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【1】ちーとにゃんこと世界樹の茶畑ドタバタドラゴン大戦争!
46にゃん
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高くそびえる階段状のタワー。
そういうものを見てしまえば駆け上がらずにはいられない。
ぴょんぴょん軽やかにジャンプして一番上まで来ると、周りの風景が変わって私の部屋になっていた。
目の前には愛用の箱。
箱に出たり入ったりして一人遊びをする。
と。
箱の窓の所に何か白いものがチラチラ動いている。
手を伸ばすとシャッとそれは引かれてしまった。
仕方なく手を引っ込めて見ていると、今度は黒いものが窓の所に現れてチラチラ動き出す。
手を伸ばすとまた引かれる。
白と黒、交互にそれらは現れ私を翻弄していく。
何度か繰り返してイライラが頂点に達すると、私は直接捕まえてやろうと箱の外に飛び出した!
ふわりと身体が宙に浮く。
いつの間にか周囲はパルテノン神殿のような場所になっていた。
外には太陽と月が同時に見え、空は青空から夜空までグラデーションを描き、雲が間近を流れて行った。
ここは……?
「ふふ、捕まえたぞ」
聞き覚えのある声にはっと顔を上げると、神々しい光の神の麗しきご尊顔がそこにあった。
イーラ様再び!
「我もおるぞ」
振り向くとアンシェラ様!
「に゛ゃあああ――っ!!!」
まさかの二神!?
~しばらくお待ち下さい~
散々もふもふぷにぷにされまくった後。
私はやっと解放されると彼らに向き合う事を許された。
これは夢の中だ、間違いない。
「こ、ここはどこなのですかにゃ…?」
「神界よ――神族は普段ここで過ごしておる」
アンシェラ様はその御手に先端に黒い羽のついた猫じゃらしを弄びながら答えてくれた。
イーラ様はその白バージョンを持っている。
先程チラチラしていたのはこれらだったのだ。
「ニャンコ、彼らと離れて寂しくはないか?」
「ちと心配になってのう。ニャンコと遊んで進ぜようと思うてここへ呼ばせてもろうたわ」
「少し寂しいけど…大丈夫にゃ。イーラしゃま、アンシェラしゃま…心配してくれて、ありがとうにゃ。ところで、一緒に来てくれたけど、仲が悪くはないのかにゃ?」
「ふふふ、我とイーラは夫婦ぞ。この世全て我らの子ら。勿論ニャンコの事も、わが子のように思うておる」
わが子…。
私はジーンときて、うるっとしてしまった。
そもそも自分はこの世界の存在じゃない。
だけど、二神は私の事を受け入れて愛情を注いでくれている。
その事が、嬉しい。
よし!
彼らの愛に応えるためにも思いっきり遊ぼう!
「ほれほれ」
目の前を猫じゃらしが動いて誘う。
てしっと手を動かしてもひらりと避けられる。むむっ。
「それそれ――ここはどれだけ暴れても大丈夫だ、ニャンコ。遠慮せずに遊べばよい」
全力を出しても良いぞ――そのお言葉に甘える事にする。
チート身体能力を全開にし、魔法もありのデスマッチ猫じゃらしだ!
私はそう決めると地を蹴った。
全力で駆け、全力で飛びかかり、全力で魔法を駆使し、全力で猫じゃらしを狙った――
結果。
私はぐったりと地に伏していた。
神は流石に凄かった…全力の速さを出しても魔法を使っても、ぎりぎり追いつくかどうかぐらいだった。
猫じゃらし、触れることは出来たけど捕まえることは出来なかった。
光速で動かしてるんじゃ?とさえ思う。
でも、こちらも存分に暴れることが出来てすっきりした気がする。
頭と背をそれぞれ優しく撫でてくれる手が心地よい。
「ニャンコ。お前は好きな場所で好きなように生きてよいのだ」
「我らは何時でもニャンコを見守っておるぞ」
***
「ニャンコにゃん、おはようにゃ!」
朝起きて仕事着に着替え、外へ出るとハチクロが迎えに来てくれていた。
これから朝ごはんを食べて世界樹の葉摘みの仕事である。
朝ごはんを終えると、ケット・シー達は畑の近くの空き地に集合して整列する。
畑は区画ごとに分かれており、そこを担当する班が決まっているそうだ。
私はハチクロと同じ班となった。
「ニャンコにゃん、あざやかなミドリの新芽を摘んでいくのにゃ。ふたつかみっつの葉っぱが付いてるように摘むんだにゃ」
ハチクロが説明と共に実践してくれる。
成る程、向こうの方では職員さんが鋏で深緑の硬そうなの部分を刈っているのが見える。
その後にお茶に適した新芽が生えてくるという訳だ。
「葉っぱを摘んだらカゴに入れていってちょーらいにゃ。カゴがいっぱいになったらあそこの係りの人間に持っていけばいいんだにゃ」
そうすれば新たな籠を渡してくれるようだ。
さて、頑張るか!
そういうものを見てしまえば駆け上がらずにはいられない。
ぴょんぴょん軽やかにジャンプして一番上まで来ると、周りの風景が変わって私の部屋になっていた。
目の前には愛用の箱。
箱に出たり入ったりして一人遊びをする。
と。
箱の窓の所に何か白いものがチラチラ動いている。
手を伸ばすとシャッとそれは引かれてしまった。
仕方なく手を引っ込めて見ていると、今度は黒いものが窓の所に現れてチラチラ動き出す。
手を伸ばすとまた引かれる。
白と黒、交互にそれらは現れ私を翻弄していく。
何度か繰り返してイライラが頂点に達すると、私は直接捕まえてやろうと箱の外に飛び出した!
ふわりと身体が宙に浮く。
いつの間にか周囲はパルテノン神殿のような場所になっていた。
外には太陽と月が同時に見え、空は青空から夜空までグラデーションを描き、雲が間近を流れて行った。
ここは……?
「ふふ、捕まえたぞ」
聞き覚えのある声にはっと顔を上げると、神々しい光の神の麗しきご尊顔がそこにあった。
イーラ様再び!
「我もおるぞ」
振り向くとアンシェラ様!
「に゛ゃあああ――っ!!!」
まさかの二神!?
~しばらくお待ち下さい~
散々もふもふぷにぷにされまくった後。
私はやっと解放されると彼らに向き合う事を許された。
これは夢の中だ、間違いない。
「こ、ここはどこなのですかにゃ…?」
「神界よ――神族は普段ここで過ごしておる」
アンシェラ様はその御手に先端に黒い羽のついた猫じゃらしを弄びながら答えてくれた。
イーラ様はその白バージョンを持っている。
先程チラチラしていたのはこれらだったのだ。
「ニャンコ、彼らと離れて寂しくはないか?」
「ちと心配になってのう。ニャンコと遊んで進ぜようと思うてここへ呼ばせてもろうたわ」
「少し寂しいけど…大丈夫にゃ。イーラしゃま、アンシェラしゃま…心配してくれて、ありがとうにゃ。ところで、一緒に来てくれたけど、仲が悪くはないのかにゃ?」
「ふふふ、我とイーラは夫婦ぞ。この世全て我らの子ら。勿論ニャンコの事も、わが子のように思うておる」
わが子…。
私はジーンときて、うるっとしてしまった。
そもそも自分はこの世界の存在じゃない。
だけど、二神は私の事を受け入れて愛情を注いでくれている。
その事が、嬉しい。
よし!
彼らの愛に応えるためにも思いっきり遊ぼう!
「ほれほれ」
目の前を猫じゃらしが動いて誘う。
てしっと手を動かしてもひらりと避けられる。むむっ。
「それそれ――ここはどれだけ暴れても大丈夫だ、ニャンコ。遠慮せずに遊べばよい」
全力を出しても良いぞ――そのお言葉に甘える事にする。
チート身体能力を全開にし、魔法もありのデスマッチ猫じゃらしだ!
私はそう決めると地を蹴った。
全力で駆け、全力で飛びかかり、全力で魔法を駆使し、全力で猫じゃらしを狙った――
結果。
私はぐったりと地に伏していた。
神は流石に凄かった…全力の速さを出しても魔法を使っても、ぎりぎり追いつくかどうかぐらいだった。
猫じゃらし、触れることは出来たけど捕まえることは出来なかった。
光速で動かしてるんじゃ?とさえ思う。
でも、こちらも存分に暴れることが出来てすっきりした気がする。
頭と背をそれぞれ優しく撫でてくれる手が心地よい。
「ニャンコ。お前は好きな場所で好きなように生きてよいのだ」
「我らは何時でもニャンコを見守っておるぞ」
***
「ニャンコにゃん、おはようにゃ!」
朝起きて仕事着に着替え、外へ出るとハチクロが迎えに来てくれていた。
これから朝ごはんを食べて世界樹の葉摘みの仕事である。
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畑は区画ごとに分かれており、そこを担当する班が決まっているそうだ。
私はハチクロと同じ班となった。
「ニャンコにゃん、あざやかなミドリの新芽を摘んでいくのにゃ。ふたつかみっつの葉っぱが付いてるように摘むんだにゃ」
ハチクロが説明と共に実践してくれる。
成る程、向こうの方では職員さんが鋏で深緑の硬そうなの部分を刈っているのが見える。
その後にお茶に適した新芽が生えてくるという訳だ。
「葉っぱを摘んだらカゴに入れていってちょーらいにゃ。カゴがいっぱいになったらあそこの係りの人間に持っていけばいいんだにゃ」
そうすれば新たな籠を渡してくれるようだ。
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