若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu

文字の大きさ
上 下
33 / 105

32

しおりを挟む


「弟子にして下さい!」


?????

この人は何を言っているのでしょう?


「私にうどん作りを教えて下さい!」


私が黙って聞いていたので

具体的に言ってくれたのでしょうが…



「あの…  
…真由実さん?聞いてますか?」

…………

「真由実さん?」


…夢では無い様です。

目の前で手を振り私の意識を確認しているのは


間違いなくレオナルドさんでした。

2、3日後に顔を出すと言っていたのに結局顔を出す事がなく

今は宣言日の更に2日後のお昼寝後の時間です。

ムギちゃんミルちゃんはまだお昼寝中で

起きたばかりの私はまだ夢の中?

と思ってしまうのは悪くありません。


だって彼は立派な騎士様ですから。

なのになんで??


「あの…」

「…聞こえてます。」

「では…」

「何故?」

「は?」

「何故急に弟子と?

…一掃は? 

騎士のお仕事は?

国王様は?」

私の質問に自分が唐突な事を言ったとわかったのでしょう



……一掃自体はあの日の2日後に無事に終了したのだが

後処理なのでバタバタして顔を出す時間も取れないまま今になったと。

弟子に関しては一掃の件が決まる前から悩んでいて、

国王様達には相談後済みで

今回の早期解決と、

その他の条件付で

了承も得ていると。


何故先に私の了承を取らなかったのかは

「真由実さんに先に言えば
貴女は私の居ない間に
姿を消すと思いました」


………当たってます。

確かに一掃前にその話をされたなら

それは~と魔導車を使って旅に出てたかも……

…いや、流石にそこまでは、

お店の開業も控えてたし

断ればイイだけの話だし?


……開業前なら尚更逃げたかも……


「貴女が私達の事をまだまだ信用していないのも理解しています。

国王や他の者に聞かれたく無い事は決して他言しません。

不安なら魔術を用いた契約を交わします。

なので弟子にして下さい。」

そして国王と個人的に契約している事も許して欲しいと頭を下げた。

国王様との契約とは

国の騎士としてではなく、

レオナルドさん個人として依頼を出して私との繋ぎを取り仲介役をする事。



聖女様のレベル上げも順調なので

近々段階的に瘴気の処理をする為の遠征を開始する事が決定し、

その聖女様の心を少しでも和らげる為に

故郷の味を用意出来る私に

遠征中の聖女様の料理の依頼をしたいと。

その仲介的な役割りと

個人的な購入品のやり取りを(主にビール等お酒)
レオナルドさんに頼みたいと。

レオナルドさんが騎士のままなら良かったが

辞めて弟子になると国との繋がりが無くなり依頼がし難い。

かといって私に他の者を近づけて聖女と同郷と知られると

第2、第3のおバカさんが
出て来る可能性もあり良くないからと。

私の事は
例の遠い和食文化のある国の令嬢で

和食に魅了されたレオナルドさんが修行する為に宰相の縁で国に招いた事にして

偶然にも和食は聖女様の故郷の食事に似ているので

レオナルドさんを介して料理を提供する事になったと周りに説明したらしい。


そう、説明済。

私以外は了承済。

……


「はぁ~、
分かりました。

弟子にはしませんが
うどん作りは教えます」

喜ぶ顔を見せたレオナルドさんに

「ただし!
契約書を交わす事は勿論、
いくつか条件があります!」


条件その1

当然、私に関してのスキルに関する事は秘密にする契約書を交わす事。


条件その2

うどん作りをある程度覚えたら、
うどん屋の経営をする事。


条件その3

居住空間には異性、もしくは恋愛対象者の連れ込みは禁止

生活に関してはルールを作り気になる事が出来た場合は

その都度話し合いで解決する事。



まずはこの事を約束してもらいます。


了承したなら先に契約です。

用意していたのか契約書を出されたのでよく読んでお互いにサインします。

コレは国王と私とレオナルドさんの3人の3枚です。

1枚は私がもらいます。

「では、もう一度契約してもらいます」

私がそう言うと不思議そうな顔をするレオナルドさん。

彼には契約魔術の事はいってませんしね。

「契約。」

その一言で私とレオナルドさんの回りを光が包み二の腕にピリッと軽く痛みが走りました。

光が収まり

自分の二の腕に麦の様な小さな紋章があるのを確認した
レオナルドさんは

今のが私の契約魔術だと分かった様です。

「コレも真由実さんの力の一つですか?」

「はい。」  

其れだけでまだまだ自分の知らなかったスキルがあるのを確信したようです。


「これで貴女の側に居れるのですね」

と、

嬉しそうに微笑んでいます。

うっ、

眩しい…

そのキラキラ光線は止めて下さい。

無駄にキラキラした目で見てくるレオナルドさんにお店の事も説明します。

お店の開業は4日後の地の曜日、

それまで毎日、うどん作りを教えます。

私は地と聖の日のお昼しか営業しない事。

レオナルドさんはひと月後から光、火、水、の3日間を担当する事。

後の地と闇の日は必ず休んで聖の日は私の手伝いです。

手伝いは主に聖女様への料理作りだったり、

お届けだったりですかね。

大まかにはこんな感じです。

説明が終わりかけた時に

ムギちゃんミルちゃんが

おっ起したのでミルちゃんの紹介をしましょう!

「おはよう~。
ムギちゃんミルちゃん、おっきしましたか~?」

若干レオナルドさんが引いてる様ですがお構い無しです。

寝起きの2人はとてつもなく可愛いのでスグに近づきます。

私に気づいた2人は頬にスリスリしてくれるのです!

この瞬間がたまらなく幸せなのです!

2人との寝起きのイチャイチャを黙って見ていたレオナルドさんに

「新しく家族になってくれたべビースライムのミルちゃんです!」

キラキラだった瞳が色をなくした様になっていましたが

2人とのイチャイチャは引かれた位では止めませんので

慣れて下さいね?


しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

契約結婚のはずが、気づけば王族すら跪いていました

言諮 アイ
ファンタジー
――名ばかりの妻のはずだった。 貧乏貴族の娘であるリリアは、家の借金を返すため、冷酷と名高い辺境伯アレクシスと契約結婚を結ぶことに。 「ただの形式だけの結婚だ。お互い干渉せず、適当にやってくれ」 それが彼の第一声だった。愛の欠片もない契約。そう、リリアはただの「飾り」のはずだった。 だが、彼女には誰もが知らぬ “ある力” があった。 それは、神代より伝わる失われた魔法【王威の審判】。 それは“本来、王にのみ宿る力”であり、王族すら彼女の前に跪く絶対的な力――。 気づけばリリアは貴族社会を塗り替え、辺境伯すら翻弄し、王すら頭を垂れる存在へ。 「これは……一体どういうことだ?」 「さあ? ただの契約結婚のはずでしたけど?」 いつしか契約は意味を失い、冷酷な辺境伯は彼女を「真の妻」として求め始める。 ――これは、一人の少女が世界を変え、気づけばすべてを手に入れていた物語。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています

処理中です...