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【1】ちーとにゃんこと世界樹の茶畑ドタバタドラゴン大戦争!
59にゃん
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皆が皆、スカーレットさんとジュゲムが消えた空を見つめたまま静まり返っていた。
私がエアルベスさんに近寄って服を引っ張ると、彼女はこちらを見てへなへなとへたり込む。
「ああ、ニャンコ。よく無事で……!」
「エアルベスしゃん、シンパイかけてしまってごめんなさいにゃー。世界樹の畑の池を見てたら、誰かに突き飛ばされたのにゃ。気が付いたら変なドウクツにいて、そこにドラゴンしゃんがいて、ビックリしたのにゃー」
私の言葉にエアルベスさんは周囲を見渡すと一点を見つめる。
つられてそちらを向くと、ミミがブルブルと震えていた。
「誰かに突き飛ばされた? ……ミミ、もしかしてニャンコを突き飛ばしたのはあなたですか?」
「……ごっ、ごめんにゃさいにゃ! あんにゃにフカかったにゃんて思ってにゃかったのにゃー!」
ミミは半分べそをかきはじめた。しかしエアルベスさんの厳しい視線は揺るがない。
「ミミ。謝るのは私にですか?」
「ニャンコ……ごめんにゃさいにゃ! みなしゃんも、わたくちのしぇいでメイワクかけてしまってごめんにゃしゃいにゃー!!!」
ミミはとうとう大きな声を上げてふにゃぁーんと泣き始める。
私はミミに近づいた。
「ミミ、わたちはミミとナカヨクしたいのにゃ。わたちはタレミミのことはなんとも思ってないにゃ。ミミとあらそう理由なんてないのにゃ。だからあやまる代わりにこれからはナカヨクしてちょーらいにゃっ」
言って、握手するべく手を差し伸べる。
ミミは泣きながらもその手を取ってくれた。
周囲に居たケット・シー達がパチパチと手をたたきながら、二人ともナカヨクできてよかったにゃっと口ぐちに言う。
「ニャンコ…ゆるちてくりぇてありがとうにゃっ…ふにゃぁぁぁーん!」
感動的な雰囲気の中、私はミミを抱きしめた。
もふぁぁぁっとした毛の感触を感じる――おお、これは最高級の肌触りだ!
もふもふどころかもっふぁもっふぁ!
ミミも抱きしめ返してくれたので、顔をミミの毛皮に埋めてグリグリとする。
あああ、これぞ天国!
おともだちになったのだし、これからは定期的にもっふぁもっふぁを堪能させてもらおう!
そう決意していると、ライオットの声が耳に入った。
「……スカーレットさんが自分の事を魔王だと言っていたが…」
「何故、ニャンコを連れてくるようにと……」
マリーシャさんが疑問を呈する。
「ニャンコ様は神や精霊の祝福を受けているケット・シー。その価値は計り知れません」
と、黒い豪華な装束の人がこちらに近づいて来た。
後ろにはティリオンが居るのが見える。私はゆるゆると顔を上げ、ミミを離した。
***
その人は私から少し離れた所で立ち止まると、じっと見つめてくる。
何だろうと思っていると、片膝をついて頭を下げてきた。
「にゃっ!? 何なのにゃ?」
「確かに闇の神アンシェラ様の強き御力を感じます。お初にお目にかかります。私はグルタニア帝国から参りました、闇の教皇クリステル=スヤライラと申します。闇の神アンシェラ様の祝福を受けられた御子たるニャンコ=コネコ様におかれましては、是非我が闇の大神殿にいらしていただけないでしょうか」
「にゃっ…」
何だってー!?
「――お待ちを。ニャンコ=コネコは光の神イーラ様の恩寵もまた、授かっているのを感じます。ならば、その身柄はこの光の大神殿にこそあるべきではないですか。ここは他のケット・シー達も暮らしており、同じケット・シーのニャンコも心安らかに過ごせるでしょう」
驚いていると、私の背後から横やりを入れてくる者があった。
クリステルと名乗った闇の教皇は光の最高司祭ヴォードを見つめる。
光と闇、それぞれの宗教の最高権力者は私を間に挟んで静かに睨み合っていた。
見えないけれど、何かのエネルギーのようなものがぶつかり合っているのを感じる。
なんか、非常に面倒臭い事になっているようだ。
いや、待て。そもそもスカーレットさんが言った事は。
「にゃっ、どっちもダメにゃ。わたちはマゾク領へ行かなきゃいけないにゃっ! さもないとセンソウになっちゃうにゃー!」
睨み合っていた二人ははっと我に返った。
サミュエルが来て、私を守るように抱き上げてくれる。
「ニャンコの言う通りです。何よりも先に、イシュラエア国王にご報告しなければいけないのではないでしょうか」
ドラゴンが神殿の敷地内あたりから飛び立つのを見た、との王宮からの早馬がやってきたのは丁度その時だった。
私がエアルベスさんに近寄って服を引っ張ると、彼女はこちらを見てへなへなとへたり込む。
「ああ、ニャンコ。よく無事で……!」
「エアルベスしゃん、シンパイかけてしまってごめんなさいにゃー。世界樹の畑の池を見てたら、誰かに突き飛ばされたのにゃ。気が付いたら変なドウクツにいて、そこにドラゴンしゃんがいて、ビックリしたのにゃー」
私の言葉にエアルベスさんは周囲を見渡すと一点を見つめる。
つられてそちらを向くと、ミミがブルブルと震えていた。
「誰かに突き飛ばされた? ……ミミ、もしかしてニャンコを突き飛ばしたのはあなたですか?」
「……ごっ、ごめんにゃさいにゃ! あんにゃにフカかったにゃんて思ってにゃかったのにゃー!」
ミミは半分べそをかきはじめた。しかしエアルベスさんの厳しい視線は揺るがない。
「ミミ。謝るのは私にですか?」
「ニャンコ……ごめんにゃさいにゃ! みなしゃんも、わたくちのしぇいでメイワクかけてしまってごめんにゃしゃいにゃー!!!」
ミミはとうとう大きな声を上げてふにゃぁーんと泣き始める。
私はミミに近づいた。
「ミミ、わたちはミミとナカヨクしたいのにゃ。わたちはタレミミのことはなんとも思ってないにゃ。ミミとあらそう理由なんてないのにゃ。だからあやまる代わりにこれからはナカヨクしてちょーらいにゃっ」
言って、握手するべく手を差し伸べる。
ミミは泣きながらもその手を取ってくれた。
周囲に居たケット・シー達がパチパチと手をたたきながら、二人ともナカヨクできてよかったにゃっと口ぐちに言う。
「ニャンコ…ゆるちてくりぇてありがとうにゃっ…ふにゃぁぁぁーん!」
感動的な雰囲気の中、私はミミを抱きしめた。
もふぁぁぁっとした毛の感触を感じる――おお、これは最高級の肌触りだ!
もふもふどころかもっふぁもっふぁ!
ミミも抱きしめ返してくれたので、顔をミミの毛皮に埋めてグリグリとする。
あああ、これぞ天国!
おともだちになったのだし、これからは定期的にもっふぁもっふぁを堪能させてもらおう!
そう決意していると、ライオットの声が耳に入った。
「……スカーレットさんが自分の事を魔王だと言っていたが…」
「何故、ニャンコを連れてくるようにと……」
マリーシャさんが疑問を呈する。
「ニャンコ様は神や精霊の祝福を受けているケット・シー。その価値は計り知れません」
と、黒い豪華な装束の人がこちらに近づいて来た。
後ろにはティリオンが居るのが見える。私はゆるゆると顔を上げ、ミミを離した。
***
その人は私から少し離れた所で立ち止まると、じっと見つめてくる。
何だろうと思っていると、片膝をついて頭を下げてきた。
「にゃっ!? 何なのにゃ?」
「確かに闇の神アンシェラ様の強き御力を感じます。お初にお目にかかります。私はグルタニア帝国から参りました、闇の教皇クリステル=スヤライラと申します。闇の神アンシェラ様の祝福を受けられた御子たるニャンコ=コネコ様におかれましては、是非我が闇の大神殿にいらしていただけないでしょうか」
「にゃっ…」
何だってー!?
「――お待ちを。ニャンコ=コネコは光の神イーラ様の恩寵もまた、授かっているのを感じます。ならば、その身柄はこの光の大神殿にこそあるべきではないですか。ここは他のケット・シー達も暮らしており、同じケット・シーのニャンコも心安らかに過ごせるでしょう」
驚いていると、私の背後から横やりを入れてくる者があった。
クリステルと名乗った闇の教皇は光の最高司祭ヴォードを見つめる。
光と闇、それぞれの宗教の最高権力者は私を間に挟んで静かに睨み合っていた。
見えないけれど、何かのエネルギーのようなものがぶつかり合っているのを感じる。
なんか、非常に面倒臭い事になっているようだ。
いや、待て。そもそもスカーレットさんが言った事は。
「にゃっ、どっちもダメにゃ。わたちはマゾク領へ行かなきゃいけないにゃっ! さもないとセンソウになっちゃうにゃー!」
睨み合っていた二人ははっと我に返った。
サミュエルが来て、私を守るように抱き上げてくれる。
「ニャンコの言う通りです。何よりも先に、イシュラエア国王にご報告しなければいけないのではないでしょうか」
ドラゴンが神殿の敷地内あたりから飛び立つのを見た、との王宮からの早馬がやってきたのは丁度その時だった。
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