3 / 20
我が愛の理について
しおりを挟む
カフェのレジでそれぞれの支払いを終えた2人は現在、シャリムが宿泊しているホテルのツインルームに居た。
「あのさ、シャリム。お付きの人とかはどこに居るの」
「居ませんよ。たかが王位請求者如きにそんな贅沢な」
では何故わざわざ1人で、ベッドが2台もあるツインルームを取っているのか? シャハルはそこに、シャリムの絶対的自信を垣間見た。
「それではこれから、自分と貴方の今後について話し合いましょうか。まず初めに伝えておきますが、自分は非性愛者です。貴方に恋愛感情を抱いていますが、そこに性的な欲求はありません」
「それじゃ、僕は手も握らせなくていい訳だ。良いねー、気が楽で」
「流石にそれは、手はちゃんと握らせて下さいよ。自分だってまだ、何処まで行けるか判断がつかないんです。普段は百合で抜いてるので、まあ後継者問題は発生しないと思うんですけど」
「これって遊び? 君ってまだ婚約者とか居ないの?」
「遊びな訳無いでしょう! 婚約者はこれからです。でも、とにかく冷たい女じゃないと。下らない自己感情に支配されて、貴方に迷惑を掛けるような人間は願い下げです」
「だったらロミネ・ハルサナワに頼むと良いよ。あの人はとにかく顔が広くて、ついでに血も涙も無い人間だから……って、何脱いでんの?」
「とりあえず裸でベッドに寝れば、何かエロティックかなあと思って。あ、触ります?」
シャハルは深く溜息を吐き、服を着る様に言った。シャリムが残念がるのを放置して、あれこれ検索したシャハルは、シャリムに幾つか動画を見せた。
【Tea Consent】
https://m.youtube.com/watch?v=oQbei5JGiT8
【consent for kids】
https://m.youtube.com/watch?v=h3nhM9UlJjc
【Pubertet (1:8): Hvordan starter det? // Puberty: How does it start?】以下省略
https://m.youtube.com/watch?v=HyWRalwqq24&feature=emb_title&time_continue=54&has_verified=1
「何だかまどろっこしいなあ、自分が良いって言ってるんだから良いじゃないですか。ほら、来てくださいよ。自分、結構魅力的でしょう? 母譲りのこの顔立ちだって、幼い頃からどこ行ってもキャーキャー言われるくらいですから」
「あっそう。丁度溜まってたんだよね、ありがとう」
シャハルが肩に手を掛けると、シャリムは嬉しそうに微笑んだ。
「あー、でもやっぱどうしようかな」
しかしそう言って手を引っ込めると、シャリムは不満げな顔をした。
「ゴメン、やっぱいいや。んー、でもこんな機会なかなか無いしなあ……」
「貴方ねえ! 純潔からかって楽しいですか? それとも焦らしプレイを楽しんでるんですか?」
曖昧な態度に段々苛立ってきたシャリムは、シャハルを引き寄せてベッドに寝かせた。
「だって気が変わったんだから、しょうがないだろう。僕は君の期待に応える義務なんか無いし。それとも、無理やり飲ませてみる?」
シャリムはその言葉に目を見開いた。
シャリム=ヴィンラフの親族にして、旧王室でもあるヴィンラフ一族は、以前までは連邦病院の特別病棟を貸し切って生活の拠点としていた。しかし、約10年前にセーアン地方で終局を迎えた、あの一連の騒ぎ以降、旧王室の有用性を認めたシビル連邦政府が、彼等に厳重警備の邸宅を用意し、時折仕事も割り振るようになった。シャリムはシャハルを連れてそこに帰宅すると、真っ先に両親の元へ顔を出した。
邸宅の庭先で、シャリムの母、クレメンタイン=ステラ・マリスは爪を研ぎ、シャリムの父で元精神科医のネルガル=ヴィンラフは、副業である全国紙のお悩み相談コーナーの原稿を書いていた。
「ようやく口説き落としました。シャハルには後々、我が子の家庭教師にでもなって貰います」
「まだ産まれてすらいないじゃない。大体貴方、結婚相手は?」
「ご安心下さい、これからヨウゼン議員の義母殿に紹介していただきます。子供は神の思し召しですが、優秀な家庭教師は早めに予約しておかないと。他に持って行かれては困りますし。そうですよね、お父様?」
「あー、息子が大変すまない。だがちょうど離婚したんだろう? ついでだからここに住んだらいい。部屋が無駄に余って管理が行き届かないんだ……君は本業のドキュメンタリー制作で取材に行くから、実質的にはどこに住んでも構わないんだろう?」
「あのさ、シャリム。お付きの人とかはどこに居るの」
「居ませんよ。たかが王位請求者如きにそんな贅沢な」
では何故わざわざ1人で、ベッドが2台もあるツインルームを取っているのか? シャハルはそこに、シャリムの絶対的自信を垣間見た。
「それではこれから、自分と貴方の今後について話し合いましょうか。まず初めに伝えておきますが、自分は非性愛者です。貴方に恋愛感情を抱いていますが、そこに性的な欲求はありません」
「それじゃ、僕は手も握らせなくていい訳だ。良いねー、気が楽で」
「流石にそれは、手はちゃんと握らせて下さいよ。自分だってまだ、何処まで行けるか判断がつかないんです。普段は百合で抜いてるので、まあ後継者問題は発生しないと思うんですけど」
「これって遊び? 君ってまだ婚約者とか居ないの?」
「遊びな訳無いでしょう! 婚約者はこれからです。でも、とにかく冷たい女じゃないと。下らない自己感情に支配されて、貴方に迷惑を掛けるような人間は願い下げです」
「だったらロミネ・ハルサナワに頼むと良いよ。あの人はとにかく顔が広くて、ついでに血も涙も無い人間だから……って、何脱いでんの?」
「とりあえず裸でベッドに寝れば、何かエロティックかなあと思って。あ、触ります?」
シャハルは深く溜息を吐き、服を着る様に言った。シャリムが残念がるのを放置して、あれこれ検索したシャハルは、シャリムに幾つか動画を見せた。
【Tea Consent】
https://m.youtube.com/watch?v=oQbei5JGiT8
【consent for kids】
https://m.youtube.com/watch?v=h3nhM9UlJjc
【Pubertet (1:8): Hvordan starter det? // Puberty: How does it start?】以下省略
https://m.youtube.com/watch?v=HyWRalwqq24&feature=emb_title&time_continue=54&has_verified=1
「何だかまどろっこしいなあ、自分が良いって言ってるんだから良いじゃないですか。ほら、来てくださいよ。自分、結構魅力的でしょう? 母譲りのこの顔立ちだって、幼い頃からどこ行ってもキャーキャー言われるくらいですから」
「あっそう。丁度溜まってたんだよね、ありがとう」
シャハルが肩に手を掛けると、シャリムは嬉しそうに微笑んだ。
「あー、でもやっぱどうしようかな」
しかしそう言って手を引っ込めると、シャリムは不満げな顔をした。
「ゴメン、やっぱいいや。んー、でもこんな機会なかなか無いしなあ……」
「貴方ねえ! 純潔からかって楽しいですか? それとも焦らしプレイを楽しんでるんですか?」
曖昧な態度に段々苛立ってきたシャリムは、シャハルを引き寄せてベッドに寝かせた。
「だって気が変わったんだから、しょうがないだろう。僕は君の期待に応える義務なんか無いし。それとも、無理やり飲ませてみる?」
シャリムはその言葉に目を見開いた。
シャリム=ヴィンラフの親族にして、旧王室でもあるヴィンラフ一族は、以前までは連邦病院の特別病棟を貸し切って生活の拠点としていた。しかし、約10年前にセーアン地方で終局を迎えた、あの一連の騒ぎ以降、旧王室の有用性を認めたシビル連邦政府が、彼等に厳重警備の邸宅を用意し、時折仕事も割り振るようになった。シャリムはシャハルを連れてそこに帰宅すると、真っ先に両親の元へ顔を出した。
邸宅の庭先で、シャリムの母、クレメンタイン=ステラ・マリスは爪を研ぎ、シャリムの父で元精神科医のネルガル=ヴィンラフは、副業である全国紙のお悩み相談コーナーの原稿を書いていた。
「ようやく口説き落としました。シャハルには後々、我が子の家庭教師にでもなって貰います」
「まだ産まれてすらいないじゃない。大体貴方、結婚相手は?」
「ご安心下さい、これからヨウゼン議員の義母殿に紹介していただきます。子供は神の思し召しですが、優秀な家庭教師は早めに予約しておかないと。他に持って行かれては困りますし。そうですよね、お父様?」
「あー、息子が大変すまない。だがちょうど離婚したんだろう? ついでだからここに住んだらいい。部屋が無駄に余って管理が行き届かないんだ……君は本業のドキュメンタリー制作で取材に行くから、実質的にはどこに住んでも構わないんだろう?」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【10】はじまりの歌【完結】
ホズミロザスケ
ライト文芸
前作『【9】やりなおしの歌』の後日譚。
11月最後の大安の日。無事に婚姻届を提出した金田太介(カネダ タイスケ)と歌(ララ)。
晴れて夫婦になった二人の一日を軸に、太介はこれまでの人生を振り返っていく。
「いずれ、キミに繋がる物語」シリーズ10作目。(登場する人物が共通しています)。単品でも問題なく読んでいただけます。
※当作品は「カクヨム」「小説家になろう」にも同時掲載しております。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
空の蒼 海の碧 山の翠
佐倉 蘭
ライト文芸
アガイティーラ(ティーラ)は、南島で漁師の家に生まれた今年十五歳になる若者。
幼い頃、両親を亡くしたティーラは、その後網元の親方に引き取られ、今では島で一目置かれる漁師に成長した。
この島では十五歳になる若者が海の向こうの北島まで遠泳するという昔ながらの風習があり、今年はいよいよティーラたちの番だ。
その遠泳に、島の裏側の浜で生まれ育った別の網元の跡取り息子・クガニイルも参加することになり…
※毎日午後8時に更新します。
坂の上の本屋
ihcikuYoK
ライト文芸
カクヨムのお題企画参加用に書いたものです。
短話連作ぽくなったのでまとめました。
♯KAC20231 タグ、お題「本屋」
坂の上の本屋には父がいる ⇒ 本屋になった父親と娘の話です。
♯KAC20232 タグ、お題「ぬいぐるみ」
坂の上の本屋にはバイトがいる ⇒ 本屋のバイトが知人親子とクリスマスに関わる話です。
♯KAC20233 タグ、お題「ぐちゃぐちゃ」
坂の上の本屋には常連客がいる ⇒ 本屋の常連客が、クラスメイトとその友人たちと本屋に行く話です。
♯KAC20234 タグ、お題「深夜の散歩で起きた出来事」
坂の上の本屋のバイトには友人がいる ⇒ 本屋のバイトとその友人が、サークル仲間とブラブラする話です。
♯KAC20235 タグ、お題「筋肉」
坂の上の本屋の常連客には友人がいる ⇒ 本屋の常連客とその友人があれこれ話している話です。
♯KAC20236 タグ、お題「アンラッキー7」
坂の上の本屋の娘は三軒隣にいる ⇒ 本屋の娘とその家族の話です。
♯KAC20237 タグ、お題「いいわけ」
坂の上の本屋の元妻は三軒隣にいる ⇒ 本屋の主人と元妻の話です。
演じる家族
ことは
ライト文芸
永野未来(ながのみらい)、14歳。
大好きだったおばあちゃんが突然、いや、徐々に消えていった。
だが、彼女は甦った。
未来の双子の姉、春子として。
未来には、おばあちゃんがいない。
それが永野家の、ルールだ。
【表紙イラスト】ノーコピーライトガール様からお借りしました。
https://fromtheasia.com/illustration/nocopyrightgirl
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる