479 / 754
うら若き有閑貴族夫人になったからには、安穏なだらだらニート生活をしたい。【1】
グレイ・ダージリン(93)
しおりを挟む
マリーがアルバート殿下を軽く睨むようにして見、令嬢達全員が殿下目当てだったようだと口にした。
行く先々で付きまとわれて大変だった、と肩を竦める殿下。
と、そこへどこからか響いて来る拍手の音。
そちらを見ると、エスパーニャ王国のレアンドロ王子がこっちに向かってくるところだった。
婚約者であるエリーザベト皇女には一瞥もくれず、ただマリーだけを見つめて歩いて来るその姿に、嫌な予感が募る。
「まあレアンドロ殿下」
今のを見ていらしたのね、というマリー。レアンドロ王子は恥じらう彼女の前に騎士の如く片膝をついた。
「何を恥じることがございましょうか、神の娘たるお方が」
先程の聖女様は正に光り輝いて見えました、と続ける。頬を薔薇色に染めたマリーがこちらを見、視線がかちあった。
これはまるで――
マリーは困ったように礼を言う。
先程、僕は聖女の夫だと紹介した筈だけれど――どうやら僕は喧嘩を売られているらしい。
「レアンドロ殿下、聖女マリアージュ様は既婚者なのです。殿下の信仰心が篤いことは美徳ですが、人目の多いこのような場所であまり誤解されるようなことは……」
「そ、そうなのですか!?」
「先刻、こちらの名誉枢機卿グレイ・ダージリン伯爵が私の夫だとご紹介したと思うのですが……それと、エリーザベト皇女殿下もいらっしゃることですし」
「……それは大変失礼致しました」
何かを堪えるように謝罪しながら、レアンドロ王子はその時初めて僕の方を見た。一瞬だったけれど、強く睨みつけられた、と思う。しかし次の瞬間には、申し訳なさそうな表情になっていた。
――見間違いだったのか?
「いえ、分かって下されば良いのです」
仮に見間違いでなくとも、相手は大国の王子殿下だ。
事を荒立てることは望まないので、僕は矛を出す事なく穏やかな笑みを崩さなかった。
それから、レアンドロ王子の席が用意され。茶会は表向き和やかに進んで行く。
「グレイ卿はどのようにして聖女様と知り合い、結婚したのか興味がありますね」
とレアンドロ王子が切り出すと、アルバート殿下がレアンドロ殿下、と口を開く。
「グレイには兄君がいらっしゃるのですが、彼もマリーの姉君と結婚しているのですよ。言わば兄弟姉妹同士での婚姻ですね」
「……ほう」
「レアンドロ様、あの方々ですわ。ほら、私が好きな小説【赤髪の悪魔貴族は麗しき薔薇の姫とワルツを踊る】の登場人物にそっくりだとお伝えしたお二人!」
その時、マリーが少し咽た。
……実は僕も危うかった。
「ああ、あれが――失礼ですが、聖女様のご実家は伯爵家なのに、何故わざわざ子爵家と?」
レアンドロ王子の問いに、マリーはティーカップを置いて澄まし顔を作った。
「それは私が望んだからですわ。そしてアール義兄様とアナベラ姉様の仲を取り持ったのも私ですの」
「聖女様が!?」
驚愕の表情を浮かべるレアンドロ王子。
「私、今でこそこうして聖女と呼ばれておりますが、聖女としてのお役目を果たす時以外は社交界等に出るつもりはありませんの。静かで穏やかな生活を望んでいるのですわ。グレイは私の望みを体現した結婚相手でしたの」
「望めば女性としての頂点――王妃や皇妃も望めるお立場でも?」
「女性の全てが王妃や皇妃になれれば幸せなのだとお考えなのなら、それは間違いとだけ申し上げておきますわ。
少なくとも私にとってはのんびり出来ず、様々な制約や仕事を強いられるものとしか思えませんもの。私が求めるものは気楽な生活と自由――そしてそれが実現する環境ですわね」
王妃だのなんだのはごめんですわ、と断言するマリー。
「私の幸せは他の誰でもない、私が決めるもの」
その言葉に、皇女エリーザベトが呆然と「私の幸せは、私が決めるもの……」と呟いている。女王リュサイも何か思うことがあるのか同様だ。
アルバート殿下が「根本的な価値観の相違ですね。彼女は革新的でしてね――下手にちょっかいを出す男は例外なく痛い目を見るんですよ」と苦笑を浮かべている。
願わくばアルバート殿下が二度とマリーにちょっかいを出しませんように。
レアンドロ王子が僕をちらりと見た。
「グレイ卿がそれを体現していた、と?」
マリーは頷く。
「その通りですわ。お蔭様で毎日が楽しくて――ねぇ、グレイ?」
「そうだね、マリー。良い妻に恵まれた私は果報者です」
求められた同意を返し、牽制の意味で少し惚気て見せる。
聖女様とグレイ様は仲睦まじいのですわね、羨ましいですわ、等と女性陣が口々に言い、マリーは頬を染めながらころころと笑い声を上げた。
「うふふ、グレイったら」
メテオーラ嬢が呆れた表情で肩を竦めた。
「やれやれ、お腹いっぱいですわ」
「あら、もうお菓子は宜しくて?」
首を傾げたマリーに、「そういう意味じゃないわ」と返すメテオーラ嬢。皆が笑った。
「それにしても、本当に残り少なくなりましたわね。どなたか召し上がられませんか?」
見ると、確かに一つ二つ皿に残っているだけだった。
メテオーラ嬢が勧めるも、誰も手を付けようとはしない。
マリーが何かを思い出したように笑い出した。
「うふふ、何人かでこうしたお菓子などを頂く時、決まって最後に一つか二つ残りますわよね。そして何故か誰も手を出したがらない。今もそうだから、何だかおかしくて」
そう言われればそうだ。僕も何だかおかしみがじわじわとこみ上げてくる。
女王リュサイもクスクスと笑った。
「カレドニアでは、『ブラウニー』という家の精霊の伝承がありますの。こうした時、『ブラウニーへの贈り物』にするのですわ」
「まあ、素敵ですわね」
皇女エリーザベトが目を輝かせる。きっとこういう話が好きなのだろう。
「私は個人的に『遠慮の塊』と呼んでましたが、それよりは『ブラウニーへの贈り物』の方がずっと夢がありますわね――では、これはこうしましょう」
マリーはそう言って、庭園を見渡した。
やがて、リスや小鳥、カラスといった生き物が沢山姿を現す。
マリーは立ち上がり、東屋の入り口で焼き菓子を細かく砕いたものを投げてやり、「どうぞ召し上がれ」と言う。可愛らしい生き物達は一斉に手や嘴を伸ばして群がった。
キャンディ伯爵家にいるのとは違い、警戒しているのか餌を取った先から離れていく。
「まあ、可愛い!」
女性達もマリーの後ろから覗き込んで歓声を上げた。特に皇女エリーザベトは大喜びだ。
ちなみに僕の脳内では「愚民共!」と呼ばわる彼女の姿が過って大変だったけど、何とか顔に出さずに頑張った。
「はい、これでおしまい」とマリーは再び席に着く。レアンドロ王子がアルバート殿下を見、不思議そうに首を傾げた。
「随分と人馴れしているようですが、餌やりなどを定期的にしているのですか?」
「いえ、餌やりなどはしていませんよ。あのリスや小鳥達はまごうかたなき野生です。聖女である彼女が呼んだからこそ来たのでしょう」
「……何と」
アルバート殿下の回答に、レアンドロ王子はじっとマリーを見つめた。その奇妙な眼光に、僕はアーダム皇子を思い出す。レアンドロの眼差しは、あの男のマリーを見る目にそっくりだ。
行く先々で付きまとわれて大変だった、と肩を竦める殿下。
と、そこへどこからか響いて来る拍手の音。
そちらを見ると、エスパーニャ王国のレアンドロ王子がこっちに向かってくるところだった。
婚約者であるエリーザベト皇女には一瞥もくれず、ただマリーだけを見つめて歩いて来るその姿に、嫌な予感が募る。
「まあレアンドロ殿下」
今のを見ていらしたのね、というマリー。レアンドロ王子は恥じらう彼女の前に騎士の如く片膝をついた。
「何を恥じることがございましょうか、神の娘たるお方が」
先程の聖女様は正に光り輝いて見えました、と続ける。頬を薔薇色に染めたマリーがこちらを見、視線がかちあった。
これはまるで――
マリーは困ったように礼を言う。
先程、僕は聖女の夫だと紹介した筈だけれど――どうやら僕は喧嘩を売られているらしい。
「レアンドロ殿下、聖女マリアージュ様は既婚者なのです。殿下の信仰心が篤いことは美徳ですが、人目の多いこのような場所であまり誤解されるようなことは……」
「そ、そうなのですか!?」
「先刻、こちらの名誉枢機卿グレイ・ダージリン伯爵が私の夫だとご紹介したと思うのですが……それと、エリーザベト皇女殿下もいらっしゃることですし」
「……それは大変失礼致しました」
何かを堪えるように謝罪しながら、レアンドロ王子はその時初めて僕の方を見た。一瞬だったけれど、強く睨みつけられた、と思う。しかし次の瞬間には、申し訳なさそうな表情になっていた。
――見間違いだったのか?
「いえ、分かって下されば良いのです」
仮に見間違いでなくとも、相手は大国の王子殿下だ。
事を荒立てることは望まないので、僕は矛を出す事なく穏やかな笑みを崩さなかった。
それから、レアンドロ王子の席が用意され。茶会は表向き和やかに進んで行く。
「グレイ卿はどのようにして聖女様と知り合い、結婚したのか興味がありますね」
とレアンドロ王子が切り出すと、アルバート殿下がレアンドロ殿下、と口を開く。
「グレイには兄君がいらっしゃるのですが、彼もマリーの姉君と結婚しているのですよ。言わば兄弟姉妹同士での婚姻ですね」
「……ほう」
「レアンドロ様、あの方々ですわ。ほら、私が好きな小説【赤髪の悪魔貴族は麗しき薔薇の姫とワルツを踊る】の登場人物にそっくりだとお伝えしたお二人!」
その時、マリーが少し咽た。
……実は僕も危うかった。
「ああ、あれが――失礼ですが、聖女様のご実家は伯爵家なのに、何故わざわざ子爵家と?」
レアンドロ王子の問いに、マリーはティーカップを置いて澄まし顔を作った。
「それは私が望んだからですわ。そしてアール義兄様とアナベラ姉様の仲を取り持ったのも私ですの」
「聖女様が!?」
驚愕の表情を浮かべるレアンドロ王子。
「私、今でこそこうして聖女と呼ばれておりますが、聖女としてのお役目を果たす時以外は社交界等に出るつもりはありませんの。静かで穏やかな生活を望んでいるのですわ。グレイは私の望みを体現した結婚相手でしたの」
「望めば女性としての頂点――王妃や皇妃も望めるお立場でも?」
「女性の全てが王妃や皇妃になれれば幸せなのだとお考えなのなら、それは間違いとだけ申し上げておきますわ。
少なくとも私にとってはのんびり出来ず、様々な制約や仕事を強いられるものとしか思えませんもの。私が求めるものは気楽な生活と自由――そしてそれが実現する環境ですわね」
王妃だのなんだのはごめんですわ、と断言するマリー。
「私の幸せは他の誰でもない、私が決めるもの」
その言葉に、皇女エリーザベトが呆然と「私の幸せは、私が決めるもの……」と呟いている。女王リュサイも何か思うことがあるのか同様だ。
アルバート殿下が「根本的な価値観の相違ですね。彼女は革新的でしてね――下手にちょっかいを出す男は例外なく痛い目を見るんですよ」と苦笑を浮かべている。
願わくばアルバート殿下が二度とマリーにちょっかいを出しませんように。
レアンドロ王子が僕をちらりと見た。
「グレイ卿がそれを体現していた、と?」
マリーは頷く。
「その通りですわ。お蔭様で毎日が楽しくて――ねぇ、グレイ?」
「そうだね、マリー。良い妻に恵まれた私は果報者です」
求められた同意を返し、牽制の意味で少し惚気て見せる。
聖女様とグレイ様は仲睦まじいのですわね、羨ましいですわ、等と女性陣が口々に言い、マリーは頬を染めながらころころと笑い声を上げた。
「うふふ、グレイったら」
メテオーラ嬢が呆れた表情で肩を竦めた。
「やれやれ、お腹いっぱいですわ」
「あら、もうお菓子は宜しくて?」
首を傾げたマリーに、「そういう意味じゃないわ」と返すメテオーラ嬢。皆が笑った。
「それにしても、本当に残り少なくなりましたわね。どなたか召し上がられませんか?」
見ると、確かに一つ二つ皿に残っているだけだった。
メテオーラ嬢が勧めるも、誰も手を付けようとはしない。
マリーが何かを思い出したように笑い出した。
「うふふ、何人かでこうしたお菓子などを頂く時、決まって最後に一つか二つ残りますわよね。そして何故か誰も手を出したがらない。今もそうだから、何だかおかしくて」
そう言われればそうだ。僕も何だかおかしみがじわじわとこみ上げてくる。
女王リュサイもクスクスと笑った。
「カレドニアでは、『ブラウニー』という家の精霊の伝承がありますの。こうした時、『ブラウニーへの贈り物』にするのですわ」
「まあ、素敵ですわね」
皇女エリーザベトが目を輝かせる。きっとこういう話が好きなのだろう。
「私は個人的に『遠慮の塊』と呼んでましたが、それよりは『ブラウニーへの贈り物』の方がずっと夢がありますわね――では、これはこうしましょう」
マリーはそう言って、庭園を見渡した。
やがて、リスや小鳥、カラスといった生き物が沢山姿を現す。
マリーは立ち上がり、東屋の入り口で焼き菓子を細かく砕いたものを投げてやり、「どうぞ召し上がれ」と言う。可愛らしい生き物達は一斉に手や嘴を伸ばして群がった。
キャンディ伯爵家にいるのとは違い、警戒しているのか餌を取った先から離れていく。
「まあ、可愛い!」
女性達もマリーの後ろから覗き込んで歓声を上げた。特に皇女エリーザベトは大喜びだ。
ちなみに僕の脳内では「愚民共!」と呼ばわる彼女の姿が過って大変だったけど、何とか顔に出さずに頑張った。
「はい、これでおしまい」とマリーは再び席に着く。レアンドロ王子がアルバート殿下を見、不思議そうに首を傾げた。
「随分と人馴れしているようですが、餌やりなどを定期的にしているのですか?」
「いえ、餌やりなどはしていませんよ。あのリスや小鳥達はまごうかたなき野生です。聖女である彼女が呼んだからこそ来たのでしょう」
「……何と」
アルバート殿下の回答に、レアンドロ王子はじっとマリーを見つめた。その奇妙な眼光に、僕はアーダム皇子を思い出す。レアンドロの眼差しは、あの男のマリーを見る目にそっくりだ。
251
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。