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うら若き有閑貴族夫人になったからには、安穏なだらだらニート生活をしたい。【1】
グレイ・ダージリン(123)
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じっと耳を凝らして外の様子を窺っていると。
「ラブリアン辺境伯家はダージリン伯爵家、ひいては聖女マリアージュ様やキャンディ伯爵家と敵対するおつもりか!」
前脚が他者を圧倒する程の大声で叫び、続いて騎士ドナルドや修道士エヴァンが名乗りを上げながら忠告する。
馬車の中に居る僕達が何者なのか断言はせずとも理解したのだろう。
領兵達の間に動揺が走る。流石にまずいと思ったのか、領兵に命を下したと思われる男は、これは誤解であり貴人を守るための警護だと掌を返し始めた。
そうして僕達にも聞かせているのだろう、馬車を出て関所破りについて話を聞かせろという。それが無理なら目を瞑る代わりにキーマン商会に誠意を見せろと――つまり賄賂を寄越せと言って来た。
「何て奴だ……」
カレル様の呟き。僕も同感だ。
外では前脚が関所破りやそれに関わる賠償についてはラブリアン辺境伯と直々に話しあうこと、お前では話にならないから男爵を呼ぶように、と毅然とした態度で要求している。
一瞬の沈黙の後、小さな舌打ち混じりに男爵を呼ぶように命令する声が聞こえた。
先程のマリーの話では、男爵は昼間から爛れた生活をしているようだ。呼んで来たところで解決するのだろうか、とちらりとマリーを見ると、彼女は目を瞑って静かに集中している様子。
と。
「ひぃ、何だあれは!?」
沢山の羽音、そしてカラスが鳴く声。
馬車の中に居てさえ、はっきりと外の異変を感じる。そっと窺い見ると、物語に描かれる戦場の後も斯くやとばかりにカラスの大群が集まって来ていた。
そこからは形勢は一気に逆転。
ラブリアン辺境伯領兵達は自分達の数を遥かに上回るカラス達に怯えだす。怯むな、撃ち落とせと叱咤する声が聞こえるも、「恐れ多くも太陽神の化身に武器を向けるなど、神敵になりたいのか!」との前脚の怒鳴り声に領兵達の士気はすっかり挫けてしまった様子。
そうこうしている内――「男爵様が!」という声が上がる。
関所の方をよく見ようとした瞬間、不意に肩を軽く叩かれた。
振り向くと、「さあ、馬車を降りるわよ」とマリーの悪戯っぽい笑顔。
「出ても大丈夫?」
心配していると、馬車の窓が軽くノックされた。
見ると、カールとサリーナだ。大丈夫だから扉を開けるようにとマリーに言われ、僕は鍵を外すと取っ手に手を掛けた。
***
全身濡れ鼠、ちぐはぐのみっともない服装で、カラスや犬達に追われるように外へ出て来た関所の責任者ガストン男爵。
男爵は領兵を率いていた男――アントワーヌと呼びかけていた――に、カラスや犬達を殺せ、屋敷の中に悪霊のようなものがいると喚いていた。
犬達は領兵達に首輪を掴まれて大人しくなり。カラス達も男爵から離れている。「ふう、スッキリしたわ。いい仕事をした!」と上機嫌なマリー。
「残念ですがそれは出来かねます」というアントワーヌに、命令に背くのか! と怒る男爵。これでは話が進まない、と僕は一歩前へ進み出た。
「カラスも犬達も神の命令に従ったに過ぎません」
傍で僕を守るカールがそれに同意する。こちらを凄い形相で振り向いたガストン男爵は、ダージリン伯爵家を知らないと言い放った。アントワーヌが説明すると「卑しい商人上がり子爵が身分不相応に――」と口を滑らせたのだ。
うん、これは紛れもない侮辱だよね。
仮に僕が叙爵されずルフナー子爵家であったとしても下位の男爵が言っていい言葉じゃない。
こめかみがぴくぴくと動く。喧嘩を売られたと判断した僕は、商人のやり方でやってやろうと心に決めて口を開いた。
「初めまして、ガストン男爵。私はグレイ・ダージリン。名誉枢機卿であっても無名で、所詮は商人上がりの卑しい弱小伯爵です」
にっこりと商売用の笑みを浮かべながら、ガストン男爵の言葉をなぞって卑屈とも言える謙虚さを装い毒を吐く。
卿が着飾らない非常に正直な方だとラブリアン辺境伯に伝えておきましょうと言う。今更ながらに自分の置かれた状況に理解が及んだのか、ガストン男爵はブルーベリーのように青くなった。
そりゃそうだろう。
関所を預かる身であるのに新たに叙爵された伯爵を知らぬと言い、下位の男爵の身で上位の爵位持ちを愚弄したのだから。
高位の相手が高圧的に怒り狂ってくるよりも、あくまでも礼儀正しく謙虚な物言いで静かに毒を吐いて微笑みかけてくる方がずっと恐ろしさを感じる事だろう。
更には僕が名誉であるとはいえ、枢機卿でもあることを知ってしまった。慌てて自分で自分の頬を打ちながら言い訳をしようとするも、僕のやり方を察したカレル様や女王リュサイが身分を明かすことで矢継ぎ早に追い打ちを掛ける。
「聖騎士であるシーヨク家のこともお聞き及びではないようですし。ああ、ただ天に輝ける父神ソルヘリオスは私達の苦境を顧み、穢れを浄化の炎で燃やされ、カラス達を遣わして下さいました。関所の中では犬達が協力して下さったようですわね」
マリーは名乗りこそしなかったが、流石に彼女が何者なのか分かったのだろう。空を飛び回っていたカラス達が僕達の周囲に次々と降り立ち、リーダーがマリーの腕に止まると、男爵は悲鳴を上げてアントワーヌの背後に回った。
「ガストン卿、太陽神は全てをご覧になっておられます。良いことも悪いことも、例えば怠惰な豚のような誰かさんの生き様も全て、ね……」
この意味、お分かりになりまして?
マリーの微笑みと共にカラス達が一斉に鳴き声を上げ、大地が震撼する。
ガストン男爵は恐怖が限界に達したのか、鼻水と涙で顔を汚しながら失禁してしまっていた。
***
「重ね重ね、ご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんでした。まさか父の通行許可の手紙が功を奏さなかったとは……」
関所を通過した後は、数日でラブリアン辺境伯と合流出来た。
辺境伯領内では有事に手旗を使って迅速な連絡が行われると聞いていたけれど。僕達を丁寧にもてなして関所を通過させるようにとの連絡が届いたのは、ガストン男爵が失禁した後。
そこからが大変だった。アントワーヌは観念しているようだったが、ガストン男爵は生き汚いのか「どうか我が醜態はご内密に!」等と保身の為に必死に僕に懇願して悪足掻き。関所破りの件にしても、辺境伯閣下と解決されるのなら自分には無関係とばかりに問い質す事すらしてこない。本当に仕事は全くしていなかったようだ。アントワーヌにほんの少しだけ同情する。
だけどこっちとしてはもう決着が付いたも同然だし、漏らした状態で余り近付かないで欲しいというのが正直なところ。
関所でのガストン男爵に関して、ラブリアン辺境伯が然るべき処断することでそれ以上のことは不問にする代わり、関所破りやカナールの民が辺境伯領内で犯した窃盗とその賠償についても相応の賠償で手打ちにして貰う。
「それで、閣下――関所でガストン男爵に押し付けら、いえ頂いた品々ですが。こちらは領民の血税や不正な手段で贖われたものだと思いますので、閣下にお返しいたします」
下品でギラギラした装飾品や工芸品。関所だし、そういうことなのだろう。
ただ、僕もマリーもこんなもの趣味じゃないので使わないし飾る気も無い。マリーのいうところの、高価なゴミだ。
荷物にもなりますし、と言うと、眉を下げて溜息混じりに詫びられた。
「関所では、商人達も足止めされていました。アントワーヌという男が実務を取り仕切っているようですが、目を瞑って通す代わりに賄賂を要求されましたよ」
「道理でかの関所を迂回してくる商人が多いと思ったら……厳しく詮議しましょう」
理不尽な往来制限が解除されたお陰で、足止めを食らっていた商人達には特に喜ばれた。ベリエ商会に羊毛を運ぶ商人もいて、挨拶と共に感謝されたので本当に良かったと思う。
人と物の行き来、商人の往来は領地の発展にも関わって来る。
これらは賄賂と横領の証拠にもなるだろうから、有効に使って欲しいものだ。
「ラブリアン辺境伯家はダージリン伯爵家、ひいては聖女マリアージュ様やキャンディ伯爵家と敵対するおつもりか!」
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一瞬の沈黙の後、小さな舌打ち混じりに男爵を呼ぶように命令する声が聞こえた。
先程のマリーの話では、男爵は昼間から爛れた生活をしているようだ。呼んで来たところで解決するのだろうか、とちらりとマリーを見ると、彼女は目を瞑って静かに集中している様子。
と。
「ひぃ、何だあれは!?」
沢山の羽音、そしてカラスが鳴く声。
馬車の中に居てさえ、はっきりと外の異変を感じる。そっと窺い見ると、物語に描かれる戦場の後も斯くやとばかりにカラスの大群が集まって来ていた。
そこからは形勢は一気に逆転。
ラブリアン辺境伯領兵達は自分達の数を遥かに上回るカラス達に怯えだす。怯むな、撃ち落とせと叱咤する声が聞こえるも、「恐れ多くも太陽神の化身に武器を向けるなど、神敵になりたいのか!」との前脚の怒鳴り声に領兵達の士気はすっかり挫けてしまった様子。
そうこうしている内――「男爵様が!」という声が上がる。
関所の方をよく見ようとした瞬間、不意に肩を軽く叩かれた。
振り向くと、「さあ、馬車を降りるわよ」とマリーの悪戯っぽい笑顔。
「出ても大丈夫?」
心配していると、馬車の窓が軽くノックされた。
見ると、カールとサリーナだ。大丈夫だから扉を開けるようにとマリーに言われ、僕は鍵を外すと取っ手に手を掛けた。
***
全身濡れ鼠、ちぐはぐのみっともない服装で、カラスや犬達に追われるように外へ出て来た関所の責任者ガストン男爵。
男爵は領兵を率いていた男――アントワーヌと呼びかけていた――に、カラスや犬達を殺せ、屋敷の中に悪霊のようなものがいると喚いていた。
犬達は領兵達に首輪を掴まれて大人しくなり。カラス達も男爵から離れている。「ふう、スッキリしたわ。いい仕事をした!」と上機嫌なマリー。
「残念ですがそれは出来かねます」というアントワーヌに、命令に背くのか! と怒る男爵。これでは話が進まない、と僕は一歩前へ進み出た。
「カラスも犬達も神の命令に従ったに過ぎません」
傍で僕を守るカールがそれに同意する。こちらを凄い形相で振り向いたガストン男爵は、ダージリン伯爵家を知らないと言い放った。アントワーヌが説明すると「卑しい商人上がり子爵が身分不相応に――」と口を滑らせたのだ。
うん、これは紛れもない侮辱だよね。
仮に僕が叙爵されずルフナー子爵家であったとしても下位の男爵が言っていい言葉じゃない。
こめかみがぴくぴくと動く。喧嘩を売られたと判断した僕は、商人のやり方でやってやろうと心に決めて口を開いた。
「初めまして、ガストン男爵。私はグレイ・ダージリン。名誉枢機卿であっても無名で、所詮は商人上がりの卑しい弱小伯爵です」
にっこりと商売用の笑みを浮かべながら、ガストン男爵の言葉をなぞって卑屈とも言える謙虚さを装い毒を吐く。
卿が着飾らない非常に正直な方だとラブリアン辺境伯に伝えておきましょうと言う。今更ながらに自分の置かれた状況に理解が及んだのか、ガストン男爵はブルーベリーのように青くなった。
そりゃそうだろう。
関所を預かる身であるのに新たに叙爵された伯爵を知らぬと言い、下位の男爵の身で上位の爵位持ちを愚弄したのだから。
高位の相手が高圧的に怒り狂ってくるよりも、あくまでも礼儀正しく謙虚な物言いで静かに毒を吐いて微笑みかけてくる方がずっと恐ろしさを感じる事だろう。
更には僕が名誉であるとはいえ、枢機卿でもあることを知ってしまった。慌てて自分で自分の頬を打ちながら言い訳をしようとするも、僕のやり方を察したカレル様や女王リュサイが身分を明かすことで矢継ぎ早に追い打ちを掛ける。
「聖騎士であるシーヨク家のこともお聞き及びではないようですし。ああ、ただ天に輝ける父神ソルヘリオスは私達の苦境を顧み、穢れを浄化の炎で燃やされ、カラス達を遣わして下さいました。関所の中では犬達が協力して下さったようですわね」
マリーは名乗りこそしなかったが、流石に彼女が何者なのか分かったのだろう。空を飛び回っていたカラス達が僕達の周囲に次々と降り立ち、リーダーがマリーの腕に止まると、男爵は悲鳴を上げてアントワーヌの背後に回った。
「ガストン卿、太陽神は全てをご覧になっておられます。良いことも悪いことも、例えば怠惰な豚のような誰かさんの生き様も全て、ね……」
この意味、お分かりになりまして?
マリーの微笑みと共にカラス達が一斉に鳴き声を上げ、大地が震撼する。
ガストン男爵は恐怖が限界に達したのか、鼻水と涙で顔を汚しながら失禁してしまっていた。
***
「重ね重ね、ご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんでした。まさか父の通行許可の手紙が功を奏さなかったとは……」
関所を通過した後は、数日でラブリアン辺境伯と合流出来た。
辺境伯領内では有事に手旗を使って迅速な連絡が行われると聞いていたけれど。僕達を丁寧にもてなして関所を通過させるようにとの連絡が届いたのは、ガストン男爵が失禁した後。
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関所でのガストン男爵に関して、ラブリアン辺境伯が然るべき処断することでそれ以上のことは不問にする代わり、関所破りやカナールの民が辺境伯領内で犯した窃盗とその賠償についても相応の賠償で手打ちにして貰う。
「それで、閣下――関所でガストン男爵に押し付けら、いえ頂いた品々ですが。こちらは領民の血税や不正な手段で贖われたものだと思いますので、閣下にお返しいたします」
下品でギラギラした装飾品や工芸品。関所だし、そういうことなのだろう。
ただ、僕もマリーもこんなもの趣味じゃないので使わないし飾る気も無い。マリーのいうところの、高価なゴミだ。
荷物にもなりますし、と言うと、眉を下げて溜息混じりに詫びられた。
「関所では、商人達も足止めされていました。アントワーヌという男が実務を取り仕切っているようですが、目を瞑って通す代わりに賄賂を要求されましたよ」
「道理でかの関所を迂回してくる商人が多いと思ったら……厳しく詮議しましょう」
理不尽な往来制限が解除されたお陰で、足止めを食らっていた商人達には特に喜ばれた。ベリエ商会に羊毛を運ぶ商人もいて、挨拶と共に感謝されたので本当に良かったと思う。
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