日日是好日

学校へ

「……え？学校？」


朝、いつもの様にスズメにパンを食べさせていると、清は色んな書類をパラパラと捲りながら一日のスケジュールを話し始めた。


「はい、本日から玉響高校へ通って……というのはあまりに急ですので、まずは見学へ行きましょう♪」


「たまゆら高校…」


「その後は学校周辺を覚える為に少し歩きましょう。午後は部屋で歴史と数学のお勉強、三時のおやつは……」


清の言葉を片耳に聞きながらぼんやりと高校に通う自分を想像する。学校へ通った記憶は無いけどどういう場所かは知ってる。

人と一緒に学んで、友達を作って、一生の思い出を作る……って本に書いてあった。


思い出……もう忘れることが無いようにしないと



「あと注意事項ですが……って坊ちゃん？聞いていますか？」


「わあっっ！！」


いきなり清の怪訝そうな顔が司会いっぱいを埋める。清は小さく息を吐くと、ぷにっと片手で僕の両頬を摘んだ。


「う、む……ぶ」


「良いですか坊ちゃん……私は全て必要なことしか話していません。聞いてなかったから知らなかったなんて外では通用しませんよ？」


「むう、うっう」


ぷにぷにと頬を好きに遊ばれる。バッと首を振り、何とか清の手から脱出すると、僕は噛み付くように口を開いた。


「でも僕に何かあっても清が助けてくれるんでしょ！？」


思ったより大きな声を出してしまい、息が上がってしまった。
清も少し驚いた顔をしていて少し恥ずかしくなった。

清は困ったようにクスッと笑い、ゆっくり膝をついた。


「……坊ちゃん、高校へは坊ちゃんお１人で通って頂きます。私は同行出来ないのですよ」