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「あいつ、狙った女性宅に夜中に忍び込んだこともあるんだ。結局同意があったということでそれも不起訴。おそらく脅されていただろう女性の証言を、俺たちは覆すことができなかった。彼女を救ってあげられなかったことが、本当にくやしかった。でも、もしかしたら今回の事で……」
相良さんの声がぼんやりと流れていく。
なんだ。そうだったんだ。
私のことを心配してくれていると思い込んで、一人で浮かれてた。
ばかみたい。すべて、小野先生を捕まえるために必要なことだったのに。
私は、膝の上にのせた自分の手をみつめる。
「私を守ってくれたのも、家まで送ってくれたのも……みんなみんな、お仕事のためだったんですね」
つとめて普通に言おうとしたけど、声が震えた。
好き、になって、いたのに。
相良さんは、ただの仕事で私の相手をしてくれていたんだ。なのに、自分が特別のような気になって。
全部、私の思い込みだったのに。
無理に作った笑顔を、相良さんに向ける。
「小野先生を捕まえたのなら、もう私に用はないですね」
「浅木さん」
「あは。相良さんといて、とても、楽しかったです。でも心配しなくても、もう、声、かけません、から……」
あ、泣いちゃいそう。
「違うんだ、浅木さん。俺は……」
少し焦ったような相良さんの声。
私は、涙がこぼれないようにぎゅ、と目をつぶった。
「何が違うんですか! 全部……全部、嘘だったくせに!!」
「だからそれは……」
「それが、まるきりの嘘でもないんだな」
突然、相良さんじゃない男の人の声が聞こえて私は顔をあげた。
いつの間にか薄く部屋のドアが開いて、そこにスーツを着た男の人が一人、立っているのが見えた。
「不用心だね。小野は捕まえたけど、どこに変質者がいないとも限らない。ちゃんとドアの鍵は掛けとかないとだめじゃないか」
「諏訪さん」
相良さんも驚いているようだった。その男の人はするりと部屋に入ってくるとドアを閉めた。
相良さんの声がぼんやりと流れていく。
なんだ。そうだったんだ。
私のことを心配してくれていると思い込んで、一人で浮かれてた。
ばかみたい。すべて、小野先生を捕まえるために必要なことだったのに。
私は、膝の上にのせた自分の手をみつめる。
「私を守ってくれたのも、家まで送ってくれたのも……みんなみんな、お仕事のためだったんですね」
つとめて普通に言おうとしたけど、声が震えた。
好き、になって、いたのに。
相良さんは、ただの仕事で私の相手をしてくれていたんだ。なのに、自分が特別のような気になって。
全部、私の思い込みだったのに。
無理に作った笑顔を、相良さんに向ける。
「小野先生を捕まえたのなら、もう私に用はないですね」
「浅木さん」
「あは。相良さんといて、とても、楽しかったです。でも心配しなくても、もう、声、かけません、から……」
あ、泣いちゃいそう。
「違うんだ、浅木さん。俺は……」
少し焦ったような相良さんの声。
私は、涙がこぼれないようにぎゅ、と目をつぶった。
「何が違うんですか! 全部……全部、嘘だったくせに!!」
「だからそれは……」
「それが、まるきりの嘘でもないんだな」
突然、相良さんじゃない男の人の声が聞こえて私は顔をあげた。
いつの間にか薄く部屋のドアが開いて、そこにスーツを着た男の人が一人、立っているのが見えた。
「不用心だね。小野は捕まえたけど、どこに変質者がいないとも限らない。ちゃんとドアの鍵は掛けとかないとだめじゃないか」
「諏訪さん」
相良さんも驚いているようだった。その男の人はするりと部屋に入ってくるとドアを閉めた。
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