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うら若き有閑貴族夫人になったからには、安穏なだらだらニート生活をしたい。【1】
狸が人に化かされる。
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狸が人に化かされる:騙すつもりが反対に騙されること。甘く見た相手から、してやられること。
----------------------------------------------------------------------------
『グレイ、全員横領に関わっている人達よ』
『分かった』
心でグレイに語り掛けると、ちらりとアイコンタクトを送って来た。
無言でのやりとり。横領している領政官への対策方針は事前に決めてある。
彼はエミリュノ・ルグミラマに視線を戻すとにこりと友好的な笑みを浮かべた。
「ダージリン伯爵領の未来が関わっている人事ですし、勿論賢明な判断をしたいと思っていますよ。
貴方が懸念しているように、この領地に詳しい方を全員挿げ替えて混乱を招こうとしている訳ではないので安心してください。
そこの所はちゃんと私も分かっていますし、むしろそういう方の助けを必要としていますから。
採用に関しても、皆同じ条件で試験を課し、公平な判断を下す――長い事真面目に領政に携わって来たならば問題はないかと思いますが?」
「勿論これまでの貴方がたの働きは十分に考慮致しますわ」
私も鷹揚に扇をゆっくりと仰いで微笑む。
言葉の表面上聞いた限り、お前達は解雇しないから安心しろ、と言っているような回答である。
領政官達もそう受け取ったのか、グレイと私の言葉に安堵したような表情を浮かべた。
「それをお聞きして安心致しました。試験に関して、何かお手伝いすることがございましょうか?」
「いえ、領政に影響してはいけないと考えたからこそ私達が動いているのです。貴方がたにも結論は決まっているとはいえ、公平を期す為に形だけでも試験を受けて頂きます。それ以外ではいつも通り領政に専念して頂けると助かります」
「そう言うことでございましたか。かしこまりました……ご配慮、感謝致します」
領政官エミリュノはあっさりと引き下がる。部下達も同様だ。
『大商会の跡取りと聖女であっても所詮は世間知らずの若造と小娘か。噂は往々にして尾ひれがつくものなのは世の常なのだろう。こちらが拍子抜けするほどにちょろいものだ。警戒すべきはキャンディ伯爵だけだな』
彼らは自分達が雇用を保証されたとすっかり思い込み、こちらを舐め腐り油断しきっている。
私も拍子抜けした――言葉の真意を深読みしなかった上、あっさりとこちらの擬態に騙されてくれた彼らに。
領政官達が下がった後、入れ替わるようにして父サイモンとギャヴィンがやってきた。
「あら、ギャヴィン様。顔色が優れぬようですが、どうかされましたの?」
「先程、領政官のエミリュノ・ルグミラマが来ていたようですが……」
「はい。苦言を呈され、釘を刺されてしまいましたよ」
「危機管理に長けた方でしたわね」
勿論危機管理というのは領政のではなく自分自身の、という意味である。
私が皮肉を込めて言うと、ギャヴィンは下を向き、両手に握り拳を作った。
「私が言うのもなんですが……あの者はあまり信用なさらない方が宜しいかと存じます」
「何故でしょうか?」
「この領地では、横領が行われていました。私が収城使としてこちらにやってきて代理統治をしている内に気付いたのです。
私が調査に取り掛かって間もなく、あの男はすぐさま横領をした者達の全財産を没収して鞭打ちの上解雇した、と報告して参りました。
あまりにも早く、手際が良すぎたのです。私は彼こそが横領をしているのでは、と睨んでいるのですが……如何せん、証拠がなく」
解雇された男を探し出して事情を訊こうとするも、見つからなかったという。
だが安心しろギャヴィンよ。灯台下暗し――その男は既にこちらで所在を掴み、隠密騎士達に見張らせ確保してある。
不正の証拠である裏帳簿の在処も把握済み。
問題は――あの男が横領に手を染められた背景にあるものである。
***
文官採用試験は滞りなく行われ、一週間後の結果発表。最終個別面接にこぎつけた者達が出揃った。
勿論領政官エミリュノ・ルグミラマ以下数名もそれに数えられている。
武官の筆記・実技試験が行われた後、採点と共に文官の最終個別面接が行われる。
私とグレイ、父サイモン、ギャヴィン、そして馬の脚共をはじめとする何時ものメンバー。無理やり参加してきた修道士メイソンにイエイツ、そして採用試験に興味を示したオス麿と大導師フゼイフェ、加えて特別なとある面接官を用意したその面接の場。
そこに入って来た領政官エミリュノは、愕然とした表情で面接官を指差して、開口一番こう叫んだ。
「何故お前がここに居るのだ、クロヴラン・ピュトロワ!」
「言動を慎まれた方が宜しいのでは? グレイ伯爵閣下とご夫人の前で無礼ですよ。ましてや今は最終面接なのですから」
クロヴランと呼ばれた神経質そうな細身の男は、片眼鏡を直しながら片眉を上げて小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
エミリュノは顔を顰めてこちらに視線を移した。
「グレイ・ダージリン伯爵閣下、そして聖女マリアージュ様! この男が何故ここに居るのですか! 彼はこの領で横領を行った男なのですよ!」
「おかしいですね。私が彼に話を聞いた限りでは、貴方に証拠をでっち上げられ一方的に罪に問われ鞭打たれたと言っていますが」
すっとぼけて首を傾げるグレイ。私も世間話をするかのように扇をばさりと開く。
「そうそう、つい最近ね、怪しげな男達がうろついている森の中の小屋に監禁されていらっしゃったご一家を私の騎士達が助け出して来たのですけれど。
老夫婦に女性、子供二人。女性に事情を訊けば、クロヴラン・ピュトロワと共に領政官補佐をしていた彼女の夫パトリュック・カルカイムを言いなりにするための人質として囚われていたんですって――領政官エミリュノ・ルグミラマとかいう男に」
室内の視線がエミリュノに一斉に突き刺さる。
そう、クロヴランはこの城の牢の奥に厳重に監禁されていた。解雇されて行方不明になったのではなかったのだ。しかも見苦しい場所に貴人が牢に近付くことのないように、と衛兵に言い含められていた。エミリュノの耳に入らぬように助け出したのは隠密騎士と侍女達である。
エミリュノは慌てた様子で口を開いた。
「致し方なかったのです! 領政官補佐パトリュックはクロヴランと仲が良く、共に横領に手を染めていた可能性がございました。
しかし確たる証拠はなく……多少手荒な手段ではありましたが、人質を取って下手な事は出来ぬよう監視するしかありませんでした。やむを得ぬことだったのです!」
咄嗟にそれだけの言い訳を考え付くのは大したものだと思うが。
「苦しい言い訳ですわね」
本当にそうならば領政官補佐パトリック解雇して別の者を補佐官にした筈。
しかしそうしなかったのは、エミリュノとその取り巻きが楽をしたかったから。ある程度真面目に働く官吏達が必要だと理解していてキープしたのだ。それに次に横領を疑われた時に罪を着せる人間も必要になる。
「領政官エミリュノ・ルグミラマ。残念ですが貴方は不合格です」
グレイが面接結果を申し渡すと、エミリュノの顔が憤りに赤くなり歪められる。
「はっ? 何故私が不合格なのですか!」
「それはご自身の胸に訊いてみればどうですか?」
合図を受け、カールが傭兵ピーターから黒い革張りの本を受け取ってグレイに渡した。
「! それは……」
「ああこれ、城の探索を命じた者がつい今朝見つけたのですが。中身を改めてみて驚きましたよ。貴方が横領に携わっていた証拠の裏帳簿だったのですから。後、貴方が本当の主から受け取った手紙が数十通程でしょうか」
――私、商会の仕事に携わっているので帳簿を見るのは得意なんですよ。
そう満面の笑みでわざとらしく裏帳簿をパラパラと捲ってみせるグレイに領政官エミリュノは顔面蒼白になった。
「な、何故見つかって……絶対に見つからぬ場所に隠していた筈!」
「――城の隠し通路、目の付きにくい下方の煉瓦を抜き取った中に作られた保管庫。普段人が使わない場所だからこそ、不自然な痕跡が目立っていたそうですわよ?」
私がクスクスと笑うと、前脚と後ろ脚が前へ一歩進み出る。
「とうとう自白したな」
「神の娘たる聖女様の前ではいかなる罪科も丸裸になる。神妙にお縄につくことだ」
厳かに審判を下す馬の脚共にエミリュノはへなへなと床に崩れ落ちた。
「……そ、そんな」
「不合格になった者達はそれ相応の理由があるという事です。それ以上説明が必要とも思いませんが」
「詰みですわ」
私は手で銃を形作って「バン」とジェスチャーをする。
返す言葉もなく呆然としている領政官エミリュノ。
抵抗する気力もないのか、大人しく縄が掛けられ御用と相成ったのであった。
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『グレイ、全員横領に関わっている人達よ』
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心でグレイに語り掛けると、ちらりとアイコンタクトを送って来た。
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彼はエミリュノ・ルグミラマに視線を戻すとにこりと友好的な笑みを浮かべた。
「ダージリン伯爵領の未来が関わっている人事ですし、勿論賢明な判断をしたいと思っていますよ。
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「勿論これまでの貴方がたの働きは十分に考慮致しますわ」
私も鷹揚に扇をゆっくりと仰いで微笑む。
言葉の表面上聞いた限り、お前達は解雇しないから安心しろ、と言っているような回答である。
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「そう言うことでございましたか。かしこまりました……ご配慮、感謝致します」
領政官エミリュノはあっさりと引き下がる。部下達も同様だ。
『大商会の跡取りと聖女であっても所詮は世間知らずの若造と小娘か。噂は往々にして尾ひれがつくものなのは世の常なのだろう。こちらが拍子抜けするほどにちょろいものだ。警戒すべきはキャンディ伯爵だけだな』
彼らは自分達が雇用を保証されたとすっかり思い込み、こちらを舐め腐り油断しきっている。
私も拍子抜けした――言葉の真意を深読みしなかった上、あっさりとこちらの擬態に騙されてくれた彼らに。
領政官達が下がった後、入れ替わるようにして父サイモンとギャヴィンがやってきた。
「あら、ギャヴィン様。顔色が優れぬようですが、どうかされましたの?」
「先程、領政官のエミリュノ・ルグミラマが来ていたようですが……」
「はい。苦言を呈され、釘を刺されてしまいましたよ」
「危機管理に長けた方でしたわね」
勿論危機管理というのは領政のではなく自分自身の、という意味である。
私が皮肉を込めて言うと、ギャヴィンは下を向き、両手に握り拳を作った。
「私が言うのもなんですが……あの者はあまり信用なさらない方が宜しいかと存じます」
「何故でしょうか?」
「この領地では、横領が行われていました。私が収城使としてこちらにやってきて代理統治をしている内に気付いたのです。
私が調査に取り掛かって間もなく、あの男はすぐさま横領をした者達の全財産を没収して鞭打ちの上解雇した、と報告して参りました。
あまりにも早く、手際が良すぎたのです。私は彼こそが横領をしているのでは、と睨んでいるのですが……如何せん、証拠がなく」
解雇された男を探し出して事情を訊こうとするも、見つからなかったという。
だが安心しろギャヴィンよ。灯台下暗し――その男は既にこちらで所在を掴み、隠密騎士達に見張らせ確保してある。
不正の証拠である裏帳簿の在処も把握済み。
問題は――あの男が横領に手を染められた背景にあるものである。
***
文官採用試験は滞りなく行われ、一週間後の結果発表。最終個別面接にこぎつけた者達が出揃った。
勿論領政官エミリュノ・ルグミラマ以下数名もそれに数えられている。
武官の筆記・実技試験が行われた後、採点と共に文官の最終個別面接が行われる。
私とグレイ、父サイモン、ギャヴィン、そして馬の脚共をはじめとする何時ものメンバー。無理やり参加してきた修道士メイソンにイエイツ、そして採用試験に興味を示したオス麿と大導師フゼイフェ、加えて特別なとある面接官を用意したその面接の場。
そこに入って来た領政官エミリュノは、愕然とした表情で面接官を指差して、開口一番こう叫んだ。
「何故お前がここに居るのだ、クロヴラン・ピュトロワ!」
「言動を慎まれた方が宜しいのでは? グレイ伯爵閣下とご夫人の前で無礼ですよ。ましてや今は最終面接なのですから」
クロヴランと呼ばれた神経質そうな細身の男は、片眼鏡を直しながら片眉を上げて小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
エミリュノは顔を顰めてこちらに視線を移した。
「グレイ・ダージリン伯爵閣下、そして聖女マリアージュ様! この男が何故ここに居るのですか! 彼はこの領で横領を行った男なのですよ!」
「おかしいですね。私が彼に話を聞いた限りでは、貴方に証拠をでっち上げられ一方的に罪に問われ鞭打たれたと言っていますが」
すっとぼけて首を傾げるグレイ。私も世間話をするかのように扇をばさりと開く。
「そうそう、つい最近ね、怪しげな男達がうろついている森の中の小屋に監禁されていらっしゃったご一家を私の騎士達が助け出して来たのですけれど。
老夫婦に女性、子供二人。女性に事情を訊けば、クロヴラン・ピュトロワと共に領政官補佐をしていた彼女の夫パトリュック・カルカイムを言いなりにするための人質として囚われていたんですって――領政官エミリュノ・ルグミラマとかいう男に」
室内の視線がエミリュノに一斉に突き刺さる。
そう、クロヴランはこの城の牢の奥に厳重に監禁されていた。解雇されて行方不明になったのではなかったのだ。しかも見苦しい場所に貴人が牢に近付くことのないように、と衛兵に言い含められていた。エミリュノの耳に入らぬように助け出したのは隠密騎士と侍女達である。
エミリュノは慌てた様子で口を開いた。
「致し方なかったのです! 領政官補佐パトリュックはクロヴランと仲が良く、共に横領に手を染めていた可能性がございました。
しかし確たる証拠はなく……多少手荒な手段ではありましたが、人質を取って下手な事は出来ぬよう監視するしかありませんでした。やむを得ぬことだったのです!」
咄嗟にそれだけの言い訳を考え付くのは大したものだと思うが。
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本当にそうならば領政官補佐パトリック解雇して別の者を補佐官にした筈。
しかしそうしなかったのは、エミリュノとその取り巻きが楽をしたかったから。ある程度真面目に働く官吏達が必要だと理解していてキープしたのだ。それに次に横領を疑われた時に罪を着せる人間も必要になる。
「領政官エミリュノ・ルグミラマ。残念ですが貴方は不合格です」
グレイが面接結果を申し渡すと、エミリュノの顔が憤りに赤くなり歪められる。
「はっ? 何故私が不合格なのですか!」
「それはご自身の胸に訊いてみればどうですか?」
合図を受け、カールが傭兵ピーターから黒い革張りの本を受け取ってグレイに渡した。
「! それは……」
「ああこれ、城の探索を命じた者がつい今朝見つけたのですが。中身を改めてみて驚きましたよ。貴方が横領に携わっていた証拠の裏帳簿だったのですから。後、貴方が本当の主から受け取った手紙が数十通程でしょうか」
――私、商会の仕事に携わっているので帳簿を見るのは得意なんですよ。
そう満面の笑みでわざとらしく裏帳簿をパラパラと捲ってみせるグレイに領政官エミリュノは顔面蒼白になった。
「な、何故見つかって……絶対に見つからぬ場所に隠していた筈!」
「――城の隠し通路、目の付きにくい下方の煉瓦を抜き取った中に作られた保管庫。普段人が使わない場所だからこそ、不自然な痕跡が目立っていたそうですわよ?」
私がクスクスと笑うと、前脚と後ろ脚が前へ一歩進み出る。
「とうとう自白したな」
「神の娘たる聖女様の前ではいかなる罪科も丸裸になる。神妙にお縄につくことだ」
厳かに審判を下す馬の脚共にエミリュノはへなへなと床に崩れ落ちた。
「……そ、そんな」
「不合格になった者達はそれ相応の理由があるという事です。それ以上説明が必要とも思いませんが」
「詰みですわ」
私は手で銃を形作って「バン」とジェスチャーをする。
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