貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。

譚音アルン

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うら若き有閑貴族夫人になったからには、安穏なだらだらニート生活をしたい。【1】

ドジっ子ナーテ。

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***00-11-07

 え! 本当に?

 夕立の音と共に、扉を開けて入ってきたのはアシュ兄ちゃんだった。

「……どうして……?」
「そんなことより、早くここに」

 アシュ兄ちゃんは、羽織ってたマントを広げ、その中に私の身体を招き入れる。

 厚手のマントは、天井から垂れ落ちる雨も弾いてくれる。
 と、


 ガラガラガラ、ドーン!


「いやぁッ!」


 近くで雷が落ちた。

 思わず悲鳴をあげた私を、アシュ兄ちゃんが抱き寄せてくれる。震える私の頭をずっと撫で撫でして、落ち着くまで待っててくれる。


 ゴロゴロ、と音が響きつつ遠くに離れていく。

「……」

 側に、隣にアシュ兄ちゃんが居てくれる。思わず涙が溢れ出しそうになるのを、必死に堪える。


「ちょっと待ってて」

 アシュ兄ちゃんは、私をマントの中に入れたまま、部屋の隅にあった黒いストーブの蓋を開け、隣にあった薪と千切った新聞を放り込む。

 胸元から四角い箱——ライターをとりだし、千切った新聞に火を点ける。

 徐々に火が回る。

「ほら、寒かっただろ。温まりな」

 マントで上からの雨を防ぎつつ、アシュ兄ちゃんは私をストーブの正面に座らせる。

⭐︎⭐︎⭐︎
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