20 / 26
第1章 出会い
魔術師アベル、過去を振り返る
しおりを挟む
……うん、まぁ……あれだ。うん、あれだ。うん……←(何言っているんだ? 自分でもよくわからない)
いや、確かにレッドドラゴンを倒したのは十二歳の時だったけどさぁ……まさか、魔法一発で沈むとは思うわけないじゃん!
流石に五年だけでレッドドラゴンを倒せる実力はつかないだろ。流石の俺でも。自分でも最強と自負するほどだけど。
うーん、何が原因なんだ? 俺をここまで強くしたのは? まさか、勇者パーティーにいたおかげか?
いや、それはないな。だって、あのクソパーティーは結成した当初から、俺のことを疎ましく思っていたからな。結成されて旅に出たその瞬間から、俺とクソ勇者どもに分けられていた。勇者パーティーだというのに。パーティーって、みんなで協力するものだろ? だが、こいつらは違ったんだ。
俺たちは勇者パーティーとして活動していたが当然、魔王軍の魔族だけを倒しているだけでは、生きていくための収入が足りない。だから、必然として、ギルドに張り出されている一般的に依頼も受けなければならなかったのだ。
その時からだ。俺とクソどもに分けられた勇者パーティーの特徴が謙虚に表れたのは。
俺たちは強大な敵……今日受けたレッドドラゴンや魔族などは一つのパーティーとして機能していた。俺のサポートがなければ勝てないからな。まぁ、クソどもが、そのことに気付いていたとは思えないが。
どうせ、勇者パーティーの面目を保つだけだったと思う。パーティー全員がそろってないのは、どうしてだと、誰もが疑問に思うからでだろう。だって、勇者パーティーだもの。
一応、貴族の端くれとして、そのことは考えていたのだろう。クソ野郎だが、そういうところだけは、よく頭が回る。そのおかげで、俺がパーティーを抜けるまで、生き抜くことができたのだから。
で、だ。その強大な敵以外……まぁ、普通の任務だな。生活費を稼ぐためだけの依頼だ。その依頼の時は二つのパーティーに分かれて、任務が行われた。どう分けられたかはわかるよな?
まぁ、そのパーティーで任務をこなしていくわけだが、この雑魚勇者はほとんど任務を受けない。汚れるからだって。ふざけんな。女どもと遊んでいるくせに。
そこからは想像できるだろう。そんなクソども四人を養うために、俺は普通の依頼だけでは食っていけないと悟ったのだ。あっ、正確には三人か。一応、エリスは働いていたか。一応、真面目だったからな。クソだけど。
だが、それでは収入は足りない。だから俺は文字通り命をかけて、魔物の討伐にかかったのだ。低ランクではない、正真正銘の化け物を相手に。
レジェンドウルフ、キマイラ、ヒュドラ……様々な魔物を相手にした。
当然、一度では倒すことはできなかった。だから、俺は相手の特徴を少しでも読み取ろうと努力した。
敵の基本的な動き。攻撃方法。絶対に受けないようにしている自身の弱点などを、ひとつ残らず観察した。そして、何度も繰り返し、己を磨いていた。その年、約五年。
そのおかげで、俺は自分でも最強と名乗っても恥ずかしくないくらいの実力をつけたのだ! ……あれ? レッドドラゴンを倒せたのって、これが原因じゃね? 解決してるじゃん。
「……ベル! アベルッ!」
はい、現実逃避のお時間は終わりです。現実に目を向けましょう。
俺の肩を揺すって声をかけているのは、俺の今のパーティーメンバーであるアホの子ロザリアだ。彼女はびっくりした表情のまま、レッドドラゴンを指さしている。
「なんだよ。人がせっかく、いい夢を見ていたのに……」
「いや、寝てないでしょ……じゃない! 何よあれッ! どうしてレッドドラゴンが倒れてるのッ!?」
「どうしてって、俺が倒したからだろ?」
「そんなのわかってるよッ! 私が聞きたいのはそれじゃないッ!」
いや、どうして倒れてるのって言ってるじゃん。それで怒られるって理不尽じゃね?
「どうして、あなたがあんな魔法を撃てるのよッ! 竜の鱗を貫通できる魔法って……下手したら、おと――じゃない、魔王でもできないよ――ッ!?」
ロザリアは手を激しく振って、文句を言ってくる。
ロザリアさん。あなた、口調が乱れて余計に子供っぽく聞こえますよ? もしかして、そっちが本来の口調ですか? どっちでもいいけど。
てか、俺って魔王でもできないことをやってのけたの? じゃあ、もしかしたら、俺一人で魔王を倒せちゃったり?
でも、もう魔王を倒す必要はないしなぁ。ロザリアも送り届けるつもりだし。それで魔王を倒したら、それこそ不味いことになりそうだ。
「まぁ、あえて言うなら…………努力のおかげかな?」
「……はぁん? アベル、ふざけてるの?」
眉を寄せて、ガチギレした返事を漏らすロザリア。えぇ、ホントのこと言ったのに……。理不尽だ。
そこから俺はなんとかロザリアに納得してもらい、レッドドラゴン討伐の報告をするため、レッドドラゴンの鱗を一枚はがして、ギルドに引き返すのであった。
……未だに目を見開いて固まっているアセロラを引っ張って。
いや、確かにレッドドラゴンを倒したのは十二歳の時だったけどさぁ……まさか、魔法一発で沈むとは思うわけないじゃん!
流石に五年だけでレッドドラゴンを倒せる実力はつかないだろ。流石の俺でも。自分でも最強と自負するほどだけど。
うーん、何が原因なんだ? 俺をここまで強くしたのは? まさか、勇者パーティーにいたおかげか?
いや、それはないな。だって、あのクソパーティーは結成した当初から、俺のことを疎ましく思っていたからな。結成されて旅に出たその瞬間から、俺とクソ勇者どもに分けられていた。勇者パーティーだというのに。パーティーって、みんなで協力するものだろ? だが、こいつらは違ったんだ。
俺たちは勇者パーティーとして活動していたが当然、魔王軍の魔族だけを倒しているだけでは、生きていくための収入が足りない。だから、必然として、ギルドに張り出されている一般的に依頼も受けなければならなかったのだ。
その時からだ。俺とクソどもに分けられた勇者パーティーの特徴が謙虚に表れたのは。
俺たちは強大な敵……今日受けたレッドドラゴンや魔族などは一つのパーティーとして機能していた。俺のサポートがなければ勝てないからな。まぁ、クソどもが、そのことに気付いていたとは思えないが。
どうせ、勇者パーティーの面目を保つだけだったと思う。パーティー全員がそろってないのは、どうしてだと、誰もが疑問に思うからでだろう。だって、勇者パーティーだもの。
一応、貴族の端くれとして、そのことは考えていたのだろう。クソ野郎だが、そういうところだけは、よく頭が回る。そのおかげで、俺がパーティーを抜けるまで、生き抜くことができたのだから。
で、だ。その強大な敵以外……まぁ、普通の任務だな。生活費を稼ぐためだけの依頼だ。その依頼の時は二つのパーティーに分かれて、任務が行われた。どう分けられたかはわかるよな?
まぁ、そのパーティーで任務をこなしていくわけだが、この雑魚勇者はほとんど任務を受けない。汚れるからだって。ふざけんな。女どもと遊んでいるくせに。
そこからは想像できるだろう。そんなクソども四人を養うために、俺は普通の依頼だけでは食っていけないと悟ったのだ。あっ、正確には三人か。一応、エリスは働いていたか。一応、真面目だったからな。クソだけど。
だが、それでは収入は足りない。だから俺は文字通り命をかけて、魔物の討伐にかかったのだ。低ランクではない、正真正銘の化け物を相手に。
レジェンドウルフ、キマイラ、ヒュドラ……様々な魔物を相手にした。
当然、一度では倒すことはできなかった。だから、俺は相手の特徴を少しでも読み取ろうと努力した。
敵の基本的な動き。攻撃方法。絶対に受けないようにしている自身の弱点などを、ひとつ残らず観察した。そして、何度も繰り返し、己を磨いていた。その年、約五年。
そのおかげで、俺は自分でも最強と名乗っても恥ずかしくないくらいの実力をつけたのだ! ……あれ? レッドドラゴンを倒せたのって、これが原因じゃね? 解決してるじゃん。
「……ベル! アベルッ!」
はい、現実逃避のお時間は終わりです。現実に目を向けましょう。
俺の肩を揺すって声をかけているのは、俺の今のパーティーメンバーであるアホの子ロザリアだ。彼女はびっくりした表情のまま、レッドドラゴンを指さしている。
「なんだよ。人がせっかく、いい夢を見ていたのに……」
「いや、寝てないでしょ……じゃない! 何よあれッ! どうしてレッドドラゴンが倒れてるのッ!?」
「どうしてって、俺が倒したからだろ?」
「そんなのわかってるよッ! 私が聞きたいのはそれじゃないッ!」
いや、どうして倒れてるのって言ってるじゃん。それで怒られるって理不尽じゃね?
「どうして、あなたがあんな魔法を撃てるのよッ! 竜の鱗を貫通できる魔法って……下手したら、おと――じゃない、魔王でもできないよ――ッ!?」
ロザリアは手を激しく振って、文句を言ってくる。
ロザリアさん。あなた、口調が乱れて余計に子供っぽく聞こえますよ? もしかして、そっちが本来の口調ですか? どっちでもいいけど。
てか、俺って魔王でもできないことをやってのけたの? じゃあ、もしかしたら、俺一人で魔王を倒せちゃったり?
でも、もう魔王を倒す必要はないしなぁ。ロザリアも送り届けるつもりだし。それで魔王を倒したら、それこそ不味いことになりそうだ。
「まぁ、あえて言うなら…………努力のおかげかな?」
「……はぁん? アベル、ふざけてるの?」
眉を寄せて、ガチギレした返事を漏らすロザリア。えぇ、ホントのこと言ったのに……。理不尽だ。
そこから俺はなんとかロザリアに納得してもらい、レッドドラゴン討伐の報告をするため、レッドドラゴンの鱗を一枚はがして、ギルドに引き返すのであった。
……未だに目を見開いて固まっているアセロラを引っ張って。
0
お気に入りに追加
910
あなたにおすすめの小説

パーティーを追放された落ちこぼれ死霊術士だけど、五百年前に死んだ最強の女勇者(18)に憑依されて最強になった件
九葉ユーキ
ファンタジー
クラウス・アイゼンシュタイン、二十五歳、C級冒険者。滅んだとされる死霊術士の末裔だ。
勇者パーティーに「荷物持ち」として雇われていた彼は、突然パーティーを追放されてしまう。
S級モンスターがうろつく危険な場所に取り残され、途方に暮れるクラウス。
そんな彼に救いの手を差しのべたのは、五百年前の勇者親子の霊魂だった。
五百年前に不慮の死を遂げたという勇者親子の霊は、その地で自分たちの意志を継いでくれる死霊術士を待ち続けていたのだった。
魔王討伐を手伝うという条件で、クラウスは最強の女勇者リリスをその身に憑依させることになる。
S級モンスターを瞬殺できるほどの強さを手に入れたクラウスはどうなってしまうのか!?
「凄いのは俺じゃなくて、リリスなんだけどなぁ」
落ちこぼれ死霊術士と最強の美少女勇者(幽霊)のコンビが織りなす「死霊術」ファンタジー、開幕!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
ハーーナ殿下
ファンタジー
冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。
これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる