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第1章 出会い

平穏な日常……?

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「今日こそは、しっかりと依頼を達成してもらうぞ」

「えぇ、またゴブリン? 違うの倒したいんだけど?」

「誰のせいで、またゴブリン討伐なんでしょうね?」

「すいませんでした」

 ロザリアに最低限の知識を付けさせた俺は、再びギルドへと来ていた。くそぅ、またEランクの依頼を受けないといけないのか。金銭的にも儲からないんだよな。当たり前だけど。
 で、ロザリアとは出会って二日くらいなんだが、日が経つにつれて残念になっているのは気のせいか? 多分、気のせいじゃないと思う。俺の周りの女って、残念な奴しかいないのか? ロザリアしかり、勇者パーティーしかりと。

 まぁ、そんな残念少女には頑張ってもらわないといけない。なんせ、俺の生活がかかっているからな(楽したい)。
 当初の予定として、ロザリアをDランクに上げることを一週間以内には達成したい。Eランク自体、初心者中の初心者なので、Eランクの依頼を五つくらい受ければ、Dランクに上がることができる。誰かさんがミスったせいで余分にしないといけないが。
 ロザリアがDランクに上がった時点で、次の街へ行くつもりだ。Dランクになれば、受けられる任務の幅が増え、ロザリアだけでも大丈夫だからだ。その頃には、常識も身についているだろう。
 後は魔族領に向かいつつ、ロザリアに働かせて、俺はのんびりするだけだ(ゲスい)。待っていろ、俺のスローライフ!

「た、大変だ!」

「どうしましたか!?」

「ま、街の外にドラゴンが出た!」

……スローライフってなんですかね?





 というわけで、早速、俺の計画に狂いが生じたわけだが、流石にドラゴンとあっては、俺も参加せざるを得なかった。

 ドラゴンとは、魔物の中でも最上位に存在する魔物だ。だが、ドラゴンといっても、一括りで言い表すことはできない。
 例えば、人間を襲うような気性の荒いドラゴンもいれば、群れで集まり、ひっそりと暮らす草食のドラゴンもいるのだ。人間界でAまたはSランクの魔物とされるのは、前者の危険度の高いドラゴンのことだ。

 ドラゴンが発生したと連絡を受けたギルドは、すぐさまギルドに残っているBランク以上の冒険者を集めて、ドラゴン討伐の説明を行っていた。当然、Sランク(表向きはAランク)の俺も参加している。そしてなぜか、俺のパートナー(といわれている)ロザリアも俺の隣に座って、話を聞いていた。いや、お前はEランクだろ。なぜここにいる?

「今、調査員から入った情報によると、現れたドラゴンはレッドドラゴン――Sランクに相当する魔物です」

 受付嬢の言葉に、話を聞いていた冒険者は焦りの表情を見せた。

……レッドドラゴンか。Aランク冒険者が数人でかかれば勝てなくもないだろうが、死者が出るのは避けられないだろう。俺一人でも勝てるだろうが、レッドドラゴン相手となれば、街への被害をゼロにするのは無理だ。
 数年前には、かなり苦戦したことを今でも覚えている。俺も無傷で抑えることができなかった。それほど、Sランクの魔物というのは強大な相手なのだ。
 
「お、おい! 誰かSランクの冒険者はいないのか!? いや、Aランクでもいい!」

 一人の冒険者が焦りながら叫ぶ。だが、無駄だろう。俺が見た限り、この場にはAランクの冒険者はいない。
 さっき掲示板を見たとき、ヒュドラ討伐の依頼が張ってあった。ヒュドラもドラゴンであり、Sランクの魔物とされているが、Aランクの冒険者が五人以上で討伐できる、Sランクの中でも難易度が低い魔物であった。
 恐らくだが、この街にいたAランクの冒険者たちはヒュドラ討伐に向けて出て行ってしまったのだろう。ヒュドラは対策していれば、なかなかられることがない魔物だからな。Aランク冒険者が受けようとするのも当然だ。

 だが、俺の予想に反して、何人かの冒険者が手を上げる。彼らこそがAランクの冒険者なのだろう。数は三人か。全員知らない顔だな。この街を拠点としている冒険者なのだろうか。誰一人、記憶になかった。
 でもまぁ、これで俺を合わせて四人の上位冒険者が揃った。レッドドラゴンを相手するには少し心許こころもとないが、決して不可能ではないだろう。おい受付嬢、わかったから、こっち見るな。

「そうか、じゃあすまないが、作戦を立てたいと思う。レッドドラゴンを相手にしない者は万が一のために街の避難を優先してくれ。詳しくはギルド員に訊いてくれ。レッドドラゴンを討伐する者は俺の元に来て欲しい」

 この男――ギルド長であろう人の言葉からすると、別にAランクでない人もレッドドラゴン討伐に参加してもいいということか。ま、誰も参加しないだろうな。いくら戦績を残せるといっても、レッドドラゴンが相手じゃ荷が重い。冒険者で一番大切なことは生き残ることだからな。

 俺の予想通り、さっき手を上げた冒険者以外は、ギルド長の元に集まらなかった。これが正しい判断だからな。誰も攻めることはしない。だがな、なんでEランクロザリアがいるんだ? お前、ウインドウルフに負けかけてただろ?

「え、ええっと。その者は?」

 ギルド長が訊きにくそうに尋ねてくる。ほら見ろ、どうすりゃいいんだよ。
 仕方ない。俺が説明するとするか。

「すいません。この子は……」

「この子? 何を言ってるんだ? 俺はあんたのことを言ってるんだぞ?」

 ええッ!? 俺のこと!? いやいや! おかしいだろ!? だって俺、Sランク冒険者だよ!? (書類上はAランク)
 なんで俺のこと知らないんだよ! 仮に知らないとしても、ロザリアに訊かないのは、なんでだよ!?
 おかしいと思って周りを見ると、受付嬢を除く全員が不思議そうな目で俺を見ていた。なんでいるの? みたいな。お前らもかよ!? あと受付嬢! 笑ってないで助けろ!
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