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うら若き有閑貴族夫人になったからには、安穏なだらだらニート生活をしたい。【1】
グレイ・ダージリン(27)
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案内された先は小規模の古城。そこがシーヨク騎士爵家の館だという。
今様の建造物とは違い、歴史を感じさせる重厚さがあった。
入り口にはヴァルカー卿の奥方モニカ夫人が侍女と共に出迎えていてくれた。ヴァルカー卿曰く、隠密騎士の里はいずれも防衛を考えて作られており、城の見張り台からは草原の道が良く見えるのだという。
夫人は先頭のヴァルカー卿を見て優し気で上品な笑みを浮かべたが、後続のマリーを乗せた天馬を見るなり一瞬表情を引き攣らせたのを僕は見逃さなかった。
ですよね、と思いながら下馬する僕。
街中でも天馬はすっっごく注目を集めていたからだ。呆ける余り、前方不注意で壁に激突する人も居た。
マリーが馬を降りると、ヨハンとシュテファンも天馬を脱いで地面に置いた。
モニカ夫人は表情を取り繕うと、僕達にも挨拶をしてくれる。
ヨハンとシュテファンも晴れて故郷に錦を飾りに来たと浮ついた声を夫人に掛けていた。
「先輩達、母君に晴れ姿を見せる事が出来て嬉しそうですねー」
「うん……そうだね」
呑気なカールの言葉に生返事をする僕。
晴れ姿……夫人は天馬がどうしても気になる様子。息子達が役目をきちんと果たしているのかと訊くあたり、お察しという奴だ。
ヴァルカー卿は息子達がパレードで天馬の役割を立派に果たしたのだと嬉しそうにしている。
相槌を打ちながらも夫の正気を疑うような眼差しをしているモニカ夫人に僕は少し同情を覚えた。
時刻は丁度昼時。
館に招き入れられ、案内された食堂で僕達は昼食を頂いた。馬ノ庄産のチーズをジャガイモと混ぜ合わせたものが郷土料理だとか。
熟成させていないものを使ったというそれは、癖が無くねっとりと濃厚で美味しかった。草原や山の恵み、王都では味わえない贅沢な味だと思う。
これらの料理は何と夫人自ら作ったものだそう。騎士爵家では奥方自らが厨房に立つのは珍しくないという。うちもたまに祖母や母が腕を振るい、料理や菓子を作ってくれていたので親近感が湧く。
会話の中で、ヨハンとシュテファンのマリーへの忠誠の理由も知る事が出来た。
マリーは忘れていたようだったが、モニカ夫人は咳病を患っていたのをマリーの考えた『松葉サイダー』というものを飲んだお陰で治ったらしい。
また、ヨハンとシュテファンは昔。旅の占い師に天馬が空に駆け上がるが如く、騎士の頂点に立つ――つまり、天馬になる事と聖騎士になる事を予言されていたのだとか。
……まさか、アールの結婚を占った人と同一人物なんじゃ。
そう思いながらマリーを見ると、彼女は何かを堪えるような表情をしていた。聖騎士は兎も角、あの天馬には大いに思うところがあるのだろう。
……マリーには悪いけど、ちょっと笑いそうになった。
***
昼食後。
ヨハンとシュテファンが碌に里帰りをしていなかった事を知ったマリー。親子水入らずで話すようにと彼らを夫人の下へ残し、馬ノ庄見物に出かけた。代わりに案内をしてくれるのはヴァルカー卿だ。
仔馬のいる小さな牧場を回り、チーズ工房を回ったり教会の司祭から挨拶を受けたりした後。牛が放牧から帰って来るというので見物に行ったのだけれど、そこでちょっとした出来事があった。
安全面を考えて、柵で囲われた牧場の入り口を正面に望む場所に僕達は位置取りをする。
やがて牛達と、馬に乗って牛追いをしている小さな少年が近付いて来た。まだ下手くそなのだろう。すんでの所で牛達に逃げられ、なかなか柵の中に追い込めず手間取っている。
その子が後からやってきた年長の少年に叱られている時、マリーがいきなり変な声を出し始めた。
「な……何やってんの、マリー」
しかし彼女は構わず声を出し続ける。そうこうしている内、何故か牛達が自分から柵の中に入って来て。そしてマリーの前にずらりと並んだのだ。
「ば、馬鹿な……!」
ヴァルカー卿が目を剥いている。僕も同じ気持ちだ。
やがて牧場の入り口が閉じられると、マリーは音を出すのを止める。アルトガルが今のは何だったのかと訊ねると、『ホーミー』という歌だと答えた。
「う、歌!?」
「そうよ、別に聖女の力は使っていないわ」
エヴァン修道士が聖女の奇跡として記録に残そうとしているのを、即決で却下するマリー。だけど僕は見てしまった。牛追いの少年達が挨拶に来て、マリーと話している時に彼がこっそり手帳に書き記しているのを。
「この春に生まれた子牛が居るのですが、姫様もご覧になりませんか?」
「まあ、子牛!? 是非見たいわ」
少年達はこれから子牛の餌やりに行くという。マリーの一声で、僕達は牧場の隣にある畜舎へ移動した。
子牛の餌は干し草と野菜屑、ビートを刻んだものを混ぜ合わせて作るようだった。少年達がビートを切り刻んでいるのを見て、マリーは首を傾げる。
「……これ、まさか甜菜?」
マリーはビートを知らなかったらしい。庶民にはありふれたものでも、箱入りの伯爵家の姫君が牛や豚にやる飼料の野菜なんて知る機会は無いだろうから無理もないだろう。
ヴァルカーがビートの事を事細かに説明する。
ビートの葉は人も食べるけれど、カブに似たビートの根はえぐくて食べられたもんじゃない。
だけどマリーは説明を聞くなり、何かを思いついたようで興奮していた。まだあるのかと聞き、氷室に貯蔵されているものを幾つか欲しいと言う。
何を作るつもりなのか訊いても「良いから見てて!」とはぐらかされてしまった。
もしかして、前世の知識とやらが関係しているのだろうか。
急ぎ、館へ戻った僕達。マリーは夕食の準備をしていたモニカ夫人に調理器具を貸してほしいと頼み込む。ビートを使って素晴らしいものを作るのだと。
首を傾げるモニカ夫人。そこへヨハンとシュテファンがやってきて、手伝うと申し出た。
男は厨房に入らぬものだと眉を顰める夫人。しかし彼らは馬ノ庄の案内をヴァルカー卿に譲った事で、今のマリーの手伝いを譲る気は無いようだ。
それを見ていたマリーは厨房に視線を巡らせ、思案するように腕を組んだ。そして、夕食メニューの変更、野外での調理と食事をモニカ夫人に提案。ヨハン達が土産としてキャンディ伯爵家から貰って来た香辛料でカレーを作るつもりらしい。
まあ野外ならヨハン達が手伝っても構わないだろう。暑くも寒くもない丁度良い季節。サリーナも口添えをして、館の庭で夕食を採る事になった。
ビートは細かく切り刻まれ、鍋に沸かされた湯に入れられた。その鍋の蓋を閉めて、更に毛布で包み込む。
時間を置いた後、刻まれたビートを布で濾して湯だけを残す。それをじっくり煮詰めていくのだという。
煮詰めるのはカレーの調理と同時進行で進められる事に。僕も興味が湧いたので鍋の傍に陣取る。かき混ぜる作業はヨハンとシュテファンが交代で行う事になった。
やがてカレーが出来上がり、羊肉の串焼きに舌鼓を打ち。腹が満たされてきた時。
香辛料の香りに混じって次第に甘い匂いが広がってくる。ビートの鍋を見ていたシュテファンが、ドロドロして来たと言い始めた。
「何だかビルネルに似ておるな」
「ビルネル?」
「はい。雪山の甘味で、梨を煮詰めて作るものでございますよ」
アルトガルの言葉に、僕も鍋を覗き込む。
マリーもやってきて、薪を抜いて弱火にしてじっくり煮込むように命じた。
何だろう、まるで蜂蜜のような。このまま煮詰めて行けば――ま、まさか!
「ビートからは砂糖が作れるの!」
一つの確信を得た僕が声を震わせながらマリーに問いかけると、彼女はあっさりと認めた。
ビートはありふれた作物だ。しかも二束三文の安価。それから砂糖を作ってしまうなんて!
砂糖は貴重で薬としても扱われ、富の象徴。
パーティー等には富貴の証としての菓子や砂糖彫刻が欠かせないものになっている。
その砂糖をビートから生み出してしまうなんて。
正に錬金術だった。その儲けは何十倍……いや、何百倍にもなるだろう。
今様の建造物とは違い、歴史を感じさせる重厚さがあった。
入り口にはヴァルカー卿の奥方モニカ夫人が侍女と共に出迎えていてくれた。ヴァルカー卿曰く、隠密騎士の里はいずれも防衛を考えて作られており、城の見張り台からは草原の道が良く見えるのだという。
夫人は先頭のヴァルカー卿を見て優し気で上品な笑みを浮かべたが、後続のマリーを乗せた天馬を見るなり一瞬表情を引き攣らせたのを僕は見逃さなかった。
ですよね、と思いながら下馬する僕。
街中でも天馬はすっっごく注目を集めていたからだ。呆ける余り、前方不注意で壁に激突する人も居た。
マリーが馬を降りると、ヨハンとシュテファンも天馬を脱いで地面に置いた。
モニカ夫人は表情を取り繕うと、僕達にも挨拶をしてくれる。
ヨハンとシュテファンも晴れて故郷に錦を飾りに来たと浮ついた声を夫人に掛けていた。
「先輩達、母君に晴れ姿を見せる事が出来て嬉しそうですねー」
「うん……そうだね」
呑気なカールの言葉に生返事をする僕。
晴れ姿……夫人は天馬がどうしても気になる様子。息子達が役目をきちんと果たしているのかと訊くあたり、お察しという奴だ。
ヴァルカー卿は息子達がパレードで天馬の役割を立派に果たしたのだと嬉しそうにしている。
相槌を打ちながらも夫の正気を疑うような眼差しをしているモニカ夫人に僕は少し同情を覚えた。
時刻は丁度昼時。
館に招き入れられ、案内された食堂で僕達は昼食を頂いた。馬ノ庄産のチーズをジャガイモと混ぜ合わせたものが郷土料理だとか。
熟成させていないものを使ったというそれは、癖が無くねっとりと濃厚で美味しかった。草原や山の恵み、王都では味わえない贅沢な味だと思う。
これらの料理は何と夫人自ら作ったものだそう。騎士爵家では奥方自らが厨房に立つのは珍しくないという。うちもたまに祖母や母が腕を振るい、料理や菓子を作ってくれていたので親近感が湧く。
会話の中で、ヨハンとシュテファンのマリーへの忠誠の理由も知る事が出来た。
マリーは忘れていたようだったが、モニカ夫人は咳病を患っていたのをマリーの考えた『松葉サイダー』というものを飲んだお陰で治ったらしい。
また、ヨハンとシュテファンは昔。旅の占い師に天馬が空に駆け上がるが如く、騎士の頂点に立つ――つまり、天馬になる事と聖騎士になる事を予言されていたのだとか。
……まさか、アールの結婚を占った人と同一人物なんじゃ。
そう思いながらマリーを見ると、彼女は何かを堪えるような表情をしていた。聖騎士は兎も角、あの天馬には大いに思うところがあるのだろう。
……マリーには悪いけど、ちょっと笑いそうになった。
***
昼食後。
ヨハンとシュテファンが碌に里帰りをしていなかった事を知ったマリー。親子水入らずで話すようにと彼らを夫人の下へ残し、馬ノ庄見物に出かけた。代わりに案内をしてくれるのはヴァルカー卿だ。
仔馬のいる小さな牧場を回り、チーズ工房を回ったり教会の司祭から挨拶を受けたりした後。牛が放牧から帰って来るというので見物に行ったのだけれど、そこでちょっとした出来事があった。
安全面を考えて、柵で囲われた牧場の入り口を正面に望む場所に僕達は位置取りをする。
やがて牛達と、馬に乗って牛追いをしている小さな少年が近付いて来た。まだ下手くそなのだろう。すんでの所で牛達に逃げられ、なかなか柵の中に追い込めず手間取っている。
その子が後からやってきた年長の少年に叱られている時、マリーがいきなり変な声を出し始めた。
「な……何やってんの、マリー」
しかし彼女は構わず声を出し続ける。そうこうしている内、何故か牛達が自分から柵の中に入って来て。そしてマリーの前にずらりと並んだのだ。
「ば、馬鹿な……!」
ヴァルカー卿が目を剥いている。僕も同じ気持ちだ。
やがて牧場の入り口が閉じられると、マリーは音を出すのを止める。アルトガルが今のは何だったのかと訊ねると、『ホーミー』という歌だと答えた。
「う、歌!?」
「そうよ、別に聖女の力は使っていないわ」
エヴァン修道士が聖女の奇跡として記録に残そうとしているのを、即決で却下するマリー。だけど僕は見てしまった。牛追いの少年達が挨拶に来て、マリーと話している時に彼がこっそり手帳に書き記しているのを。
「この春に生まれた子牛が居るのですが、姫様もご覧になりませんか?」
「まあ、子牛!? 是非見たいわ」
少年達はこれから子牛の餌やりに行くという。マリーの一声で、僕達は牧場の隣にある畜舎へ移動した。
子牛の餌は干し草と野菜屑、ビートを刻んだものを混ぜ合わせて作るようだった。少年達がビートを切り刻んでいるのを見て、マリーは首を傾げる。
「……これ、まさか甜菜?」
マリーはビートを知らなかったらしい。庶民にはありふれたものでも、箱入りの伯爵家の姫君が牛や豚にやる飼料の野菜なんて知る機会は無いだろうから無理もないだろう。
ヴァルカーがビートの事を事細かに説明する。
ビートの葉は人も食べるけれど、カブに似たビートの根はえぐくて食べられたもんじゃない。
だけどマリーは説明を聞くなり、何かを思いついたようで興奮していた。まだあるのかと聞き、氷室に貯蔵されているものを幾つか欲しいと言う。
何を作るつもりなのか訊いても「良いから見てて!」とはぐらかされてしまった。
もしかして、前世の知識とやらが関係しているのだろうか。
急ぎ、館へ戻った僕達。マリーは夕食の準備をしていたモニカ夫人に調理器具を貸してほしいと頼み込む。ビートを使って素晴らしいものを作るのだと。
首を傾げるモニカ夫人。そこへヨハンとシュテファンがやってきて、手伝うと申し出た。
男は厨房に入らぬものだと眉を顰める夫人。しかし彼らは馬ノ庄の案内をヴァルカー卿に譲った事で、今のマリーの手伝いを譲る気は無いようだ。
それを見ていたマリーは厨房に視線を巡らせ、思案するように腕を組んだ。そして、夕食メニューの変更、野外での調理と食事をモニカ夫人に提案。ヨハン達が土産としてキャンディ伯爵家から貰って来た香辛料でカレーを作るつもりらしい。
まあ野外ならヨハン達が手伝っても構わないだろう。暑くも寒くもない丁度良い季節。サリーナも口添えをして、館の庭で夕食を採る事になった。
ビートは細かく切り刻まれ、鍋に沸かされた湯に入れられた。その鍋の蓋を閉めて、更に毛布で包み込む。
時間を置いた後、刻まれたビートを布で濾して湯だけを残す。それをじっくり煮詰めていくのだという。
煮詰めるのはカレーの調理と同時進行で進められる事に。僕も興味が湧いたので鍋の傍に陣取る。かき混ぜる作業はヨハンとシュテファンが交代で行う事になった。
やがてカレーが出来上がり、羊肉の串焼きに舌鼓を打ち。腹が満たされてきた時。
香辛料の香りに混じって次第に甘い匂いが広がってくる。ビートの鍋を見ていたシュテファンが、ドロドロして来たと言い始めた。
「何だかビルネルに似ておるな」
「ビルネル?」
「はい。雪山の甘味で、梨を煮詰めて作るものでございますよ」
アルトガルの言葉に、僕も鍋を覗き込む。
マリーもやってきて、薪を抜いて弱火にしてじっくり煮込むように命じた。
何だろう、まるで蜂蜜のような。このまま煮詰めて行けば――ま、まさか!
「ビートからは砂糖が作れるの!」
一つの確信を得た僕が声を震わせながらマリーに問いかけると、彼女はあっさりと認めた。
ビートはありふれた作物だ。しかも二束三文の安価。それから砂糖を作ってしまうなんて!
砂糖は貴重で薬としても扱われ、富の象徴。
パーティー等には富貴の証としての菓子や砂糖彫刻が欠かせないものになっている。
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