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【1】ちーとにゃんこと世界樹の茶畑ドタバタドラゴン大戦争!
63にゃん
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十数日間、旅立ちの猶予が与えられた。
私は光と闇の御子としてヴォードとクリステルからその証のメダルを作ってもらえる事になった。
メダルには私が御子である事の文言およびサインが入っている。
提示すればそれぞれの教会で便宜が図ってもらえるそうだ。
王様からも証のメダルを貰った。
こちらは私が王の庇護を受ける者である事と印璽が押してある。
これによってイシュラエア王国の貴族は皆、私を丁重に扱わなければならない。
三枚のメダルはどれも小さなものだったが、鈴の隣に下げるとちゃらちゃらと音を立てる。
少し煩いけれども仕方がないだろう。
ライオットは王様に正式に騎士として任命され、その際王宮に勤めているお兄さんから実家の紋章の入ったマントと剣を貰っていた。
マントは白地に剣と世界樹の葉――剣は柄の部分が世界樹の葉になっている。
ライオットのご先祖が遺した――世界樹の精霊の加護の込められた剣だそうだ。
防具もいつもの冒険者然としたものではない。
軽量ながらも頑丈、名工によって作られたしっかりとしたミスリル製の鎧と鎖帷子を王から賜って着ている。
正装したライオットは騎士みたいで恰好良かった――いや、騎士階級だし、これが本来の彼なのかも知れない。
スィルはと言えば、遠い故郷のエルフの森…イシュランドールという場所からお父さんがやってきて、装備が届けられた。
エアルベスさんが水の転移術を使ってくれたのだ。
スィルのお父さんはなんとエルフの王様だった。スィルはお姫様だったのだ!
スィルの装備は緑を基調とした、要所要所を金属プレートで強化されたもので、唐草模様や植物モチーフが金糸銀糸で縫い取られた豪華な衣装とマントだった。
しかもその縫い取りは、守護の効果を持つものだそうだ。
風の精霊石のサークレットと手袋を加えると立派なエルフのお姫様である。
サミュエルはケット・シー保護区にあった世界樹の一つを加工して作られた杖と、世界樹の葉で染められたローブを与えられた。
ケット・シー達が大事に大事に育てていた世界樹を一本、切り倒してくれたのだ。
杖の加工の際、仕上げの磨きをかける工程は皆で少しずつ手を加えたらしい。皆の想いが込められた杖だ。
また、ローブは見かけは地味なものだったが、周囲の魔素を集め、魔法を使いやすくする効果がある。
大事に使わせて頂きます、とサミュエルは保護区の皆に頭を下げた。
また、王様からはミスリルを織り込まれたベルトと魔力抵抗のあるマントを貰っていた。
マリーシャは、光の最高司祭ヴォードから光の加護を強く込められた純白の司祭の旅装とサークレットを与えられた。
事実上の神官から司祭への出世である。
この衣装はミスリルとユニコーンの毛を編み込んであり、汚れにくく物理的・精神的な攻撃への抵抗性が強いそうだ。
サークレットにも光の守護がかかっている。
司祭が持つことを許されるという槍と錫杖の合いの子のような杖もあった。
先が槍のように尖っている事で、天からの光の加護を受けやすいとの事。
そして、ティリオン。
彼は闇の教皇クリステルを連れて帝国に戻った際、グルタニア帝及びクリステルから黒地に銀の衣装、ミスリルの鎖帷子にアダマンタイトを塗り込めた鎧と剣を貰っていた。
どれも闇の強い加護がかかっており、正装したその姿は闇の剣士といった風情だ。
皆が華麗にイメチェンしている中、私はメダルが増えただけで衣装そのものは買ってもらったお仕着せである。
姿もケット・シーのままだ。猫獣人に見える幻術はかかっていない。
もうありのままの自分で行くことに決めたのだ――雪の女王のように!
旅の面々は正装して居並ぶと…サミュエル以外、実に…チュウニビョウです。キラキラしくて目立つこと目立つこと!
***
「皆さんに旅路に水の恵みがあらんことを――」
エアルベスさんが祈る。
「ニャンコしゃん……いや、ニャンコにゃん。僕はニャンコにゃんの事好きだったにゃ……」
「俺はニャンコしゃんが生きて帰るって信じてるからにゃ!」
「ニャンコにはカリがありましゅのにゃ! わたくちにまた会いにこにゃいにゃんてしょーちしにゃいのにゃっ!」
悄然としたハチクロ、悲しみを我慢しているようなタレミミ、そして、泣きながらツンデレ言葉を吐くミミ。
出発の日――私達は皆で一緒にお茶を飲んだ後、皆に惜しまれながら見送られていた。
表向きはドラゴンの件で王国の調査団を魔族領へ派遣するためという名目となった。神権に配慮した結果だ。
旅の資金も王国からたっぷり出ている。
しかしここの人達は私を罰として魔王に差し出すために行くと知っている。
今、冒険者達は魔族領へ行く王国の調査団として集められた貴族達や王都の人々に紹介され、イシュラエア王や最高司祭の演説にお付き合いしている。
それが終わって見送りの儀式が終われば彼らは王都の門へやって来る。
ティリオンと私は大神殿を出たらまず門へ向かい、そこで待ち合わせるという訳だ。
そうそう、エアルベスさんの身の安全はイシュラエア王とヴォード最高司祭が保障してくれるそうだ。
公爵についてはイシュラエア王が何とかしてくれると言ってくれたけど、本当だろうか?
「ニャンコ、行くぞ」
ハチクロとタレミミと握手し、しばらく会えないミミのもっふぁもっふぁを補充していると、ティリオンが促す。
私達はエアルベスさん達に手を振って歩き出し、大神殿を後にした。
私は光と闇の御子としてヴォードとクリステルからその証のメダルを作ってもらえる事になった。
メダルには私が御子である事の文言およびサインが入っている。
提示すればそれぞれの教会で便宜が図ってもらえるそうだ。
王様からも証のメダルを貰った。
こちらは私が王の庇護を受ける者である事と印璽が押してある。
これによってイシュラエア王国の貴族は皆、私を丁重に扱わなければならない。
三枚のメダルはどれも小さなものだったが、鈴の隣に下げるとちゃらちゃらと音を立てる。
少し煩いけれども仕方がないだろう。
ライオットは王様に正式に騎士として任命され、その際王宮に勤めているお兄さんから実家の紋章の入ったマントと剣を貰っていた。
マントは白地に剣と世界樹の葉――剣は柄の部分が世界樹の葉になっている。
ライオットのご先祖が遺した――世界樹の精霊の加護の込められた剣だそうだ。
防具もいつもの冒険者然としたものではない。
軽量ながらも頑丈、名工によって作られたしっかりとしたミスリル製の鎧と鎖帷子を王から賜って着ている。
正装したライオットは騎士みたいで恰好良かった――いや、騎士階級だし、これが本来の彼なのかも知れない。
スィルはと言えば、遠い故郷のエルフの森…イシュランドールという場所からお父さんがやってきて、装備が届けられた。
エアルベスさんが水の転移術を使ってくれたのだ。
スィルのお父さんはなんとエルフの王様だった。スィルはお姫様だったのだ!
スィルの装備は緑を基調とした、要所要所を金属プレートで強化されたもので、唐草模様や植物モチーフが金糸銀糸で縫い取られた豪華な衣装とマントだった。
しかもその縫い取りは、守護の効果を持つものだそうだ。
風の精霊石のサークレットと手袋を加えると立派なエルフのお姫様である。
サミュエルはケット・シー保護区にあった世界樹の一つを加工して作られた杖と、世界樹の葉で染められたローブを与えられた。
ケット・シー達が大事に大事に育てていた世界樹を一本、切り倒してくれたのだ。
杖の加工の際、仕上げの磨きをかける工程は皆で少しずつ手を加えたらしい。皆の想いが込められた杖だ。
また、ローブは見かけは地味なものだったが、周囲の魔素を集め、魔法を使いやすくする効果がある。
大事に使わせて頂きます、とサミュエルは保護区の皆に頭を下げた。
また、王様からはミスリルを織り込まれたベルトと魔力抵抗のあるマントを貰っていた。
マリーシャは、光の最高司祭ヴォードから光の加護を強く込められた純白の司祭の旅装とサークレットを与えられた。
事実上の神官から司祭への出世である。
この衣装はミスリルとユニコーンの毛を編み込んであり、汚れにくく物理的・精神的な攻撃への抵抗性が強いそうだ。
サークレットにも光の守護がかかっている。
司祭が持つことを許されるという槍と錫杖の合いの子のような杖もあった。
先が槍のように尖っている事で、天からの光の加護を受けやすいとの事。
そして、ティリオン。
彼は闇の教皇クリステルを連れて帝国に戻った際、グルタニア帝及びクリステルから黒地に銀の衣装、ミスリルの鎖帷子にアダマンタイトを塗り込めた鎧と剣を貰っていた。
どれも闇の強い加護がかかっており、正装したその姿は闇の剣士といった風情だ。
皆が華麗にイメチェンしている中、私はメダルが増えただけで衣装そのものは買ってもらったお仕着せである。
姿もケット・シーのままだ。猫獣人に見える幻術はかかっていない。
もうありのままの自分で行くことに決めたのだ――雪の女王のように!
旅の面々は正装して居並ぶと…サミュエル以外、実に…チュウニビョウです。キラキラしくて目立つこと目立つこと!
***
「皆さんに旅路に水の恵みがあらんことを――」
エアルベスさんが祈る。
「ニャンコしゃん……いや、ニャンコにゃん。僕はニャンコにゃんの事好きだったにゃ……」
「俺はニャンコしゃんが生きて帰るって信じてるからにゃ!」
「ニャンコにはカリがありましゅのにゃ! わたくちにまた会いにこにゃいにゃんてしょーちしにゃいのにゃっ!」
悄然としたハチクロ、悲しみを我慢しているようなタレミミ、そして、泣きながらツンデレ言葉を吐くミミ。
出発の日――私達は皆で一緒にお茶を飲んだ後、皆に惜しまれながら見送られていた。
表向きはドラゴンの件で王国の調査団を魔族領へ派遣するためという名目となった。神権に配慮した結果だ。
旅の資金も王国からたっぷり出ている。
しかしここの人達は私を罰として魔王に差し出すために行くと知っている。
今、冒険者達は魔族領へ行く王国の調査団として集められた貴族達や王都の人々に紹介され、イシュラエア王や最高司祭の演説にお付き合いしている。
それが終わって見送りの儀式が終われば彼らは王都の門へやって来る。
ティリオンと私は大神殿を出たらまず門へ向かい、そこで待ち合わせるという訳だ。
そうそう、エアルベスさんの身の安全はイシュラエア王とヴォード最高司祭が保障してくれるそうだ。
公爵についてはイシュラエア王が何とかしてくれると言ってくれたけど、本当だろうか?
「ニャンコ、行くぞ」
ハチクロとタレミミと握手し、しばらく会えないミミのもっふぁもっふぁを補充していると、ティリオンが促す。
私達はエアルベスさん達に手を振って歩き出し、大神殿を後にした。
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