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【1】ちーとにゃんこと世界樹の茶畑ドタバタドラゴン大戦争!
16にゃん
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「ニャンコ、そのおまじない…いえ、呪文は!?」
驚いて問いただすサミュエルに構わず、私は全身の力を抜く。
そのままコテンと後ろのマリーシャにもたれ掛かった。
「オマジナイしたら疲れたにゃ…もう寝るにゃー」
追及される前に瞳を閉じ、ひたすら寝たふりに徹する。
サミュエルは私を起こそうとしたが、他の三人に窘められて諦めていた。
何とかなったか、ふう。
***
私はゆらゆらとした光の中で目覚めた。
いや、目覚めたのではない。
これは夢だ。寝たふりをしている内、本当に寝てしまったようだ。
「これは…」
夢だと気付いた理由。
白いワンピースを着ていた。
視界に映る大人の手足。見慣れた指のペンだこ。
どうも自分は元の世界の姿になっているようだ。
何より、語尾にオート機能で付いていた『にゃ』が付かなくなっている。
揺らめく光の中で立ち上がると、それは響いてきた。
(ニャンコよ、我は光の神イーラ)
耳で聞くのではない、心と身体全てにその声が染みこんで来て、ストンと理解する。
そんな不思議な感じ…って。
「あっ、光の神イーラ様!? ――ごめんなさい! お名前を騙ってしまって」
光の神イーラの夢だという事にした事を怒っているのだろうか?
そう思いながら、冷や汗をかきながら土下座してひたすら謝る。
慌てた私に光の神は笑ったようだった。
(よい、気にするな。お前は"因子"を持つ者らを成長へと向かわせたのだ。それにその事で成された事の栄光は我に返るようになった)
「因子?」
私の疑問に答える事はなく、イーラ様は続ける。
(何か礼をしたいのだが、お前は既にあのお方より充分な力を得ている故、どうしたものか。ニャンコよ、何を望む?)
「お礼なんて……あっ、そうだ、それなら代わりにマリーシャさんにくれませんか?」
断ろうと思ったが、やっぱり思い直した。
マリーシャさんは、今回の件で、何も出来ない自分を嘆いている節があった。
それに、彼女はこの神様を信奉している神官だから。
そういうと、光の神は了承してくれた。
(……ところでニャンコよ)
周囲の光のゆらゆらが一点に収束し、人の形を取った。
瞬間、それは光り輝く物凄い美形の男性になる。
白皙の肌、黄金の瞳――髪の毛に至っては、ゆらゆらした光の糸に見えた。
まるで精巧に作られた人形のような、無表情。
まさしく光の神、イーラの顕現――
金の眼差しでじっと見詰められて私はどきりとした。
「な、なんですかにゃ?」
え? 語尾が…
思う間も無く、私は抱き上げられる。
目と鼻の先、イーラ様の表情が極上の笑みに緩んだ。
「ふふふ、本題はこれからだ…夜は長い。存分に愛でてやろう」
「げっ、猫に戻ってるにゃ―――っっ!?」
この後めちゃくちゃフルモッフされた。
驚いて問いただすサミュエルに構わず、私は全身の力を抜く。
そのままコテンと後ろのマリーシャにもたれ掛かった。
「オマジナイしたら疲れたにゃ…もう寝るにゃー」
追及される前に瞳を閉じ、ひたすら寝たふりに徹する。
サミュエルは私を起こそうとしたが、他の三人に窘められて諦めていた。
何とかなったか、ふう。
***
私はゆらゆらとした光の中で目覚めた。
いや、目覚めたのではない。
これは夢だ。寝たふりをしている内、本当に寝てしまったようだ。
「これは…」
夢だと気付いた理由。
白いワンピースを着ていた。
視界に映る大人の手足。見慣れた指のペンだこ。
どうも自分は元の世界の姿になっているようだ。
何より、語尾にオート機能で付いていた『にゃ』が付かなくなっている。
揺らめく光の中で立ち上がると、それは響いてきた。
(ニャンコよ、我は光の神イーラ)
耳で聞くのではない、心と身体全てにその声が染みこんで来て、ストンと理解する。
そんな不思議な感じ…って。
「あっ、光の神イーラ様!? ――ごめんなさい! お名前を騙ってしまって」
光の神イーラの夢だという事にした事を怒っているのだろうか?
そう思いながら、冷や汗をかきながら土下座してひたすら謝る。
慌てた私に光の神は笑ったようだった。
(よい、気にするな。お前は"因子"を持つ者らを成長へと向かわせたのだ。それにその事で成された事の栄光は我に返るようになった)
「因子?」
私の疑問に答える事はなく、イーラ様は続ける。
(何か礼をしたいのだが、お前は既にあのお方より充分な力を得ている故、どうしたものか。ニャンコよ、何を望む?)
「お礼なんて……あっ、そうだ、それなら代わりにマリーシャさんにくれませんか?」
断ろうと思ったが、やっぱり思い直した。
マリーシャさんは、今回の件で、何も出来ない自分を嘆いている節があった。
それに、彼女はこの神様を信奉している神官だから。
そういうと、光の神は了承してくれた。
(……ところでニャンコよ)
周囲の光のゆらゆらが一点に収束し、人の形を取った。
瞬間、それは光り輝く物凄い美形の男性になる。
白皙の肌、黄金の瞳――髪の毛に至っては、ゆらゆらした光の糸に見えた。
まるで精巧に作られた人形のような、無表情。
まさしく光の神、イーラの顕現――
金の眼差しでじっと見詰められて私はどきりとした。
「な、なんですかにゃ?」
え? 語尾が…
思う間も無く、私は抱き上げられる。
目と鼻の先、イーラ様の表情が極上の笑みに緩んだ。
「ふふふ、本題はこれからだ…夜は長い。存分に愛でてやろう」
「げっ、猫に戻ってるにゃ―――っっ!?」
この後めちゃくちゃフルモッフされた。
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月見酒です。
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