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素直になれない
しおりを挟む俺の名前は相良葵音。人には言えない様な汚い仕事から人助けまで何でも依頼を受ける裏組織の人間だ。
この仕事は命懸けなのもあって2人1組が決まりだ。難しい仕事の時は複数チームで動くこともある。その相手は自分で探して決める事が多いけど、俺は違った。
「おい」
いきなり背後から呼びかけられた。この低くて色っぽくて男らしい声は……間違いなく俺の相棒、相原秀一郎だ。
「なに?雑に呼ばないでほしいんだけど」
名前で呼んで!たまーーに名前で呼んでくれるじゃんお願いします!!
あ、ちなみに秀の事は大好きです。恋愛的な意味で。
……絶対バレちゃダメだけどね。
そう、この関係が崩れたら他の相棒を探さないといけない。もう二度と相棒になることは無いし何ならNGを出されて顔を見ることさえ出来なくなってしまう。
それは絶対に嫌だという思いからこんな態度を取るようになってしまってもう3年は経つ……
相棒なのに優しくできない。素直になれない。もしかすると勘づかれてしまうかもしれないから。
そんな俺の気持ちを知らないこの男は今日もいつも通り距離を詰めてくる。
「あと30分後に仕事だから、準備が出来てるか確認しにきた」
そう言って俺の背中や腕や胸板をグッグと押しながら触ってきた。正面から抱きしめられる形で確認作業をされ、パニックで心臓が激しく騒いだ。
秀の男の匂いと、耳元にかかる息があああ
あと触り方が何かエロい気がする!!!
そう思っていると、いきなり拳骨が降ってきた。
「何にも準備出来てねーじゃねぇか!!」
「いったー!!殴ることないじゃんか!これで俺が何か脳の病気にでもなったらどーすんのさ!!」
頭を押えて言うと、悪びれずあっさり返される。
「その時は責任とってやるからさっさと準備しろ」
責任!?どんな責任の取り方をしてくれるんだ!?!
も、もしかして一生世話してやるよ…とか?好き……その未来良いかも
せっせと準備を始める。怪我をしないように防具を着て、またその上に服を着る。拳銃も念の為腰に隠しておく。
最後に持ち物の準備をしていると、陰からヒソヒソと話し声が聞こえてきた。
「まーた相原さんの足引っ張ってるよあいつ…」
「仕方ないさ、1番下っ端で1番弱いんだ。だからここで1番強い相原さんと相棒にされてんだし」
「相原さんもあんなポンコツと大変だよなぁ」
全部聞こえるよーに話してくれちゃってぇ
ま、全部ホントの事だからいいけどねー
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