、信じられない。」と、文句を言ってくる。
「攻撃して来いっていたから、やっただけだぞ、問題ないはずだ。」俺は槍を肩に当てトントンとしながら答える。
「だいたい、戦いで今から攻撃しますよなんて、ありえないだろう。」
「それは、そうだけど、、、」
「はははぁ、さては、ゆうな母さんの言いつけ守らないでさぼってたんじゃないか?」図星だったのか、
「そ、そんな事は、な、ないわ、ちゃんと守ってたわよ。」どもって答える。
「ま、なんにせよ、そんなへっぴり腰じゃ~だめだな。」
「なんですって~、ええい、まだ時間はあるあら、行くわよ。」構えなおして、攻撃をしてくるが、やはり単調な攻撃だったので、すべて受けたり避けたりして攻撃は当たらなかった。
「もう、なんで当たらないのよ~」とうとう疲れたのか、時間前に座り込んでしまう。
「いっただろ、今から攻撃しますよ攻撃になってるって、小鬼ぐらい知能がの低い奴らなら当たるとは思うけど。」と言うと、やっぱりむくれながらも、
「じゃあ、どうすればいいのよ。教えてよ。」
「変化が無いんだよ。俺にしても沙羅にしても長物は動きがどうしても大きくなってしまう傾向が出る。特に沙羅の武器は斬るという要素が大きい分、その辺を考えてやらないとだめじゃないかな。おそらく、母さんの教えの中にあったんじゃないかとは思うけど、それについては俺は習ってないから解らないけどな。」
「うーん、、、そういえば、ゆうなおばさんが言ってた気がするわ。無の術が無いからそこは特に注意しないとだめって。」
「だろう、母さんは術を使っての攻撃と持ってない攻撃は違うって言ってたからな。そこは、反省すべき点だろうな。」
「分かったわ。帰ってからもう一度おばさんの指導内容を確認しておくわ。ふう、疲れたから交替ね。」
亮と交替しに行き座る。
「沙羅、そこの水筒は飲んでいいからな、回復薬が入ってるから、一人一本だけどな。」
「そうなんだ、じゃあ、頂くわ。美味しいもんね。」といって、水筒から一口飲むと
「なに、これ、とっても回復するわ、疲れも吹き飛ぶぐらい。」驚きの声を出す。
「飲みすぎるなよ。原壊しても知らないぞ。」と嘯いておき、亮の方を向いて、やろうかと言って始める。
今回は槍じゃなく、模擬刀に持ち替えてする。
 お互いに構えて隙を伺うが、不意に闇の術が飛んでくる、聞こえないように詠唱していたようで、俺は術を横に躱す様に動くと亮が懐に入り込むように攻撃をしてくる、すぐさま体勢を整えるために斜め後ろにすぐさま下がるとその前を攻撃がかすめていく、反撃をしようとするが亮も下がり構えなおす。
「あの攻撃を避けてるなんて、さすがだね。」
「ああ、いきなり術が来たのにはびっくりしたぜ、しかも、そのあとすぐに攻撃とはな」
「ヒット&ウェイが僕が使う武器、短剣の戦い方だからね。」
「そうか、自分の武器に会った攻撃をやってきてるのか、俺も頑張らないとな。」
「それじゃあ、今度こちらから行くぜ。」
亮の動き、特に足の動きを確認しながら攻撃に移る、垂直切りや袈裟切りだと横に避けられて反撃にあうかもしれないので、水平切りをすると、やはり、バックステップで躱されたので切り返ししつつ踏み込みまた水平切りを行うが、これもまた避けられてしまうが、すぐさま握り直し左側からの袈裟切りにつなげると、予測してなかったのか、体勢を崩してしまったのを見て、剣先を顔の前につける。
「負けちゃった。」と、残念そうに返ってくる。
「はは、まぁ、俺も負けたくはないしな。」そう言って返すと、
「そう言えば、利久君は術は全然使わないよね。なんでなの?」と痛い所突いてくると、沙羅も
「そうそう、光の術だけは習ったあと、他の術を習いに行くって言ってた割には、他の術も出てないよね?」
「それはだな、今は術より武器の方をと思って、やっているから、、、」と言葉を濁すが、
「うん、やっぱりおかしい、教えてよ本当の事を。」沙羅は容赦なく聞いてくる。
「そうだよ。術に事は隠してるね。」珍しく亮も引き下がらない。
俺はしばらく考えて、本当の事を話すことにする。
「分かった、二人共俺が術を使わないわけを教えてやるよ。術の練習場に移動しよう。あ、沙羅、水筒は持ってきてくれ」
そう言って、俺と亮は先に移動し人形の準備をする。
「利久君、持ってきたよ。」
「おし、じゃあ、亮、闇に術を撃ってくれないか。」
「あ、うん、撃つね、さっきの術でいいよね?」と聞いてくるので、俺は頷く。
「それじゃ、闇を我が呼びかけに応じ、黒き短剣となり敵を攻撃しろ。闇短剣ダークダガー」そう唱えると、短剣の形をした闇の術が飛んで行き、人形に突き刺さる。それを見て、今度は俺が同じ言葉で唱えると言う、
「それじゃ、俺が亮と同じように唱えるぞ。」
「闇を我が呼びかけに応じ、黒き短剣となり敵を攻撃しろ。闇短剣」唱えると、亮と同じあ少し大きいくらいの短剣が出るが、そのまま、足元に落ちて地面に刺さる。もちろん、自分には刺さらないようになってはいる。
それを見た二人は、目を丸くしてみる。俺は下に落ちた短剣を拾う。
「と、まあ、こういう訳なんで術はやってないのさ、発動はするが飛ばない。つまり、俺は術に関しては失格レベルなのさ。」と、自虐的に言う。
「発動はするけど、飛んで行かないからやってなかったんだね。」と亮が確認のようにして言う。
「ああ、ただこのように持てるから、投げて攻撃ってのはできるけどな。」俺は手に持った闇短剣を投げてる。闇短剣は人形に刺さると消えていく。
「じゃあ、光の術は問題なかったの?」沙羅が聞いてくる。
「光の術は回復がメインで、人に近づいてから使うから問題はないのさ。」と回答する。そして続ける。
「まぁ、攻撃の術に関しては全くダメなんだが、接近してのは使えるからぞれでやりくりしていくしかないんだよ。ま、救いがあるとすれば、発動した術を持って投げれば大丈夫ってことかな。」
「投擲すればってことだね。でも、今のは闇だったけど、他の術も同じ?」と聞いてくる。
「ああ、他の術も同じ、ただ、味方と認識してたら俺の術は持てるんだよね。ま、実際体験してもらえれば分かると思う。」
「火よ、我が呼びかけに応じ、火の球となりて、敵を攻撃しろ、火球」唱えて、火球を造り手に持つ。
「あ、熱くないの?」「熱くないの?」と二人同じ言葉として出る。
「いや、熱くはないぞ、亮、持ってみ」俺は無造作に投げると、亮は慌てて火球を持ってしまうが、熱くはなかったので、
「あれ、ほんとだ、熱くない。なんで?」不思議がりつつ、沙羅も持ってみなよと言って渡すと、沙羅も熱くないわと言って持つ。
「大体わかっただろ、俺の術の状況が。」
「うん、分かったよ、でも、これからどうするの、術は?」亮が聞いてくる。
「ああ、一応、基礎はやるけど、父さんから聞いた話で、勇者の一人が武器に術を纏わせて戦ってたって聞いたから、それをやってみようと思っているよ。」
「へ~、そんな勇者の方がいたんだね。」
「いたんだとさ」俺は肩をすくめながら返答すると、さらにその術を消すから返してもらい、水の術で相殺する。
「つーことで、俺はこれからもこの形で頑張っていくことにする。でも、このことはクラスの人達に言うなよ。」
「分かった。」「了解よ。」と返事が返ってくる。
それから、また模擬戦を再開する。
 余談だが、回復薬は俺のお手製だというのも打ち明けると、沙羅が俺達の分まで持って帰ってしまった。

 俺達は武器に術をお互いに練習しながら日々を過ごし、中学年が終わり、高学年へと進級した。


※攻撃方法とかは、作者の創作です
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