若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu

文字の大きさ
上 下
8 / 106

7

しおりを挟む

やはり予想通りにレオナルドさんは早目に帰って来た。

一杯目のお茶をゆっくり飲み終わったタイミングなので城には30分もいなかったのでは?

そんなに焦らなくてもまだ逃げると決めてないから心配ないのに、
信用されてないのかな?

出会って一週間ちょっとの付き合いだし

何かあったらいつでも逃げるつもりで居るのは間違いないし別にイイけどネ。

それより本来の用事は良かったの?

聞いたら又歯の浮く様な言葉が出てきそうだからやめとこう。

「おかえりなさいレオナルドさん
緑茶というお茶を召喚出来たので飲みませんか?

検証で分かった事も報告しておきたいし

それとも普通に紅茶かコーヒーにしますか?」

緑茶を飲んでみたいと興味を示したレオナルドさんの前に

お城の侍女さんから貰ったお菓子を出し

夕飯前だから食べ過ぎないようにと注意をしておく。

本当は緑茶にあわせて買った和菓子も召喚したのだが

それは今は報告しないので出さない。

でも個人的にだが
紅茶やコーヒーより軽めのお菓子は緑茶にあうと思っている。

ただ単に緑茶を飲む方が多かったからかもしれないが

紅茶やコーヒーにはケーキやパンケーキ、スコーン等の

しっかりした量感のお菓子にあう気がするし。

家やお店の休憩中等

緑茶を飲みながら軽めのお菓子をつまむと
あっと言う間にお菓子もお茶もなくなるのだ。

きっとこの餌付け気味なレオナルドさんも緑茶マジックに嵌まるだろう、
 
彼の味覚は私と近い事はこの一週間ちょっと三食共にしてそう感じた。

この世界はやはりというか

鉄板というか

よくある異世界物の様に中世ヨーロッパ的?

な感じの食文化なのだ。

文化というか生活は魔法や魔道具のお陰で発展しているし、

召喚者はいなくても転移者が

〈稀人〉として偶に現れるらしく

自転車みたいな物があったりドライヤーがあったり、

でも車は無く馬車の改造版
(小型の販売車の様な屋台はあった)
があったりチグハグなところがあったりする。

日本の和食的な物も遠い場所に稀人が広めた国があるらしいが

この国から馬車や船を使って数ヶ月もかかるらしく

まだまだ此方には広まってないそうだ。


レオナルドさんは国王の護衛で他国に行く事もあるので

他国の料理を色々食べた事があるらしく、

和食は美味しかった記憶があるとの事。

緑茶も知ってはいたがまだ少ししか生産されていなくて高級品になる様で

国王が持て成しの際に飲んでいただけで

護衛は当然飲めなかったのでかなり嬉しいらしい。

ニコニコとお菓子を食べてお茶をじっと見ている。
(最近の゙レオナルドさんは待てをしている犬に見えるんだよね~。
そんなたいした料理は振る舞ってないのになんでだろう?)




レオナルドからしたら今まで女性から出された食べ物や飲み物は
全て何かしらの゙薬
(惚れ薬紛いや媚薬)、

まじないや呪いに必要な

薬草や干した毛虫の欠片やトカゲの尻尾の欠片、

髪の毛等等

多分唾液等のおぞましい物まで混入した物や

本当の手作りではあるが味が壊滅的、

既に食べ物ではなくなった物体等録な物がなかったので

真由実の手作り料理は感動モノな上自分の好みの味にドンピシャだったので餌付けされたのは

当然なのだが真由実は知らない。


ふ~ふ~と

息を吹きかけ緑茶を一口飲むと

お茶の香りが広がりほのかな苦味の後に優しい甘味が追いかける、

お菓子の甘さをスッキリとリセットしてくれ

又お茶を口にすると何とも落ち着いた吐息が漏れる。

「ふぅ~。コレは何とも、
ほっとするというか落ち着つく飲み物ですね。
とても美味しいと思います。」

そう言うと又一口お茶を飲みお菓子を一つ口に放り込む。

一杯目を味わうレオナルドを何も言わず見守り自分もお茶を飲む真由実。

湯呑みのお茶がなくなるタイミングで立ち上がりおかわりを用意しながら今日の話をする。

今日の検証の結果、

麺と出汁、天ぷらの食材を3人前ずつと

お茶の葉や菜箸等の道具が数種類召喚出来たと話た。

何故お茶?と

疑問に思われて

お茶は(うどんに関わる)に該当しないと今さら気づき内心慌てたが

麺に練り込んだりかりんとうというお菓子を販売するのに試作で作っていた最中だったからじゃないかと思うと濁して説明した。

結果、

何故かかりんとうにくいついたレオナルドさんの要求に答えて、
かりんとうも作る事になってしまった。

どうせ天ぷらをするつもりだったから次いでに揚げればいいので別に良いのだが、

何故作るところを見たいのか?

お菓子を作っているところを見た事がないから見て見たい?

いつも食事を作っているところも見たかった?

本当は手伝いたい?

まぁ、見るのはイイけど今日は手伝ってもらう作業はほぼないですよ?

だって天ぷらの食材もうどんも召喚した物だから天ぷら揚げるだけだし、

温かいか冷たいかで

出汁を温めるかするだけで

薬味も処理済み召喚だし?


はい、どうぞ見て下さい。

そんな子犬の様な眼差しで見られても

揚げたうどんに抹茶を混ぜるしかありませんよ?



…確か抹茶ミルクの素も召喚したはずだよね?

本当はアレだけで使用するんだけど

誤魔化す為にフードプロセッサーを隠れて召喚して
 
お茶の葉を粉砕して混ぜ込むしかないかな?

そうとなれば早速開始しよう!

まずは召喚する為にレオナルドさんは着替えて手洗いを済ませて来て下さい!
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

森だった 確かに自宅近くで犬のお散歩してたのに。。ここ  どこーーーー

ポチ
ファンタジー
何か 私的には好きな場所だけど 安全が確保されてたらの話だよそれは 犬のお散歩してたはずなのに 何故か寝ていた。。おばちゃんはどうすれば良いのか。。 何だか10歳になったっぽいし あらら 初めて書くので拙いですがよろしくお願いします あと、こうだったら良いなー だらけなので、ご都合主義でしかありません。。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシャリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

処理中です...