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【1】ちーとにゃんこと世界樹の茶畑ドタバタドラゴン大戦争!
44にゃん
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"おっ――お前かあああああああっっっ!!!"
サラマンダーがウンディーネを指差して怒鳴る。
そりゃそうだろう。ドラゴン誘拐の犯人なのだから。
"何ですの? 愛し子がドラゴンを捕らえて来て欲しいと願ったら叶えて差し上げるのが私達精霊というものですわ"
しかしウンディーネはしらっとしたものである。
"世界樹の栽培も規模が大きくなってきて、愛し子の負担が大きくなってきてましたわ。そうしたらギュンター公爵とかいう貴族がやってきて愛し子に申しましたの。
ドラゴンを水の精霊に命じて捕らえ、世界樹の地下の空間に閉じ込めておけ。そうすればドラゴンから魔素が世界樹に吸われ、世界樹の成長の助けになる。同時に活動に魔素を必要とするドラゴンも暴れる事は出来ない、と"
ギュンター公爵って、スカーレットさんが言ってた、あの股間剣ヒュペルト様の父親だったよね?
「ちょ、ちょっと待ってちょーらいにゃっ!」
"あら、可愛らしい。もしかして、私達の事見えてまして? あなたは新しく入った子ではありませんの"
「勿論見えてるし声も聞こえるにゃ。ニャンコ=コネコにゃ、はじめましてなのにゃっ!」
"はい、はじめまして。水の精霊王ウンディーネと申しますわ"
焦っていても礼儀は大事。特にウンディーネはそういうのに厳しそうだ。
挨拶をすると、彼女は優雅に返礼してくれた。
「さっきの話だけど、ドラゴンは危なくないのかにゃ? 水の愛し子は反対しなかったのかにゃー?」
"ええ、勿論反対しましたわ。危険ではないかと愛し子は言ったのだけれど、水に浸しておけばドラゴンはまともに動けないから大丈夫だと言われてしまいましたの。
そしてドラゴンが死ぬ前に元の場所に返してまた他のドラゴンを捕らえてくればいい――それは、国の命令でもあったそうですわ。
愛し子は仕方なくケット・シー達を一時的に結界外に避難させて私にドラゴンを捕らえて来させ、地下の洞窟に放り込んだという訳ですの"
「にゃー…ドラゴンを返さないと人間はマゾクを敵に回したことになっちゃうにゃー」
"え…そうなんですの?"
"そうだ。ドラゴンは魔族国家に管理されている生物だ。それを勝手に攫ってきたとあれば人間の国家は魔族の国家に喧嘩を売った事になる"
"そう言えばあん畜生の愛し子は……ああ、それよりもどうしましょう?今の世界樹の畑はドラゴンなくしては維持できませんわ…"
ウンディーネは頭を抱えてしまった。その肩をノームがぽんぽんと叩く。
"ニャンコに頼めばいいんでないかとおもうのじゃー"
"どういうことですの?"
"首の鈴をみてみるのじゃー"
ノームの言葉に彼女は私の首の鈴を見る。
そして悲鳴を押し殺すかのように口に手をあて、目を瞠っている。
"っ――凄まじい神力を感じますわ!それに、三人の精霊石!? だから結界を越えて来られたのね? というか、私だけのけ者ですの?"
"気になるのはそこなのかよ…"
サラマンダーが呆れたように言う。
シルフィードが私の顔の周りを飛んだ。
"ニャンコ、水の精霊を呼んでみてあげて欲しいのー"
私は頷いて口を開いた。
「『水の精霊』にゃ…」
周囲の世界樹の葉のあちこちに、水の精霊達が数え切れないほど出現する。
ウンディーネは空中を泳ぐように悶えていた。
"あ、あああん…っ! この溢れる力、確かにこの子が居ればドラゴンなんてなくてもいいわ…っ!!"
それなら良かったが……何だかエロい。
ウンディーネは一頻り悶えた後、やっぱりドラゴンは返せませんわと首を振った。
"…やっぱり無理ですわ。ギュンター公爵の手の者が餌を与えに定期的にドラゴンを見に来ておりますの。勝手にドラゴンを返せば愛し子の立場が悪くなりますわ"
"餌付けでもしようとしてやがるのかな?ギリギリの環境で生かしドラゴンのプライドを折りながら屈服させる、非力な人間のやり方としては間違っちゃいないが悪趣味極まりないな"
"問題は、ドラゴンを支配して何をしようとしてるのかってことよねー!"
"ただ世界樹に魔素を供給する目的だけではないのは確かなのじゃー"
うん、私もそう思う。
ただ、勝手に返すと水の愛し子に迷惑が掛かるというのならば、最良の方法を探るためにまずは情報収集かな。
うーん……水の愛し子に接触して、ギュンター公爵の事とか聞き出せないだろうか。
「そう言えば、水の精霊の愛し子って誰なのにゃ?」
聞くと、ウンディーネは小首を傾げた。
"あら、ニャンコはもう会っている筈ですわよ。私の愛し子は、ケット・シー保護区施設長エアルベス=アウレヴァッサですわ"
エアルベスさん!?
サラマンダーがウンディーネを指差して怒鳴る。
そりゃそうだろう。ドラゴン誘拐の犯人なのだから。
"何ですの? 愛し子がドラゴンを捕らえて来て欲しいと願ったら叶えて差し上げるのが私達精霊というものですわ"
しかしウンディーネはしらっとしたものである。
"世界樹の栽培も規模が大きくなってきて、愛し子の負担が大きくなってきてましたわ。そうしたらギュンター公爵とかいう貴族がやってきて愛し子に申しましたの。
ドラゴンを水の精霊に命じて捕らえ、世界樹の地下の空間に閉じ込めておけ。そうすればドラゴンから魔素が世界樹に吸われ、世界樹の成長の助けになる。同時に活動に魔素を必要とするドラゴンも暴れる事は出来ない、と"
ギュンター公爵って、スカーレットさんが言ってた、あの股間剣ヒュペルト様の父親だったよね?
「ちょ、ちょっと待ってちょーらいにゃっ!」
"あら、可愛らしい。もしかして、私達の事見えてまして? あなたは新しく入った子ではありませんの"
「勿論見えてるし声も聞こえるにゃ。ニャンコ=コネコにゃ、はじめましてなのにゃっ!」
"はい、はじめまして。水の精霊王ウンディーネと申しますわ"
焦っていても礼儀は大事。特にウンディーネはそういうのに厳しそうだ。
挨拶をすると、彼女は優雅に返礼してくれた。
「さっきの話だけど、ドラゴンは危なくないのかにゃ? 水の愛し子は反対しなかったのかにゃー?」
"ええ、勿論反対しましたわ。危険ではないかと愛し子は言ったのだけれど、水に浸しておけばドラゴンはまともに動けないから大丈夫だと言われてしまいましたの。
そしてドラゴンが死ぬ前に元の場所に返してまた他のドラゴンを捕らえてくればいい――それは、国の命令でもあったそうですわ。
愛し子は仕方なくケット・シー達を一時的に結界外に避難させて私にドラゴンを捕らえて来させ、地下の洞窟に放り込んだという訳ですの"
「にゃー…ドラゴンを返さないと人間はマゾクを敵に回したことになっちゃうにゃー」
"え…そうなんですの?"
"そうだ。ドラゴンは魔族国家に管理されている生物だ。それを勝手に攫ってきたとあれば人間の国家は魔族の国家に喧嘩を売った事になる"
"そう言えばあん畜生の愛し子は……ああ、それよりもどうしましょう?今の世界樹の畑はドラゴンなくしては維持できませんわ…"
ウンディーネは頭を抱えてしまった。その肩をノームがぽんぽんと叩く。
"ニャンコに頼めばいいんでないかとおもうのじゃー"
"どういうことですの?"
"首の鈴をみてみるのじゃー"
ノームの言葉に彼女は私の首の鈴を見る。
そして悲鳴を押し殺すかのように口に手をあて、目を瞠っている。
"っ――凄まじい神力を感じますわ!それに、三人の精霊石!? だから結界を越えて来られたのね? というか、私だけのけ者ですの?"
"気になるのはそこなのかよ…"
サラマンダーが呆れたように言う。
シルフィードが私の顔の周りを飛んだ。
"ニャンコ、水の精霊を呼んでみてあげて欲しいのー"
私は頷いて口を開いた。
「『水の精霊』にゃ…」
周囲の世界樹の葉のあちこちに、水の精霊達が数え切れないほど出現する。
ウンディーネは空中を泳ぐように悶えていた。
"あ、あああん…っ! この溢れる力、確かにこの子が居ればドラゴンなんてなくてもいいわ…っ!!"
それなら良かったが……何だかエロい。
ウンディーネは一頻り悶えた後、やっぱりドラゴンは返せませんわと首を振った。
"…やっぱり無理ですわ。ギュンター公爵の手の者が餌を与えに定期的にドラゴンを見に来ておりますの。勝手にドラゴンを返せば愛し子の立場が悪くなりますわ"
"餌付けでもしようとしてやがるのかな?ギリギリの環境で生かしドラゴンのプライドを折りながら屈服させる、非力な人間のやり方としては間違っちゃいないが悪趣味極まりないな"
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うん、私もそう思う。
ただ、勝手に返すと水の愛し子に迷惑が掛かるというのならば、最良の方法を探るためにまずは情報収集かな。
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聞くと、ウンディーネは小首を傾げた。
"あら、ニャンコはもう会っている筈ですわよ。私の愛し子は、ケット・シー保護区施設長エアルベス=アウレヴァッサですわ"
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