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「弟子にして下さい!」


?????

この人は何を言っているのでしょう?


「私にうどん作りを教えて下さい!」


私が黙って聞いていたので

具体的に言ってくれたのでしょうが…



「あの…  
…真由実さん?聞いてますか?」

…………

「真由実さん?」


…夢では無い様です。

目の前で手を振り私の意識を確認しているのは


間違いなくレオナルドさんでした。

2、3日後に顔を出すと言っていたのに結局顔を出す事がなく

今は宣言日の更に2日後のお昼寝後の時間です。

ムギちゃんミルちゃんはまだお昼寝中で

起きたばかりの私はまだ夢の中?

と思ってしまうのは悪くありません。


だって彼は立派な騎士様ですから。

なのになんで??


「あの…」

「…聞こえてます。」

「では…」

「何故?」

「は?」

「何故急に弟子と?

…一掃は? 

騎士のお仕事は?

国王様は?」

私の質問に自分が唐突な事を言ったとわかったのでしょう



……一掃自体はあの日の2日後に無事に終了したのだが

後処理なのでバタバタして顔を出す時間も取れないまま今になったと。

弟子に関しては一掃の件が決まる前から悩んでいて、

国王様達には相談後済みで

今回の早期解決と、

その他の条件付で

了承も得ていると。


何故先に私の了承を取らなかったのかは

「真由実さんに先に言えば
貴女は私の居ない間に
姿を消すと思いました」


………当たってます。

確かに一掃前にその話をされたなら

それは~と魔導車を使って旅に出てたかも……

…いや、流石にそこまでは、

お店の開業も控えてたし

断ればイイだけの話だし?


……開業前なら尚更逃げたかも……


「貴女が私達の事をまだまだ信用していないのも理解しています。

国王や他の者に聞かれたく無い事は決して他言しません。

不安なら魔術を用いた契約を交わします。

なので弟子にして下さい。」

そして国王と個人的に契約している事も許して欲しいと頭を下げた。

国王様との契約とは

国の騎士としてではなく、

レオナルドさん個人として依頼を出して私との繋ぎを取り仲介役をする事。



聖女様のレベル上げも順調なので

近々段階的に瘴気の処理をする為の遠征を開始する事が決定し、

その聖女様の心を少しでも和らげる為に

故郷の味を用意出来る私に

遠征中の聖女様の料理の依頼をしたいと。

その仲介的な役割りと

個人的な購入品のやり取りを(主にビール等お酒)
レオナルドさんに頼みたいと。

レオナルドさんが騎士のままなら良かったが

辞めて弟子になると国との繋がりが無くなり依頼がし難い。

かといって私に他の者を近づけて聖女と同郷と知られると

第2、第3のおバカさんが
出て来る可能性もあり良くないからと。

私の事は
例の遠い和食文化のある国の令嬢で

和食に魅了されたレオナルドさんが修行する為に宰相の縁で国に招いた事にして

偶然にも和食は聖女様の故郷の食事に似ているので

レオナルドさんを介して料理を提供する事になったと周りに説明したらしい。


そう、説明済。

私以外は了承済。

……


「はぁ~、
分かりました。

弟子にはしませんが
うどん作りは教えます」

喜ぶ顔を見せたレオナルドさんに

「ただし!
契約書を交わす事は勿論、
いくつか条件があります!」


条件その1

当然、私に関してのスキルに関する事は秘密にする契約書を交わす事。


条件その2

うどん作りをある程度覚えたら、
うどん屋の経営をする事。


条件その3

居住空間には異性、もしくは恋愛対象者の連れ込みは禁止

生活に関してはルールを作り気になる事が出来た場合は

その都度話し合いで解決する事。



まずはこの事を約束してもらいます。


了承したなら先に契約です。

用意していたのか契約書を出されたのでよく読んでお互いにサインします。

コレは国王と私とレオナルドさんの3人の3枚です。

1枚は私がもらいます。

「では、もう一度契約してもらいます」

私がそう言うと不思議そうな顔をするレオナルドさん。

彼には契約魔術の事はいってませんしね。

「契約。」

その一言で私とレオナルドさんの回りを光が包み二の腕にピリッと軽く痛みが走りました。

光が収まり

自分の二の腕に麦の様な小さな紋章があるのを確認した
レオナルドさんは

今のが私の契約魔術だと分かった様です。

「コレも真由実さんの力の一つですか?」

「はい。」  

其れだけでまだまだ自分の知らなかったスキルがあるのを確信したようです。


「これで貴女の側に居れるのですね」

と、

嬉しそうに微笑んでいます。

うっ、

眩しい…

そのキラキラ光線は止めて下さい。

無駄にキラキラした目で見てくるレオナルドさんにお店の事も説明します。

お店の開業は4日後の地の曜日、

それまで毎日、うどん作りを教えます。

私は地と聖の日のお昼しか営業しない事。

レオナルドさんはひと月後から光、火、水、の3日間を担当する事。

後の地と闇の日は必ず休んで聖の日は私の手伝いです。

手伝いは主に聖女様への料理作りだったり、

お届けだったりですかね。

大まかにはこんな感じです。

説明が終わりかけた時に

ムギちゃんミルちゃんが

おっ起したのでミルちゃんの紹介をしましょう!

「おはよう~。
ムギちゃんミルちゃん、おっきしましたか~?」

若干レオナルドさんが引いてる様ですがお構い無しです。

寝起きの2人はとてつもなく可愛いのでスグに近づきます。

私に気づいた2人は頬にスリスリしてくれるのです!

この瞬間がたまらなく幸せなのです!

2人との寝起きのイチャイチャを黙って見ていたレオナルドさんに

「新しく家族になってくれたべビースライムのミルちゃんです!」

キラキラだった瞳が色をなくした様になっていましたが

2人とのイチャイチャは引かれた位では止めませんので

慣れて下さいね?


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